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長戸の神崎
2024年1月14日 16:13
冬のロンドンにて 落陽が窮屈な灰色の空から失せ、暗澹たる寒さに包まれた石造りの街並みに鐘の余韻が残る頃、テムズ川のほとりに悠々と屹立する観覧車に私は心惹かれた。そぞろ歩きの市内観光に刺激を与えたかったのもあるが、夜陰を背景に光明を放つ円環から、この荘重な街並みに似つかわしくない、どこか神秘的な佇まいを感じ、その正体を確かめてみたくなったのだ。 日中に遠目から見た観覧車は、静止した一つの象牙