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母、病院で大騒ぎ

特養への入所準備と言うこともあり、母を地元の大きな病院へ連れていったことがあった。2016年7月のことである。

全体的な検査は比較的、無事に終わった。そのあと最後の最後になって、輸血をしようと言うことになった。貧血なので、これをしなければ命にも関わるのだ。ことの発端はこれだった。

もちろん処置室には、わたしも弟も入ることになった。看護師さんも普通に輸血を始めようと、針を入れようとした瞬間、母は拒否をしたのだ。「お母さん、これは大事な注射なんだよ。これしなければお母さん具合悪くなってしまうんだよ。」と宥めようとした。その瞬間、母は病室中に響き渡るような声で叫んだのだ。「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」その声は甲高くつんざくような子供の声のようであり、子供より大きいのでそれよりさらに大きい声だった。

処置をしたい看護師さんは躊躇せず、処置を続けようとした。さらに叫び声。暴れ出したので、看護師さんもふたりがかりで、それでも足りないので、わたしも忍びなく母の上に覆い被さり、「怖くないよ。これは良くしてもらうための注射だからね。怖くないよ。」と言い続けた。それでも母の叫び声は続いた。

一緒の処置室にいた患者さんはびっくりして、こっちを見ていた。でもそんなの構っていられない。母を必死で宥めた。33、40分ぐらいであろうか、時間も分からないくらいの時が流れ、看護師さんも諦めた。先生に聞きに行って、処置はせず終わりってことになった。その日はすごく消耗した。そして母を押さえ付けてしまったこと、少し後悔した。


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