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【2019 J1 第9節】横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズ ゆるれびゅ~

1.はじめに

平成最後のThe CLASSIC!勝利で終われてよかったです!
試合運びが上手な鹿島に勝った大きな試合、もどかしかった部分を簡単に振り返ってみましょう。

通常レビューは以下になります。

2.スタメン

■横浜F・マリノス

・今回の最前線はマルコス
・渓太が名古屋戦ぶりのリーグ先発。ルヴァンよかったよ!
・これまたルヴァン杯でよかっただった和田が先発。
・負傷離脱していたパギが先発に復帰。おかえり!早いよ(笑)

■鹿島アントラーズ

・怪我人が多いサイドバックにいは永木を起用
・空いたボランチには三竿健斗を起用
・翔さん日産に凱旋。おかえり!鹿島で花開くとは…

3.違和感のあった前半

この試合の鹿島アントラーズの守備は4-4-2の形でした。こちらに中央までボールを持ってくることはOKとしてくれることも他のチームと同じでした。違ったのは、「俺たちは前から奪いにはいかない。後ろを固めるから、そっちのディフェンダーは好き勝手ボールを触っていいよ」という非常に受け身の守備でした。そのため、畠中や喜田は縛られず、「自由だあああ!!!」と自由を謳歌し、比較的楽にボールを持つことができていました

「なんだ、後ろは楽させてくれるじゃん。あれ?なのに何で天純はあそこにいるんだ?しかも中央を固めている相手を引っ張ることなくサイドにいる三好はどうしたんだ?」
こういう状況なのに、天純、三好がそれぞれ取っている行動に少し違和感を感じました。

こちらは前半2分ごろのシーンになります。

前述した通り、「いや、別に真ん中までならどうぞどうぞ」とボールを持たせてくれる状況にも関わらず、天純は、「後ろからのパスを俺が助けなきゃ!」と後ろに下がってきていました
畠中はドリブルで前にボールを持っていくことができるし、喜田も後ろを手助けしているため、これ以上の人手を必要としていない状況です。

「純くんいないなら、俺がいるのはたぶんここ…?」と和田は本来天純がいるべき場所に位置取りますが、彼の本職はサイドバック。相手の陣地深くまで攻めるのは外側を得意とするため、相手からしてみたら中央での脅威をあまり感じません。「なら俺らは中央守ってればいいや、自陣深くまでこないからついていく必要もないしな」と中央を固められたままでした。

「いや、純いいよいいよ。後ろは俺らに任せて、お前はもっと前にいけ」と天純を送り出し、本来いる位置に。和田も本来サイドバックがいる位置に戻ることをしても大丈夫だった状況だと感じました。

また、反対の三好はサイドに開くことが多かったです。本来見るのはレオ・シルバですが、「あれ?中央からいなくなるのか、ならそっちは白崎に任せて俺は自由に中央を守るぜ」と中央を自由に守れていました。そこに入った相手選手を潰すことによって、中央での脅威を取り除いていました。

このように、相手の中央にいる選手たちに脅威を感じてもらえず、他の場所に引っ張れなかったことがこの試合の前半難しくした要因なのではないのでしょうか。

こちらは失点をした前半10分ごろのシーンになります。

前述した選手の位置の影響からか、それぞれの選手がいる位置が遠く、その結果、喜田の周り見えない結界があるかのように、誰も味方がいない状況ができあがっていました。
「これなら囲って取れるぞー!」と鹿島の選手たちは喜田を囲い込み。もつれてボールがこぼれます。ぼっちである喜田の周りには鹿島の選手しかいないため、このこぼれ球を拾うのはもちろん鹿島です。
もうちょっとキーボーへ寄り添ってあげる優しさがあったほうがチームとしても危険は少ないし、キーボーも寂しい思いをすることが少なくなるかと思います。よくできるキャプテンだけど、もうちょっとだけ優しさを!そんな場面でした。

ボールを奪ったレオ・シルバ。「おっ、前が空いているな。これドリブルして進んだら相手を引き付けられるじゃん」抜け目ない彼はそのままドリブル。見事もくろみ通りに喜田、チアゴ、広瀬を引き寄せることに成功。自分はお役御免と、そのあと外を上がる白崎にパスを出しました。
このとき、後ろで虎視眈々を前方を伺っていた安西。「お、広瀬今白崎のとこいったな、これで外には誰もいないぜ。ひゃっはー!!上がってボールをもらえばフリーでもってけるぞ!」仲川が追いつけないくらいの速度で駆け上がってきました。

白崎にパスが出たことにより、「おっと、こっちは俺の持ち分だ、俺が対応にいく」と広瀬が対応に。しかしそこで彼が目にしたのは恐ろしい速度で駆け上がってくる安西。「なんだあれ!?テルも追いつけてねえじゃねえか!?絶対こっちパスくるよ。こっちいかなきゃ…」前に向いている体を反転させた広瀬、しかし来るのは最初から前を向いて全力疾走の安西。ヨーイドンで勝てるわけもなく、そのままシュートを決められてしまいました。

合計で3回も見る人を変えた広瀬。明らかなオーバーワークです。若手の酷使はもちろん推奨されず、疲れからか黒塗りの高級車に追突する可能性もあるため、その示談を防ぐべく、チームにて負荷を分散させてあげられるといいのではないのかと思います。ここはどうなるか、次節以降見ていきたいですね。

4.修正した後半

ハーフタイムで話し合ったのかもしれません。後半になって天純は下りてくる回数が減り、三好は中央付近でのプレーが増えたように思います。
人力による割と適当な集計ですが、天純が下りてきた回数、前半は6回でしたが、後半は2回だけでした。

①和田へボールを落とし、自身はペナルティエリア脇へ走る
②和田は渓太へパス
③渓太はパスし、中央へ移動
④天野は中央へ入った渓太に落とす

こちらは後半59分ごろのシーンになります。

前での仕事が増えるようになった天純。彼の得意技はペナルティエリア脇に飛び出し、相手のボランチやセンターバックを引っ張ってくることです。それを最大限に活かすにはやはり前でプレーしてほしいですね。

和田にボールを落としたあと、自分はペナルティエリア脇に移動。「そこは危ないからついてく」と三竿を引っ張り、中央を空けることができました
そのままパスは渓太までつながり、渓太は天純へパス。三竿が空けた中央に自分が移動し、そこで天純から折り返しボールをもらいました。

この形、後半は多く見ることができ、マリノスの左サイドは天純の独壇場でした。調子がよく、スピードやドリブルで永木を翻弄できていた渓太の活躍もあり、左サイドの攻撃は非常に活発になっていました。

こちらは同点になった後半68分ごろのシーンになります。

ゴールキックからつなぎ、阿部にボールが入りました。すかさず和田が対応し、これに手間取る阿部。それを見逃さなかったのがマルコスと天純。「囲い込め!取れるぞ!!」3人で阿部を取り囲むと、さすがに阿部は苦しい。唯一空いてる横にパスをすることによって逃げますが、「そうくることはわかっていた!ボールゲットだぜ!」と準備万端のキーボーが奪取。そのまま仲川まで繋ぎ、同点ゴール!

前節の三好と違い、機動力があるマルコスだからこそできた素早い囲い込み。前から奪おうとする勇猛果敢な姿勢が生んだグッドゴールでしたね。

5.スタッツ

■トラッキングデータ

この試合一番走っていたのは和田だったようですね。攻守に渡り安定したプレーだったように思いますが、走りでも貢献していたみたいです。
また、3トップのスプリント数が全員20回越えでした。攻撃時の飛び出しや、守備時の追い込みで全力疾走をして貢献していたことがわかります。

■チームスタッツ

(左:マリノス 右:アントラーズ)

・前半

こちらが前半のスタッツになります。
ボールはほとんど保持できていましたが、シュート数は4本、エリア内は2本と、パスを多く回せていた割にはチャンスが少なかった前半でした。

・後半

こちらが後半のスタッツになります。
ボール保持率とパス数は若干下がりましたが、シュート数が12本と前半の3倍でした。エリア内シュートも5倍の10本と、後半修正ができ、チャンスが増えたことが数値からもわかるかと思います。

■個人スタッツ

畠中のスタッツになります。
成功パス数が3桁の109本、ロングボールも9本中6本成功と、相手2トップからのプレッシャーが少なく、持ち上がりなど含め自由に行えたことが数値からもわかります。しれっとシュートに繋がったパスが1本あるのが恐ろしいですね…自由にさせた慎ちゃん怖い…

後半チャンスを量産していた天野のスタッツになります。
成功パス数72本、シュートに繋がったパス2本、クロス10本と、後半になって攻撃に多大な貢献をしていたことが数値からも見えます。調子が上がっているように思えるので、次節も期待したいですね。

6.おわりに

うまくいかずに先制された前半。修正して逆転に成功した後半。自分たちで考え、試合をひっくり返したことは勝利以上に大きな価値があると思います。しかも勝負巧者である鹿島相手に。勝ちを続けることの安定性が今季見られないので、次節で勝利できるかどうかが大事になると感じています。

この試合先発で好パフォーマンスを披露していた和田。まだ天野と動きが被ったり、不用意に中央に入ることはありますが、それでも特殊なマリノスのサイドバックに早くも適応していると言えるかと思います。彼の長所は安定した1対1の守備だと思います。ぜひ!前半6分ごろの阿部との1対1を見ていただきたいです!すぐに滑らず、最後まで相手を見てじっと動かず粘り強く対応していたのは、今のマリノスのサイドバックでは最大の武器だと思います。
安定性の和田、ミッドフィルダーのような攻撃性の広瀬、後方からの刺すような中距離パスの松原、距離問わずパス精度が高いティーラトンと、それぞれの強みがはっきりしていて分かれているため、相手によって先発を変えることが可能な陣容なのはチームの強みなのではないでしょうか。

しかしそんな和田を契約上の関係で起用できない次節広島。平成最後の勝利の勢いを持ち越し、令和初の勝利をもぎ取りたいところですね!

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