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【2019 J1 第13節】横浜F・マリノスvsジュビロ磐田 ゆるれびゅ~

1.はじめに

 前節、新兵器マルコスシステムをもって神戸を粉砕したマリノス。週半ばにあった長崎の悲劇を乗り越え、是が非でも勝利が欲しいと選手サポーター共に強く思ったこの試合。相手の出方を中心に簡単に振り返ってみましょう。

 通常レビューは以下になります。

2.スタメン

■横浜F・マリノス

・前節と同じスタメン。リーグ連勝したい!
・ルヴァンも含めて連勤の畠中。お疲れ様です!A代表選出おめでとう!
・三好がコパ・アメリカの日本代表に選出!世界を感じてきてね!

■ジュビロ磐田

・ロドリゲスが先発に復帰。スピードとパワーがある恐ろしい選手…
・神ンスキー相手にどれだけ点を決められるだろうか…
・大南と小川航基がトゥーロン国際大会の日本代表に選出!渓太の分もよろしくお願いします!

3.前半:ジュビロの何となく守備

3トップはそのときの気持ちで中か外を封じる
5バックは一切前に出ていかないバスストップ状態
中盤はボランチの2人が気合で何とかする

 ジュビロは守備の時は、ロドリゲスとアダイウトンを前に上げ、中山と合流させて3人で前からボールを奪い取りにきました。「うおおおお!」と畠中やチアゴに迫ってくる勢いはすごいのですが、そのルートが気分によってまちまちでした。「そこにいるから出ていくんだ!」ロケットの如く突っ込んでくるジュビロ選手たち。「いや、その方向からくるならこっちが空くんだけどな…」畠中やチアゴは突っ込んでくる相手をものともせず、鋭いパスを空いている味方にバシバシつけていました。

 反対にジュビロの最後方は横に5人が並んだ5バックでマリノスの攻める道全てを塞いできました。「俺は壁…俺は壁…俺は壁…」と自己暗示をかけたかのように決して動かない5人の選手たち。エジガルが後ろに下がってもほとんどついていかずにその場に留まるバスストップの形。某スペシャルワンがボヤーっと浮かびますね…

 前の3人はどんどん突っ込んでいく。後ろの5人は動かない。その間にいる選手は2人だけです。中盤にある広大な空間。そこにいるのは2人だけ。ボールがある方へ2人は寄せる必要があるため、中盤の脇が大きく空くことになってしまいます。この脇の甘さをマリノスは有効活用することにより、効果的な攻めを行うことができていました。

 中盤にある広大な空間。ここに顔を出すマリノスの面々は主に以下の選手たちでした。

①タカ「うっす!きました!」
②ブンちゃん「こんにちは!お邪魔します!」
③マルコス「ちっす。自由なのでちょっと顔出してみました。」
④エジガル「おっ、マルコスいなくて空いてんじゃ~ん♪」

 各ポジションからジュビロボランチに襲い掛かる豪華トリコロール選手陣。しかし、前にいる3人は「ちょ…暑い…戻るのしんどい…」と下がるのが遅く、後方にいる5人は自分たちを壁かバスだと思ってて動かない。そのため、これだけの人数をジュビロはボランチの2人だけでお出迎えしなければいけません。オーダーを取れないどころか、入店時の席案内すら待たせるほどの忙しさ。店内に空席はあるのにお店の入口で延々待たされるお客さんがたくさんいるような状態です。この2人は明らかなキャパオーバー状態を試合中ずっと強いられていました。

4.マリノスの美しい攻め

 こちらは前半9分ごろのシーンになります。

 「前から行くんだー!」とどんどん寄せてくるジュビロの3人。2人のボランチもこれに連動して「俺も前で取るんだー!」と突っ込んできました。「相手が固まってるな。ここを中央に突破すれば敵が少なくなるはず」喜田は扇原とワンツーをしてこの包囲網をスルスルっとかわします。そこで顔を上げた喜田は「お、ちょうど誰もいないところにブンちゃんいるじゃん」と気付きました。フリーなティーラトンにパスをつけたところ、さすがに誰もいないのはまずいと思ったのか、高橋がティーラトンに寄せてきました。しかしティーラトンは既に振り向いて渓太が見える状態に。相手がきたことも見えていたので、そのまま外にいる渓太にパスを出しました。前からきた相手をいなし、最前線までボールを運べた素晴らしいパス交換だったと思います。

 こちらは前半13分ごろのシーンになります。

 相手4人の隙間を見つけたマルコス。狭い隙間大好きな猫のようにそこへ喜々として入り込みました。その瞬間を見逃さなかった畠中。鋭い縦パスをマルコスにビシっとつけます。その後ろで、エジガルが大井と駆け引きをしていました。「ほれほれ~、俺裏に抜けちゃうよ~」と相手ゴール目掛けて走るそぶりを見せるエジガル。「させるものか!」とついてくる大井。「なーんちゃって、本命はマルコスが空けた後ろだ!」相手を引っ張れたことを確認したエジガルはマルコスが空けたスペースへ下がっていきました。間に入ったマルコスは既にターン済みの状態。フリーになったエジガルを見つけることができたため、そこへパス。相手守備陣の前でボールを受けたエジガルは外にいる渓太にパスをつけました。ジュビロの中盤が人手不足で対応しきれなかった場面でした。

5.後半:ジュビロのもっと前から行こう守備

 後半になったジュビロは守り方をよりアグレッシブに変え、後ろにいた5人のうち、両サイドの1人ずつを前に上げてボールを奪おうとしてきました。これによってボランチが歓迎しなければいけない選手が減りました。ようやく今まで逃がしていたマルコスを捕まえることに成功。前の3人の何となく守備も候補が減ったため、なし崩し的にマークがある程度はっきりするようになりました。

 これによって後半開始直後は相手のペースで試合が進み、何度かピンチを迎えてしまいました。しかし、コーナーキックからのカウンターで追加点をゲット。その後はリードしている心の余裕もあって試合を優位に進められましたが、後半開始早々で同点に追いつかれていたらバタバタして別の展開になったかもしれません。しかし、その後無事に得点を重ねることができたマリノス。結果的に4-0の大勝をおさめることができました。

 得点シーンや選手個人の活躍などは他の方が詳しく語っていますので、そちらをご参考ください。

6.スタッツ

■トラッキングデータ

 相手のダブルボランチの一角である山田がこの日最長の12km越えの走行距離。田口も10km越えなど、相手ボランチにものすごい残業をさせたことがわかります。また、マリノスは扇原、喜田、和田の走行距離が11kmを越えていました。バランスを取るために粉骨砕身したことが伺えます。

■チームスタッツ

(左:マリノス 右:ジュビロ)

 シュート数は20本、そのうち枠内は半分の10本。エリア内シュート数も15本と、相手陣地深くまでのシュート数が多かったことがわかります。しかし相手もシュート数が13本と多く、エリア内シュート数も9本もありました。4-0の試合で圧倒していた印象が強かったですが、この数値を見ると多くのピンチを招いていたことがわかります。枠内シュート数は1本だけだったので、相手の精度や質に助けれらたことも伺えます。

■個人スタッツ

 試合をこなすごとに凄みが増しているような気がする超サイヤ人マルコスのスタッツになります。成功パス数が57本あるため、後ろでのパスまわしに多く参加していたことが伺えます。キーパス4本は攻撃で致命的な場面を多く作っていたことがわかります。また、インターセプト数が3回、クリア回数が1回と、守備に関しても多大な働きをしているように思います。

7.おわりに

 神戸戦に続いて大勝をおさめることができました。これも先制点を取ることができたからだと思います。先制点を取られる。守備を固められる。焦る。崩れた陣形で攻め急ぐ。若いチームの典型のようなマリノスですので、これからも先制点を取れるかは勝つために非常に重要な要素になると思います。

 それにしてもこのマルコスシステム(影のティーラトンシステム)は各選手の長所をより伸ばし、短所をなるべく隠すという戦術を決める旨味が存分に出ていると思います。次はより前からのプレスが強く、しっかり中を締めるベルマーレが相手です。このシステムの1つの山だと思いますので、そこでも相手を圧倒し、自チームの自信をつけられたらいいなと思います。

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