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ニンジャの話 その14 The Disco Bath

名古屋には今池という繁華街があります。まだテレビが普及していない映画館全盛期にはそれは賑わったそうです。私の子供の頃はもう斜陽化が進んでいてちょいと危ない飲み屋街でした。家から小一時間かかる場所にあるのですが、私と父は今池に足繁く通いました。なぜなら今池にはその当時は珍しいサウナがあったからです。サウナ・スオミという名前で今で言うところのスーパー銭湯のハシリのような施設です。父はこのサウナスオミが大好きで「行くぞ!」と声がかかると僕と弟は急いで車に乗り込んでいました。

元々お風呂付きだったのだと思いますが、サウナにはまった父は沐浴の研究を始めて学会で発表したりとまたまた自由人な活動を始めます。日本にも古来のサウナがあるぞ!といって京都の八瀬にある「かまぶろ」を見に行ったりもしていました。でかいピザ窯の中に濡れた針葉樹の葉が敷き詰められており、そこから立ち上る湯気を浴びる蒸気浴です。当然ながら中は暗く、ちょいと怖いのですが、始めて入る日本のサウナはちょっと香りがよく、おこぼれで連れて行ってもらった私はとてもよく覚えています。

このようにお風呂が大好きだった父。古民家改修の際にも誰もが「え?!」って驚くような風呂を作ります。

母家の改修の際に昔からあった小さな五右衛門風呂は取り外してしまっていました。そのためしばらくは戸外に温水シャワーを設置していました。夏の間はそれで十分なのですが流石に山間部の冬は屋外シャワーは無理です。お風呂が造られることになりました。そして出来上がったのが後にDisco Bathとして外国人に喜ばれるキンラメ入りの黄金バスタブが鎮座する浴室でした。

言葉で説明するとその衝撃を十分に伝えられないのがもどかしいです。この浴室4畳半ほどある広い浴室です。そしてその壁は真っ黒なタイル張りです。漆黒です。当然天井も黒。そしてご丁寧に天井には金色に輝くシャンデリアのようなライティングが施されています。ミラーボールのように回るわけではありませんが築150年の古民家のお風呂としては異様な雰囲気を醸し出しています。そして何と言っても目を引くのは強烈な存在感で光り輝くキンラメのバスタブです。しかも洋風!!(笑)。この古民家に泊まった外国人が笑い転げなから”The Disco Bath!!" といって出てきたこのあまりにもミスマッチな風呂。築150年の古民家に誰がディスコ風味の風呂を設置するのかと思ったら私の父でした笑。

お風呂を作るときに工務店に行ったらたまたま見つけたキンラメ入りの洋風バスタブをいたく気に入った父。迷わず導入。この風呂が引き立つようにと漆黒のタイルにギラギラの浴室灯をつけてノリノリです。もう常人の考えを逸しているといしか思えないのですが、意外とこれが好評でして古民家に宿泊した方はほぼ全て驚きと共に称賛していただける代物となりました。写真をお見せしようかと思ったのですがこの衝撃を写真で伝えると面白くないのでご興味のある方はぜひいらっしゃって下さい笑。 父によるとこのキンラメのバスタブは中日ドラゴンズの元監督高木守道さんが購入予定だったものを譲り受けたと言うことですが、どう見てもソープランドかラブホテルに納入される予定だったのではないかと疑っています。それほど胡散臭い風呂です。正直なところあまりにも古民家の雰囲気と合わないのと経年してきたので取り壊すことも考えているのですが、宿泊者、特に欧米人からは絶対保存したほうが良いと100%言われるので悩んでいます笑。

お風呂が大好きな父の面白いこだわりが産み出したミスマッチなディスコバス。半露天になっておりまして春にはウグイスの声を聞きながら風流にお風呂をいただくことができます。実のところ私は気に入っています笑

明日に続く




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