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「好きなら100で愛せ、そうでないならいっさい関わるな」というブーメラン

依存体質の人によくあるのがこの「100で愛するかそうでないなら一切関わるな」の極端な姿勢で、グレーに耐えられないんだろうなと思う。

白と黒の間にあるグレーには「自分への関心が薄くなる」「ほかの人に興味を持つ」みたいな”100%で愛されない自分”がいて、「常に絶対に自分だけを愛し続けるべき」なのがこんな人たちの理想だ。

自分以外の異性の話をすると不機嫌になる、褒めようものなら「でもそいつこんなこともしてるけど」とネガなことを言い出して撤回させる、とにかく「関心を向けるのは自分だけ」にしてもらわないと不安なんだろうね。

実際にあるけど、「ある人に用事があったから電話して30分話した」ってだけで会話の内容や「また電話するのかどうか」を知りたがり、挙句の果てに”その人より自分を優先すること”を約束させる人もいるんだよ。

依存体質の人が抱える矛盾は、「相手には100の愛情を要求するくせに自分は100で愛さない」「100で愛する自分は見せない」で、真摯さが見えないんだよね、相手に要求する割に自分は率先してやらないのが常。

「休日だとわかっているのにデートに誘わない」ことで愛されていないと責めてくる、”自分からは頑なに連絡しない”は見ない。それを指摘されると「あなたがどうしているかわからないし」などどこまでも自分都合の言い訳を繰り出してくる。

こんな話をある人から聴いていて、それはお互いさまじゃない?となにげに突っ込むと、

「好きなら誘うものじゃないの?」
「こっちから誘わないと会えないのが愛情なの?」

みたいに本当に自分の価値観だけで関係を考えているのでびっくりする。

「会いたいなら、待つより自分から誘うのが早いと思うよ」と穏やかに返しても「でも、返事がなかったら悲しいから」「だって、いつも向こうから連絡してくれるから」と、”やらない理由”がポンポン飛び出すのでもう黙る。

100で愛される自分じゃないと不安、その代わり自分が100で愛するのはそれを見たあと。

こんな考え方でまともに関係が続くはずはなく、いずれ振られるか最悪の場合はセフレに降格していることもあった。

利用されるんだよね、依存されている側は”上手くやれば”都合のいい関係でもバレないことがわかっているから。

「好きなら100で愛せ」と迫るけれど自分は絶対に100で愛する姿は見せない、その矛盾を突くと「いや、自分はやっている」と反発するのもよくあることで、具体的に何をしているかと訊くと

「毎日LINEしている」
「誘われたら絶対に行く」
「ほかの人と会ってない」
「プレゼントを贈る」

と、確かに好意は伝えているけれど受け身がほとんどで、しかも相手への要求は自分がしていることの倍以上なんだよ、

「LINEの返事はすぐ返して」
「返事がないときは電話するから出て」
「でもこっちが返信できないときは放っておいて」
「急に会いたくなったときはすぐ応えてほしい」
「こちらが大変なときは最優先で助けて」
「でも自分がそっちを助けられなくても責めないで」
「不安にさせたら謝って」

みたいなことを無言の圧でかけてくる。「やってない」と当人は言うが振る舞いを聴くと相手がそう受け取っても仕方のない関わり方をしている。

「言ってないのだからセーフ」にしたいのが依存体質の人の大きな特徴で、”お願いする自分”は卑屈で屈折するから相手に汲んでほしいのだ、自分に何かあったら鬼電に鬼LINEで応対することを迫るが、相手が大変なときを知っても手を差し伸べない、「だって何も言われてないから」「自分は邪魔かなと思って」と逃げる。

こういう矛盾を当たり前にしているから好きな人は逃げていくんだけど、このときこそ依存体質の本領発揮、「こっちの気持ちを考えろ」「こっちは被害者だ」と大騒ぎして歩み寄らせようとする。折れる姿を見たがる。

関係に加害や被害をすぐ持ち込むのは自信のなさ、どうしたって対等に相手を見ることができない。
自分は絶対に被害者の立場でなければならない、「100で愛されないなら被害者と同じ」という強迫観念で合わせることを迫る。

可哀想だよねぇ、まともに同じ目線に立ってしまうと、”自分が望むのと同じように”相手のことも汲まないといけない、”自分がほしがるのと同じように”相手にも愛情を与える姿を見せないといけない、こういう自分を出すのが怖くてたまらないんだろうね。

40代なかばになっても距離の近くなった異性にこんな関わり方をして総スカンをくらっている男女の話を聴くと、「それはブーメランだよ」がわからない幼稚さがつらくなる。

自立した人を求めるくせに自身がまず依存体質、そもそも「自立した人」の意味が

「こちらには甘えず自分の機嫌は己でコントロールできて、でもこちらの甘えには100で応えてくれる精神の強い異性」

なんだよね。受け身を許してくれる人を求めているのがよくわかる。

人は鏡で、同じレベルの人間としか付き合えない。

自立した女性に好かれたかったらまず自分が自立するしかない、そこから1ミリも動かずに現実が理想通りに動くことなど、まずないと知るのが最初で。

先日、「二週間付き合って振られた元カノのインスタグラムを見るのが止められない」とため息をつく男性がいてね(※ いろいろ改変して書いてます)、未練の話かと思ったら違うんだよ、

「俺と付き合った二週間がなかったことにされてる。
ずっと彼氏がいないから寂しいって書いてるのを読んで腹が立った。
俺の気持ちを全然考えてない」

ってことに怒っていて、内心だらだらと冷や汗が流れた。

いやぁ……二週間じゃ交際のうちに入らないと考える人もいるのでは……と思ったけど、そんなことを言おうものなら「誠意がない」「俺は傷ついた」と大暴れするのが予想できたので黙っていた。

これが依存体質の人の本音で、”好かれている自分”しか見たくない、そこしか関心が向かないんだよね。

私個人で言えば、二週間じゃお試し期間と考えるかもしれず、それで振った(先見の明があった)”元カノ”さんは正解だなと思った。

その二週間で会ったのは二回、自分から誘ったのではなく女性のほうから仕事帰りの食事の声がかかり、普段は男性のほうから朝イチのLINEだけ、返事がないときは「昼休みに電話が来るかと思って待っていた」そうで、夜は女性側からLINEがあったときだけ電話に切り替えて一時間ほど話していたと。
自分からデートに誘うことはなく(「忙しいかもしれないし」「時間があったら向こうから言ってくると思ったし」)、休みとわかっていても”LINE待ち”で予定も確認せず、その挙げ句に「合わないと思う」と振られたら「ひどい」。

怖ぇよ。

「好きと言ったことはある?」と訊いたら「もちろん。デートの帰りに楽しかったと伝えていた」と鼻息荒くすぐ返すが、それを「好きと同じ」と思いこんでいる時点でやべぇだろ。

これで40歳、キツいよなあと背筋がぞんぞんしたよ。

現実はこんなものだ。

自分と同じレベルの人間としか付き合えない。
その女性は自分とレベルが違うのだ。
それだけのことだ。

まさにブーメラン、「俺の気持ちを全然考えていない」は「あなたは女性のことを考えていたのか」という疑問につながる。

振られた後も教えられていたインスタグラムのアカウントの確認を欠かさず、「見るのが止められない」と嘆く割に女性が書く内容には文句をつけ、矛盾だらけの人に

「アプリを削除すればいいんじゃない?」

という言葉しか出ない。

鼻白んだような顔で私を見て「それができないから困っているんだ」と言う、その目から視線を外しながら

「未練が残るとつらいよね」

と悲しそうな表情を作って返す、

「未練なんかない」

と案の定来るので

「じゃあ何でアプリを消せないんだろうね」

と口にするとやっと黙る。

何もかもが矛盾、そんな心根で人と会話してるから嫌な思いをする。
嫌悪感はみずから生んでるんだよ、自分の態度が相手にどんな印象を残すかって頭がないから親身になってもらえない。

こうやって孤立していくんだよね。

「100で愛するかそうでないなら一切関わるな」の人ほど、己の言動をちゃんと見ない。
矛盾と葛藤を人のせいにして自身の責任にしない。
その姿勢が顔をしかめられる理由さ。

愛されない自分は己が作ってるって話。

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