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定年を前にした50代の一般職が考える、これからのはたらき方、への気持ち。

私は50代の女性一般職。所属する会社は社員数1万人以上のいわゆる大企業で、定年は60歳。
35年同じ会社で働いているが、管理職でもなく、技術系でもない。
老後の生活を考えると、身体はまだ元気だし、気持ち的にも仕事は続けられそうだ。
定年後も、環境は大きく変化するが、雇用延長して頑張ろうと考えている50代は多いと思う。


私のような、管理職でもなく専門的なスキルを持たない50代を私たち、と表現させていただく。
そんな50代をターゲットに、この先のはたらき方について思うところを3つ述べてみたい。

1つめ、私たちも、仕事で褒められたい。
ベテランは、仕事ができて当たり前と思われている。慣れた業務なら当然かもしれない。上司からも、後輩からも質の高い仕事を期待される。
だからこそ、できて当たり前、ではなく、認めてもらいたいし褒めてもらいたいのだ。

私たちは、褒めて育てられた年代ではない。たたいて伸ばす人材育成方法が主流だった。
寝坊して遅刻したり、報連相が足りず上司に怒られたりと、いろいろたたかれてきた。
そのたびに全身の血液が固まるような思いをし、目覚まし時計を増やしたり、うるさがられてもきっちりと報連相をやる、と決め、進化してきた。

いまだにミスはするものの、たたかれることは、自分で自分にはっぱをかけ仕事のやり方を見直す機会になる。
それでも、褒められ、認められるとモチベーションが上がるのだ。
どんなに小さなことでも、「早い」とか「やはり他の人とは違いますね」と仕事の出来や内容が一部分でも認められ、褒められると、「え、そう?いつも通りだけどね」と表面上はクールを装っても、心中は嬉しさと小っ恥ずかしさが入りまじっていて、一段気分が上がっている。

上がると、パソコンのシステムのアップデートを期日までに各自行うように、といった面倒な業務連絡も、隣の若手にお願いしないで期限内に自分でやるようになるのだ。

2つめ、私たちも、教育を受けたい。
もうシニアだから、ベテランだから教育や研修を受ける必要はない、と対象外にしないで欲しい。
組織の中核を担うのは、30代、40代社員であることは分かっている。
一般職たるもの、未来の管理職となる若手には、勉強してもらい理想の上司に近づいて欲しいと願い、邪魔しようとは考えていない。

それでも、例えばライフプランセミナーのような人生の設計図を描くような内容のものでも、ベテランやシニアなりに、見直したいのだ。
昔受けた内容の研修であっても、知識はアップデートしたい。

インターネット系の研修ならなお良い。
日本のデジタル化が大きく後れていることは、昨年の特別給付金申請のオンライン化によるゴタゴタで、明白になった。
今回のワクチン接種予約もそうだが、デジタル化には苦手でもついていかなければならないし、出来た方が色々な手続きがスムーズに進む。

3つめ、私たちは、仕事のとらえ方を変えた方がよい。
私のように専門的なスキルが無い人は、雇用延長制度を利用して同じ会社に居続けるのが無難、といった考え方が、定年後の仕事選択では主流かと思う。
会社は変わらなくても配置転換はあるだろう。となると環境の変化は避けられない。
私も人事異動を経験しているが、人間関係を含めて、新しい環境に慣れるのが最もしんどいと思った。

これからの環境の変化は、余裕を持ってとらえてみてはどうか。
新しい業務についていくのは大変だが、もう成果を上げようと焦ったり急いだりする必要は無いのだ。分からないことは、聞けばいい。

私たちには、長い経験がある。しかもその経験の前半は、たたかれて痛みを伴うもので、深く刻み込まれたネガティブ体験が誰にもあると思う。
この経験があるからこそ、人の失敗に共感できるし、相手の立場に立てると思うのだ。

シニア社員とかベテラン社員、という言葉には、多少困り者といったイメージがついている。
プライドが高い割には仕事はしない、昔の自分の成果を自慢する、人の意見を受け入れないなど。
こうならないように、一歩引いて自分の立ち位置を見直してみよう。
近くに、失敗して落ち込んでいる人、仕事のやり方に悩んでいる若手社員がいるかもしれない。そうしたら私たちの経験の発動だ。話を聞いて共感したら、前向きにできるのではないだろうか。

実体験をもとにした話は、モチベーションアップのHow toを解説したビジネス本より効果がある可能性はある。ただし、くれぐれも出過ぎないようにしたい。「そのやり方じゃダメ」と頭から否定しないこと。
自分の体験を、淡々と語るだけで十分だと思う。

私たちは50代でも、まだ終わっていないし、認められ、学びたい。考え方は柔軟にして、変化を受け入れる容量を大きくしなければならないだろうが、
自分の経験は唯一無二だ。この強みをもって、この先もはたらいて、笑おう、と思う。

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