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美女でもイケメンでもモデル体型でもない、だからどうした

スタイリストという仕事をしていると、

「○○さんは綺麗だから素敵に決まるんだよね」

「あの人はイケメンだから何やっても似合うよな」

「私あんなモデル体型じゃないから無理だわ〜」

みたいな感想をよく耳にします。

要は「私はそうじゃないから同じものが似合わない・素敵に見えない」と言っているわけです。
 

はい、比べたらそうなりますがなにか?

 
身も蓋もない言い方をすると、残念ながら元のスペックが違うというケースがある。どんなに頑張って痩せたって横浜流星くんみたいな綺麗な横顔にはなれないし菜々緒さんみたいなヒップラインにはなれないケースがほとんどなわけです。

僕だってね、ズルいと思うことありますよ。知り合いのカメラマンさんなんか高身長でイケメンでスタイルも良くてバーテンダーまでやっている。おまけに好青年。天は一物以上与えない決まりって聞いてたんですけど。何物与えとんねん。暇を持て余した神々の遊びか。ザクでガンダムに立ち向かうような絶望的なスペック差を感じます。

でもそれが現実。それが人生。世の中の大多数は「そうじゃない」枠でしょう。

姿形のベースはみんな生まれた時点でほぼ決まっている。

なら、人と比べるのではなく、自分のスペックを極限まで活かそう、良さを発揮しようと考えた方が健全だと思いませんか。
 

今世の中は「多様性を認める社会を」なんて言ってますが実感出来ている人がどれだけいるだろうか。そもそも「ファッションモデル基準じゃなきゃいけない」と思うからおかしくなるんです。180センチの人には180センチの良さや似合う服があって、150センチには150センチの良さや似合う服がある。着物だって本来はちょっと恰幅のいい人の方が収まりが良く見えるように作られてる。恋愛的な外見や身長の好みだって色々でしょう?

スタイリストという立場として言えば、モデル体型の人は「セレクトが楽で助かるな」というくらいの感覚です。例えば全身Sサイズで選べばほぼ着れると分かればサイズで悩む時間が省ける。実際そんな例はほとんどなくて、多くの場合はトップスはこのサイズでボトムはまた別で…と悩むのが普通。さらに体型の変動が頻繁な場合もある。でもそれが当たり前であって、個人差があるだけの話でしかない。

 
じゃあどうやって自分のスペックを活かせばいいのか。

まずは受け入れることです。客観的な自分の姿を。なんか宗教っぽいけど続けますよ。

現実を認識した上で、どうやったら今より魅力的に見えるか考えたらいい。これって本当に簡単なことです。お洒落以前のことだったりもする。

例えば、僕で言えば身長は170に満たないしスタイルは良くないし飛び抜けたイケメンでもない。だからと言って「どうせボクなんか…」と髪の毛伸びっぱなし、服は高校時代から着てる学校のジャージ、というステレオタイプな自宅警備員イメージだったらどうでしょう。ちょっと身なりを整えるだけでも全く見え方が変わってきますよね。

比べるから余計な感情が生まれてくるんです。自分はどう見せたいか、どう生きたいかを決めて、それをファッションでもリンクさせて追求していけばいい。自分の基準でもうちょっと痩せたら着たい服が着れるなとか髪型変えた方がいいかもとか思ったなら、自分の責任において実行すればいいだけの話です。変なコンサルや似非スタイリストにあーだこーだ言われてするもんではない。
 

最近はファッション界でもかなり変革が起こってきていて。

広告といえばスレンダーな女性が登場するのが当たり前でしたが、プラスサイズモデルという概念が出来て、紙面やランウェイを飾るのが普通になってきました。ちょうどcakesさんで連載をされている方がいらっしゃったので引用させて頂きますね。

そして150センチくらいの小柄女子をターゲットにしたブランドも急に増えている印象です。伊勢丹さんでは定期的にこんなイベントを行っていますね。

これらのポジションは、これまである意味「我慢」を強いられてきたジャンルでした。いわゆる”普通”の、平均的なサイズ感ではないゆえ決められた狭い中から選ぶしかなかったし、疎外感を感じている人も居たでしょう。

ところが「”世間の普通”に当てはまらなくってもいいよね」というパラダイムシフトが起こって、その人にとっての「普通」が当たり前に主張できるようになってきた。そしてそれが大きく支持される時代になっている。ビジネスとしても成立してきています。

 
もう一度言いますが、世間はいわゆる美女でもイケメンでもモデル体型でもない人が9割です。そうじゃないからって何だって言うんだよ。ここえなりかずきのモノマネ口調で。

魅力が一個もない人はいません。必ずなにか見つかる。それを大事に育てて、自分がより魅力的に見える服で飾ってあげましょう。ファッションの力でガラッと変わります。

身長のある女性だったらオールインワンが似合うかもしれないし、男性だったら格好良くロングトレンチが羽織れそう。ふくよかな体型だったらあえて強い色味や肉感的なデザインを着てみるとか、ミニマムなサイズならそのキュートさやコンパクト感を活かすようにルーズにならないセレクトをすればいい。

変に世間の平均や目指す必要のない理想に合わせようとするからこじらせていくんです。自分なりの個性を引き立てていけば自分自身もラクだし、ファッションも楽しめるようになっていくはず。結果として仕事やプライベートに良い影響が生まれ、望む成果や結果に繋がっていくケースを何人も見てきました。ファッションは一部の意識高い人たちや関係者だけのものじゃないんです。
 

自分に似合う服は世の中に必ずある。多くの人は単に”知らないだけ”。

 
どうやって見つけていくか、具体的に何を着ればいいのか、このnoteをきっかけに多くの方に考えて、知って頂きたいなと思っています。

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