チャレラン記録評価の「3観点」


「最高記録」を評価する

チャレラン種目の評価は、出せた記録、数値化された結果を見ます。
豆を25個移せた、足踏みが85歩だった、さいころの1が5回出せた・・・、というものです。
これをスコアカードに記載します。
普通は、種目に挑戦した記録の中で、一番良かった記録が、本人にも保護者やスタッフにも「すごいね、がんばったね」と評価できるものとなります。
つまり「(自己)最高記録」が評価の観点です。

最高記録を塗り替えることができた、という経験は、自己評価として強いインパクトになります。
自己の最高記録塗り変えはもちろんですが、他者と比べて、他者の記録を塗り替えたということも、競い合いながら自分を高める経験になると思われます。

「挑戦回数」を評価する

しかし、スコアカードには、ひとつの種目に対して、1回だけ記録を書くわけではなく、挑戦するたびに記録を記載するシステムとなっています。
となると、10回挑戦したら、10回分の記録が書かれています。

子どもによっては、とある種目にドはまりして、20回も30回も挑戦することがあります。スコアカードには枠に収まらないほどたくさんの記録が書かれます。たくさん挑戦した中で記録が変動し、好記録、自己最高記録へとつながっていきます。そこにたどり着くまでの、「努力」が書かれているとも言えます。

ので、「挑戦した回数」を評価の観点としてもよいのではないかと考えています。

挑戦した回数は、ひとつの種目に対してカウントする場合と、いくつの種目に挑戦したかをカウントとする場合が考えられます。
ひとつの種目を5回挑戦した、という評価と、5つの種目を1回ずつ挑戦した、という評価があるわけです。

「記録の変化」を評価する

どちらも「挑戦回数 5回」となりますが、ここに第3の観点を掛け合わせられないかと考えました。

たいてい、記録は、挑戦するたびに変動し、コツをつかんでくると、記録が「好記録」として変化することがあります。
最初の挑戦では、箸でつまんで移動できた豆は15個だったのが、2回目で18個、3回目で21個、4回目は20個でしたが、5回目で25個と変化したとします。
5回の挑戦で、最初の記録からプラス10個増えた、という見方ができます。
この、好記録の変化を評価の観点にできないか、というのが新たな考え方です。
自己最高記録までの変化、あるいは、全挑戦回数の記録の変化で好記録化したものを、評価の観点としてとらえるわけです。

挑戦回数と記録の変化

挑戦回数の違いと、記録の変化をシミュレートしてみました。

  • Aさんは10回挑戦し、最初記録は低かったものの、徐々に記録を伸ばして最高記録25個を達成しました。

  • Bさんは5回挑戦しましたが、あまり記録が伸びなかったようです。

  • Cさんは1回目でいきなり、25個の最高記録を出して満足しました。

  • Dさんは最初から比較的いい記録を出していましたが、3回目で最高記録を出せたので終わりにしました。

  • Eさんはまあまあな記録が続きましたが、7回目で最高記録が出て、さらにもう1回がんばったのですが、記録が下がったので終わりにしました。

  • Fさんは最初からかなりいい記録を出し、4回目、5回目と最高記録を連続でたたき出し、さらに挑戦を続け、平均的に好記録が続いて10回まで挑戦しました。

さて、この5人のうち、挑戦回数と記録の変化の観点で言うと、だれが一番変化したと言えるでしょうか。

表を一見した感じだと、20個以上の記録を連発して最高記録25個を3回も出して、かつ10回も挑戦したFさんに注目できると思います。
しかし、最高記録を挑戦回数の平均で割って、そこに挑戦回数を掛けた値で比べてみると、以下のようになりました。

記録の変化率と、変化率に挑戦回数を掛け合わせた結果

すると、Aさんが10回も挑戦して記録を伸ばしたことが分かるかと思います。記録の変化率としては、Eさんが最も大きいのですが、挑戦回数が掛け合わされると、わずかにAさんの値が大きくなります。
もし、Eさんが記録1個でもいいから、9回目の挑戦をしていれば、EさんはAさんの値を越えることになるのですが、挑戦回数2回の差が、Aさんの「努力分」として評価できる形になったと言えるかもしれません。

「体験」の質をフィードバックする

何回も夢中になって挑戦を繰り返し、繰り返す中で記録を伸ばすことができた、自己の最高点を塗り替えられた、という経験を、明確な形でフィードバックできないか、ということは常々考えてきました。
何度もやってやっと25個の記録が出せたのに、1回目の挑戦であっさり26個の記録に塗りかえられれてしまい、チャンピオンまであと少しだったのに・・・、という子を何人も見てきました。
残念な思いはあったでしょうが、私はそれはもう何度も何度も挑戦し続けて、その中で自分を変化させ続けた努力というものは、その後の生き方に影響を与えるものではないだろうかと感じています。
ただ、それを目に見える形で評価することができなかったので、今回、記録の変化率と挑戦回数に着目してみました。

繰り返しの体験は、「努力」そのものであり、「努力」によって、自己を変化(行動、意識、姿勢、態度など)させることができたことが、大きな価値があり、良質の体験であることを伝えたいと思っています。

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