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柔らかい時間が切り裂かれる時(仮想現実)

しばらくほかほかと
柔らかい時間の中で浮遊していた。

彼と過ごした時間は夢のように、
その後、何日か冬弓の中に
温かい灯となる。

でも、また現実が
その柔らかい時間を切り裂いた。

夢なら夢のままでいいのに。

どうして現実にいつも
押しつぶされるのだろう。

そもそも柔らかい時間なんて
なければ、こんなに
つらい想いはしなくていいのに。

でも冬弓は夢の世界で
生きている。
 
この柔らかい時間を手放せば
死んでしまうだろう。

生きながら、柔らかい時間を
守りつつ現実に耐えるか。

もう柔らかい時間などに
期待せず、死んでしまうか。

どっちでもいい。
どっちにしても幸せとは
言えないから。


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