誰の人生でも そんなに簡単じゃない~ZOOMで読書会 その24
24回目の「ZOOM読書会」。
学生時代の友人「🐰さわ」と 私「🐻くば」がそれぞれ 自分で決めたテーマにそって 本を紹介しあいます。
過去の読書会はこちら
☆🐰さわ☆
<テーマ>ちょっとめずらしいお仕事
1 金継ぎの家 ほしおさなえ
夫を看取り、金継ぎをしている祖母・千絵。
夫と別れ、ホテルで働きながら娘を育てた単身赴任中の母・結子。
高校2年生の孫・真緒。
三代の物語。
物語は、千絵が子供のころ暮らしていた飛騨高山への旅と、その頃出会った人を探す千絵と真緒の二人の旅が中心になっている。
千絵との旅で出会った人々との交流を通して、真緒が自分のやりたいことをなんとなくではあるが見つけていく。
まったく知らなかった世界を 知ることができるのも 読書の楽しみの一つ。
珍しい仕事の場合は、工程や歴史などが ちょっと詳しく書かれていると嬉しい。
(「らんまん」の石版印刷の説明はうれしかった。まぁ、理解はできなかったんだけど)
物語の中では、そのバランスが難しいかもしれないけど、この本は、金継ぎについては孫に教えるという形。漆については、専門家から教えてもらい 体験もする という流れだったので 違和感はなかった。
一番 感情移入して 読めたのが 祖母の千絵だったというのは、歳のせいかな。そういえば、最近、おばあちゃんが活躍する物語が 好きになってきた。
2 7.5グラムの奇跡 砥上 裕將
視能訓練士の野宮恭一は、北見眼科医院という街の小さな眼科医院に就職した。
腕が良くて優しい院長のもと、先輩の視能訓練士や 看護師たちと働く中で 成長していく姿が描かれている。
各エピソードに登場する患者たちとのかかわりも温かい 連作短編。
野宮は、「自分は不器用だから、一つのことを地道にやっていけば ものになるのではないか」と思って、視能訓練士の学校を選んだ。確かにそれも一理あるなと思う。
こういう小説の場合、新人が天才的な腕を発揮する というのがよくあると思うが、野宮は、たぶんごく平均的な視能訓練士。
一つだけ先輩より上手な検査があるけれど、それは現在あまり使われていないもの。(それが力を発揮するエピソードもあるが)
野宮は、失敗しながらも(お仕事ドラマで 新人がやらかすようなドタバタではない)少しずつ成長していく。そこがいい。
3 校閲ガール 宮木 あや子
ファッション誌の編集者になることを夢みて 出版社に就職した河野悦子が 配属されたのは、校閲部だった。頑張って認められれば、配置転換もあるというのを 唯一の希望として、頑張っていく。
担当する作家やそのジャンルも様々。作家はもちろん 校閲部の同僚や上司、編集部の編集者たちとのかかわりも描かれている。
以前、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で 校閲をする方が取り上げられていた。その時に、校閲は、誤字脱字のチェックだけではない と知って驚いたが、もしかすると、あの方が特別なのかもとちょっと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
校閲前の文章も載せられているが、私にはほとんど見つけられなかった。
エロミスから 作家の妻の置手紙まで、様々な文章を創作するというのも すごい。作家なら当たり前?
河野悦子は いろいろな事件を解決していくが、校閲としてすごく優秀ということにはなっていない。「日本語をよく知らない」という言葉も出てくるが、十分優秀。少なくとも 私の100倍は優秀だと思う。
表紙の絵がぴったりくるような 軽い感じで、楽しく読めたが、校閲の重要性は ひしひしと伝わってきた。
これまでの私の文章、河野悦子が見たら、滅茶苦茶チェックが入ること間違いなし!
🐻「校閲ガール」のTVドラマ見たけど、面白かった。私も、校閲って「誤字脱字のチェックだけ」だと思っていたから、「こういうことまでやるんだあ!」ってびっくりしたよ。
(「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」2016年放送)
🐰お話の中で「好きな作家の作品は校閲しづらい。夢中になって読んでしまう。」というところがあって、そうだろうなあと思った。
🐻砥上裕將さんの作品は、「僕は線を描く」も「7.5gの奇跡」も、とっても静か。そこがいいよね。
🐰うんうん。
☆🐻くば☆
<テーマ>いっしょに暮らせば
シェアハウス、寮、下宿、他人が集まって一つ屋根の下で暮らす。
今回は、そんな作品を集めてみました。
1 カーテンコール! 加納朋子
閉校する萌木女学園。最後の卒業生になるはずだったのに、卒業できなかった9人。
温情で半年の猶予を与えられ、寮に住んで補習をうけることに。
でも、その9人。そろいもそろって一筋縄にはいかない学生ばかり。
無事に みんな半年で卒業できるのか。
連作短編のような形で話は進んでいく。
病気、家族のプレッシャー、精神的虐待・・・それぞれの子が、なぜ卒業できなかったかが明かされていく。
理事長の言葉に 何度もうなずいた作品。
2 あの日の味は 柴田よしき
(「おいしい旅・想い出編」アミの会 より)
美奈が京都で暮らしていた時、住んでいたのは、女性専用のアパート「花園会館」。
そこに長年いっしょに暮らし、仲がよかったテラとムーちゃんに15年ぶりに会う。
思い出の店で 思い出の味を 味わいながらのひととき。
50代、15年ぶりに再会した3人。
懐かしいお店を回りながら、話はつきない。
でも、実は それぞれ事情をかかえている。
短編なのだが、この年代の複雑な思いがぎゅっと詰まっていて、胸にせまる。
「あの頃」があって、今がある。
「あの頃の その後」があって、今がある。
いっしょに暮らしていた頃を 懐かしく思う気持ち。
昔の生活エリアを回る なつかしさと さびしさ。
話せることと 話せないことがある。
とってもよくわかるよと 深くうなずいた作品。
3 帰ってきた生協の白石さん 白石昌則
2005年にベストセラーになった「生協の白石さん」。
東京農工大生協の「一言カード」に書かれた 学生の要望や質問に対する、愛情と機知に富んだ回答をまとめた一冊。
そんな白石さんが 18年ぶりに戻ってきた。
今回は、現役大学生や かつての大学生の質問に答えます。
18年前、「生協の白石さん」が出版された当時も、ユーモアにあふれていること、質問をうまく取り入れた回答であること、生協の宣伝もさりげなくしていることなどなど、その文章のうまさに驚き、おおいに笑わされたものだ。
今回も相変わらずうまい。何よりも あれだけ短い文章で ぴりっとまとめていることに すごさを感じる。
(そして、自分の文章の だらだらさかげん が いやになる 笑)
「いっしょに暮らせば」というテーマで なぜこの本を取り上げたかというと、「寮生活への感謝」という 4ページほどのコラムが あったからだ。
白石さんは、大学時代、学生寮で暮らしていたということ。
寮祭、スポーツ大会などたくさんの行事があったこと、寮では様々な人間関係を体験したことなどが 書かれていた。
最初の本を出版した際、
「あのような回答になるのは、どのような経験が 影響しているのか」と 方々で聞かれ、その時、まっさきに思い浮かんだのは、その寮生活だったそうだ。
寮生活を送ったことで、身につけたこと(表面に現れていないこと、本人も自覚していないこと)が、たくさんあって、その後の人生にとても影響を与えているのだなあと感じたエッセイだった。
🐰3冊とも、おもしろそうだね。加納朋子さんの「カーテンコール!」、紹介文は読んだことあるよ。きっと、いつか読もうと思っていたはず。
🐻「カーテンコール!」は、「一万円選書」の岩田さんが、とりあげていた本で、私もそれで手にとったの。
連日の真夏日で のびていた日々だったが、ここにきてやっと、少し涼しくなった。
何より助かったのは、夜の気温が下がったこと。寝るのがとても楽になった。昼間が多少暑くても、夜さえ涼しくなれば、まだなんとかなるんだ~「熱帯夜はほんとうにつらい」ということを実感した日々だった。
ずっと、ほったらかしだった花壇の草取りもできて、雑草に埋もれていた花たちが顔を出した。
雑草のなかでも、「すべりひゆ」がとにかく元気で、丸々と太った茎が、おいしそう(笑)
涼しくなったので、ゆっくりパソコンにもむかえそう。
毎月、記事を2つは書きたいなと思っていたが、8月は1つだった。今月からは、また2つを目標にしていこう。ということで、これが1つめ。さて2つめは、いつ完成するかな。
読んでいただき ありがとうございました。