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WBC帰りの中野がもたらしたもの 

#51

彼は虎のショートでレギュラーだった。
今年からセカンドにコンバートされて、
WBCでは控えのショートという微妙な立場。
源田の負傷で、突然、出番がやってきて
チェコ戦で悪送球が失点につながったが、
持ち味の勝負強い打撃と足で取り返した。
緊迫した投手戦の終盤に「やらかすなよ」と
祈るしかなかったが、大舞台の経験が
今年の活躍と安心につながっている。
チームに戻ってシーズンに入り、
セカンドに回ったことで守備に安定感が増し、
ショート木浪の覚醒という相乗効果を生んだ。
しかし、その木浪も不動のレギュラーではない。
開幕スタメンの小幡は出場のチャンスを窺い、
トレードで獲得した渡邉の存在も刺激を与えた。
二遊間の固定とショートのレギュラー争いは、
中野のWBCの経験とあいまって、
多くの選手の隠れた能力を引き出した。
バランスの取れた中野&木浪を軸にして
守備重視なら小幡、打線強化なら渡邉を起用。
押し出された糸原は代打で活路を見出す。
そんな適材適所のオプションは、
前監督の多くの選手に出場の機会を与える
複数ポジションのメリットを上回った。
近本の盗塁を待って打てるボールを見逃し、
普通に打つ2番のむずかしさ。
監督の高い評価の中でフルイニング出場し、
最多安打のタイトル獲得につながった。
さらに、ゴールデングラブ賞を受賞し、

僕が今まで見てきた虎の歴代ショートは、
藤田平から始まり、真弓、平田、和田、久慈、
今岡、藤本、鳥谷らと比較すると物足りない。
でも、マクロ的な視点で見ていくと、
WBCの舞台に立った経験と世界一という栄光。
数字では推し量れない選手としての格を上げた。
WBC組が明暗を分けたシーズンになったが、
その存在が見えない形でチームに浸透し、

それぞれのチームに還元されていると思えば、
中野がチームにもたらしてくれたものは
歴代ショートの名に見劣りしない。
村上の新人賞とMVPのダブル受賞は驚いたが、
僕が勝手に選ぶMVPは彼しかいない。

今週の虎党の呟き😌

下柳と関本&秀太の二遊間も忘れんといて。


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