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「高見え」と「高級感」、それは似て非なるもの

今さら聞けないシリーズ、思ったよりも反応を頂いて嬉しい限りです。やっぱりモチベーションにも影響しますのでね。引き続きよしなにお願いいたします。

 
今回は「高見え」について。
ここ数年ですかね、よく見掛けるワードになったでしょうか。

少し高見えを狙ってます!
高見え素材をプラスする事で高級感が出ます!

みたいな文脈で登場することが多く、高見えファッションを掲げたサイトやyoutubeチャンネルなどもあるようです。

この「高見え」、よく「クラス感」とか先ほど挙げた「高級感」とセットになって出てくることも多いのですが、”似て非なるもの”ですのでね。手作りと手作り風、ミラノ風カツレツとミラノ風ドリアくらい違うと思ってください。(ミラノ風ドリアなどミラノにはない)

 
ファッション用語としての”高見え”は「安くクオリティの高くないものを良さそうに見せる」ということですね。題材が主にファストファッションだし、「高」というのは値段であり、品質も指してのことだから。

一方で”高級感”は

品質がよい、等級が高い、といった印象・感想を抱かせる雰囲気

https://www.weblio.jp/content/高級感

とあります。
つまり高級という言葉とはニアリーイコール、違和感がないという位置付けになるから、ベースとしてそれなりのクオリティを備えている必要がある。高級感のある服、高級感のある内装、と書かれていたらかなりハイレベルなものを浮かべるのではないでしょうか。

ゆえに、高見え=高級感という図式は成りたちません。高見えは「そうでないものを高そうに見せる」という意味ですから。なんの忖度なく、事実を言ってます。

だから自ら高見えコーデです!というのは「私は安価で低クオリティなものを着てます!」と宣言してることになるわけですが。どうだい?それがお洒落かどうか疑問だろう?くまだまさし口調で。

個人的に気になるのは、高見えを推進してる人たちが一般人離れしたスタイルやビジュアルだったりすることです。普通の人が真似してもまずそう見えない。正直スタイルが良ければ何を着てもそれなりに見えるわけで「それはあなただから出来るのでは、、」という事例がほとんどのように思う。再現性のないものはあまり意味がないのではないかと。

ゆえに、僕はスタイリングで「高見え」という表現は使いません。値段に対して良いものに見える顔をしてるとか、アイテムのクオリティが高ければ、それこそクラス感があるという表現がふさわしいかなと思う。

 
こう書くとファストファッションをサゲてると言われそうですが、そもそも”高見え”という言葉が良くないと個人的に思っているのです。

今のファストファッション、普通にクオリティの高いもの多いです。僕もユニクロの+Jのアイテムは色々着るし、ZARAのポリエステルシャツはカットも良く洗濯もラクなので夏場に大愛用しています。COSのTシャツは制服のように着てますし。

いいものに対しては、高見えという表現の方が失礼じゃないのかなと。低いものを高く見せますって意味だから。シャネルとかディオールで高見え!とは言わないわけでしょう。元々がいいものですからね。
 

人に対してもそう。
「あなたを高見えさせますよ」ってめっちゃ失礼じゃない?ほなワシ低いんかい!という。これは前から思っていたけども。すごーい今日のコーデ高見えですねーとか言われたら裏で一発かましていいと思う。

ファッションのシステムとしては、まず人ありきなんです。人が主で服が従。

その人の個性や目指したい姿がベースにあって、服にもそれぞれ個性やランクがある。それを掛け合わせて、いかに本人の魅力をアップできるかというのがスタイリング。すべては着る人のためです。急にブランド物を着ても素敵に見えないのは、着る人の現状や個性と合ってないからというのが圧倒的に多い理由。

ゲームで例えるなら、装備に一定レベルが要求されるアイテムがありますよね。そういうアイテムは特別な力を持っていることが多い。それと同じで、着こなすには本人のレベルアップが必要なものもあるということです。

本当の意味での「高見え」は”着た人の力で服をより素敵に見せる”こと。あの人が着ると、あなたが着るとすごく良いものに見える!と言われるのがゴールです。そのためには着る本人もそれなりのお洒落経験があり、良いものもそうでないものも知っている必要があると思います。服は着る人のオーラやパワーがあってこそ輝くから。そこを目指していくのがいいんじゃないかな。

 
ただ高見えという表現は好きじゃないけれど、洋服にはお値段以上に見えるものとそうでないものがあるのは事実。

例えばコットン100%やリネン100%のアイテムはきれいめなものと上手く組み合わせないと安っぽく見えてしまうケースがあります。逆にポリエステルなど合繊のアイテムはパッと見、シルクっぽく良い感じに見えるものもある。

少しでも高く見せよう盛ってやろうというのではなく、良いものの良さは正しく見せる、特徴のあるアイテムは上手に活かしてあげるという正直さと適材適所なスタンスが増えていくといいなと。僕はそう考えています。

まぁ表面的な高見えを極めたいなら「ハイブランド買え」ということで。この項了。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介



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