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ピッチクロックの罠とファスト映画

#26

MLBでピッチクロックが導入されて
野球もタイパ(時間対効果)の時代になった。
ノンフィクション作家の沢木耕太郎は、
「過去のあらゆるムダな時間が
ノンフィクションの書き手にとって
黄金の時間になる」と言った。
僕は20代のある時期、
年間100本の映画を見ていたが、
この10数年の間、数本しか見ていない。
年を重ねるほど面倒になって怠惰になる。
スマホでダラダラと YouTube を見る
日々の時間は黄金の時間になるのだろうか。
Z世代から生まれたタイパは映画を倍速視聴し、
短く編集されたファスト映画を楽しむなんて
20代の僕には考えられなかった価値観だ。
映画館でゆっくり映画をしっかりと見る。
本当の黄金の時間はムダな時間になるのか。
ピッチクロックはボールを受け取り、
走者がいない場合は15秒、
走者がいる場合は20秒以内に投球し、
打者も制限時間の8秒前までに構える。
試合時間の短縮は歓迎すべきだが、
野球は「間」のスポーツである。
日本人は「間」を好む。「間」が手に汗握る。
ピッチクロックは「間」がムダと判断された。
WBCの大谷対トラウトに「間」がなくなると、
フルカウントから時間オーバーでトラウトが
四球を選ぶ、もしくは、大谷が三振を奪う。
そんなつまらない結末を誰も望んでいない。
野球は米国発祥だが日本的なスポーツである。
刀をバットに置き換えて駆け引きを楽しみ、
想像力を掻き立てる「間」という黄金の時間。
タイパは勝負の綾までも奪うことになる。

今週の虎党の呟き😫

NPBは予告先発も申告敬遠もなしにしよう。


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