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【まいぶっく02】あこがれの雪の家~「イグルー」をつくる
小学生の頃、「かまくら」にあこがれた。雪で作った大きな家の中に何人か集まって、火鉢をおき、おもちを焼いたり、甘酒を飲んだり。
・・いいなあ私も中に入ってみたいなあ。
北国の雪の多いところで暮らしている私。自分でも「いざ かまくら!(?)」と 挑戦したこと数知れず。
といっても、除雪車が置いていった「大きな雪山」を掘るくらいのことしかできない。
もちろん人が入れるほどの大きさにはならず、雪の壁に人ひとりも入れない「へこみ」ができただけというのがせいぜいだった。
かまくらは、「ある程度暖かい地域の湿った雪でなければ作りにくい」と教えてもらってからは、私のかまくら熱は少し冷めてしまったような気がする。
「イグルー」とは大昔から北極地方に住む、イヌイットとよばれる人々が作って暮らしていた雪の家のこと。「かまくら」にあこがれた私は、この絵本の表紙を見ただけで強く心がひかれてしまっていた。
堅すぎもしない柔らかすぎもしないちょうどいい雪を、ひとつ8kgから12kgのブロックに切り出し「うずまき形」につんでいく。そのまま積むだけだと「へい」にしかならないと思うのだが、接地面を微妙に斜めにしているのだろう。うまいぐあいにドーム状になっていく。
白黒の写真でできているこの絵本。ページを1枚めくるたびに どんどん壁は高くなり、丸くなり、天井ができていく。作っている人は中に閉じ込められるのだが、ナイフで穴をあけて、はいだしてくる。
絵本の中のことなのに、自分もそばにいてイグルーの制作を見ている気がする。完成したイグルーの中から、こおりついた海をながめている気がする。
そうか、こんな風につくれば雪の家ができたのね。
あのころの私がこの絵本を読んでいたら・・・大きなブロックを切り出すのは難しい→大きい雪玉をたくさんつくる。→円く積み重ねる。→1段目で挫折。
どちらにしても、途中で挫折したとは思う。
それでもこの絵本を読むたび、「中に入りたい」「作ってみたい」という気持ちが、わきおこってくるのだった。
「イグルー」をつくる (A)
ウーリ・ステルツァー 写真と文
千葉茂樹訳 あすなろ書房 1999年
読んでいただき ありがとうございました。