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「夢見通りの人々」宮本輝氏(読書感想文)(*ネタばれ注意)

☆かーなり若い頃に書いたものです☆

夢見通り。ナンバをちょっと南に行ったところ。
ここらへんなら、どこにでもありそうな商店街。
なんか、ここに住んでるの、
文学の神様に呼ばれた感じ。
今度、チャリで、ナンバを旅してみよう。

主人公が里見春太(今年30歳)なんだけど、
商店街の人がみんな主役。
私が好きなのは、肉屋の兄弟の竜一と竜二。
竜一は、元ヤクザなんだけど、いい味出してる。

スナック・シャレードのママや
太楼軒の夫婦や
娘(アメリカン・スクールに通っている)、
カメラ屋のホモの森さん
(この人もまた、いい味出してる。
私は、この人やろーなぁ。写真と詩を組み合わせたり、
海外に写真撮りに行ったり)

春太は詩人の卵なんだけど、
すごい凡人で、お人よし。

他に、森さんの若い愛人(中学生のレスリー)や、
時計屋のドロボー息子やら、パチンコ屋の娘やら
盛りだくさん。

私が気に入ったのは、
太楼軒のおっさんが、競馬について曰く、
「畜生の背中に他人が乗って走るんでっせ。
そんなもん、当たる筈がおまへんがな」(P134)

もう、自然な大阪弁がいっぱい。
そして、作者の人を見る目が
鋭くも温かい。

しかも夢見通りの人々は、
大阪人(都会人)のご多聞にもれず、
ケチでずるくて、我が強くて、コミカルで。
決して人情だけでは済まされない、
人間の強欲さがあって、
ああ、これが本当の人間社会だなって思う。

いろんな事情がからまりまくった商店街。
もう、洒落っ気、茶目っ気たっぷりで、
一言一句が見逃せない、誰かと語りたい本。

宮本輝さん、サイコー!

#創作大賞2024
#オールカテゴリ部門

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