行く前に読んで、帰ってから読んで~ZOOMで読書会 その22
22回目の「ZOOM読書会」。
学生時代の友人「🐰さわ」と 私「🐻くば」がそれぞれ本を紹介します。
過去の読書会はこちら
☆🐰さわ☆
<テーマ>聖地巡礼 in 川越
ほしおさなえさんの、川越が舞台の作品を読んで、行ってみたかった川越。
先日、その願いがかない、川越のまちを歩いてきました。
その作品は、以下の3つのシリーズ。
1 活版印刷三日月堂 ほしおさなえ
2 菓子屋横丁月光荘 ほしおさなえ
3 紙屋ふじさき記念館 ほしおさなえ
==川越で訪れた主な場所==
☆鴉山稲荷神社☆
この神社のはす向かいに 三日月堂があるという設定。
一番街からちょっと入っただけなのに、 観光客は 全くいなかった。観光マップにも もちろんのっていなかった。
三日月堂の営業再開は あまり知られていない という描写が 何度か出てきたが、すごく納得。ここなら誰も気づかない。
☆菓子屋横丁☆
菓子屋横丁は、びっしり人がいて、見ただけで「もう入れません」って感じだったので、寄るのをあきらめる。残念。
☆一番街☆
有名な蔵造りの町並み。ここは、「夜歩いたほうがいい」と、「月光荘」の守人君が言っていた。
☆喜多院☆
(喜多院の公式HP)
月光荘の3巻に登場する「二軒屋」は、この近く。(昔は 全く同じ形の家が二軒並んで建っていたが、その後片方が消失して、今は一軒だけになっているという設定。)
喜多院自体は観光スポットだけど、まわりは静か。二軒屋の存在が 知る人ぞ知るだったのもわかる。
川越で、一番好きだったのはここ。
☆ ☆ ☆ ☆
3つのシリーズに同じ時間が流れ、同じ人々が生きている。それが、時々混じり合うのが楽しい。「三日月堂」と「菓子屋横丁」は濃厚に。「紙屋ふじさき記念館」はちょっと薄め。
でも、薄めの魅力もある。まったく人物は出てきてないけど、「その栞は 三日月堂の作品だよ」って 声をかけてしまいたくなっちゃうとか。
これから、川越の紙屋さんとも つながりができるのかなっていうのも楽しみ。
聖地巡礼に出発する前、短期間で再読した。だから、かろうじて、登場人物とか お店を覚えていることが できて、より楽しめた。
さらに、行くまでに 読み切れなかった分を 帰ってきてから読んだら、街の様子を 思い浮かべながら読めてよかった。
聖地巡礼するなら、行く前に読んで、帰ってきてからもう一度読む というのがいいかも。
🐰どの話も、すごくうまくいく感じの話で、現実はそうじゃないよって言われるかもしれないけど、それがいいのよね。
🐻「三日月堂」で一番好きなのは、結局 人と人のつながりがだいじだよっていうことが よくわかるところ。
それと、本編での脇役だった人が、番外編で主役になり、その人の視点で物語がすすむでしょ。どの人にも物語があるんだっていうことがわかるのも いいよね。
☆🐻くば☆
<テーマ>懐かしい「図書局」~高校の図書室が舞台のお話
高校の時、図書局に所属していました。「局」とは、委員会とちがって、希望者が所属する部活動のようなものでした。特にこれと活動はせず、おしゃべりばかりしていたのですが、なつかしい思い出です。
今回は、高校の図書室を舞台にした小説を集めました。
1 図書室のキリギリス 竹内真
離婚して職探しをしていた詩織の元にきた高校の「学校司書」の話。司書や教職の資格はいらないという。
詩織には人に言えない秘密があった。ものに刻まれた思いを感じることができるのだ。
思いもかけず、全く経験のない学校司書を始めた詩織。年度ごとに契約を見直す任期付き採用職員という不安定な採用。
ただ、詩織には 読書好き という強みがあった。
前任者が残した引き継ぎ資料、図書室にやってくる高校生、校長先生などに助けられ、ひとつずつ仕事をこなしていく。
校長先生のペンネーム「円花蜂」の意味は?
前任者が突然辞めた訳は?
なぜ、他校の蔵書がまぎれていたのか?
司書になりたかった、図書室の仕事をしたかった私に「どストライク」の本でした。
2 晴れ、時々くらげを呼ぶ 鯨井あめ
舞台は、ある進学校の図書室。図書委員の亨(高2)と後輩の優子。
小3の時、作家だった父を亡くしている亨。
「ごめんなぁ、亨。迷惑かけたよなあ。」
病床の父のこの言葉にずっと囚われている。
父が遺した本を一冊ずつ読んでいるのに、父が、作家だったということを隠している。
優子は毎日、屋上で空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいる不思議ちゃん。図鑑も熟読してクラゲの研究しているが、なぜクラゲを呼んでいるかは「内緒」だという。
図書室・図書委員会を舞台にしてるだけあって「本」にかかわるエピソードがたくさんえがかれている。
伊坂幸太郎、辻村深月、森見登美彦、宮部みゆき、上橋菜穂子、「羊と鋼の森」「バッテリー」などなど たくさんの作家・作品名が会話に登場。
さらに亨が小学生時代読んでいたのが岡田淳さんという設定。
「ムンジャクンジュは毛虫じゃない」「竜退治の騎士になる方法」「こそあどの森の物語シリーズ」の作品名があげられている。
「こそあどの森」は、わかるが、「ムンジャクンジュ」が出てくるとは!!!
作者の鯨井あめさんが読んでいたのかしらと、もうこれだけで、この本の評価が爆上がりしてしまった。
3 図書室のはこぶね
10年前に図書室から無くなったはずの 「飛ぶ教室」がなぜか今、返却された。そこには、一枚のメモがはさまっていた。
体育会系女子の百瀬が、図書委員の朔太郎とともにその謎をといていく。
体育祭前後のとっても濃い一週間の物語。
メモに書かれていたのは・・
「方舟はいらない 大きな腕白ども 土ダンをぶっつぶせ!」
「土ダン」とは、土曜日のダンス、体育祭名物のクラス対抗競技。「Saturday Night」の音楽に合わせて踊る。音楽と振り付けは同じだが、衣装と隊列で勝負。
「飛ぶ教室」を最後に借りた生徒は、土砂崩れで死亡。その後、本は紛失したことになっていた。
10年前の図書委員を調べだし、その人たちに当時の状況を聞く二人。
想像できなかった「飛ぶ教室」の真相で、「おっ!そうきたか!」と思った。
さらに、今回読み直して、新たに気づいたこともあり、一冊で何度も美味しいお話だった。
🐰お話の中に、本の題名が出てくるだけで、うきうきしちゃうよね。
🐻そうそう、そうなのよ。それだけでその本のポイントは、ぐんとあがるよ。
大崎梢さんの移動図書館が舞台のお話 「めぐりんと私。」 にも、岡田淳さんの本の題名が出てきて、とっても嬉しかったよ。
2019年に「三日月堂」を読んで すっかり気に入った私。舞台である川越に「絶対行こう!」と決意してから、何年もたってしまった。
お話も、残念ながらあまり覚えてない。
もし、川越に行くことになったら、🐰さわの言うとおり、出発前に読み直して、帰ってからまた読み直してみたい。
読んだ本の内容を、もうちょっと長く覚えていられれば、もっと楽しめるのに・・・と思うが、、まあ同じ本を「新しい気持ちで何回も楽しめる」ってことだと思って、良しとしよう(笑)