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SaaS事業におけるエクイティストーリーの作り方

初めてのnote記事として、SaaS事業のValuationについて記事を書いてから、ちょうど一ヶ月が経ちました。

その後も、資金調達、HR、M&Aについてなど、幾つかの観点から記事を書いていたのですが、ふと気になって、次にどんなnote記事を読みたいか、twitterでアンケートを取ってみたところ、SaaS事業のエクイティストーリーを答えて頂いた方が半数以上となりました。

まだ僕ら自身も大きくなろうとしている最中の中、偉そうなことを言うのも憚られるのですが、こうしたアンケート結果も踏まえ、前回のValuation記事で書いた内容とも関連させながら、今回はSaaS事業のエクイティストーリーについて、考えていることを書ければと思っています。

エクイティストーリーとは何か

そもそもエクイティストーリーとは何か。広義の意味としては、会社の投資魅力を投資家に対して、分かりやすく整理して伝える対外説明となります。狭義の意味としては、エクイティファイナンスを実施する際に、その後の資金使途や事業戦略、成長シナリオなどを投資家に説明し、魅力を伝えるものです。

SaaSのエクイティストーリーにおいて重視すべきこと(原則)

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SaaS事業のValuationで書いた、高いValuationを訴求するために重要だと考えている訴求ポイントを再掲しました。基本的には、上記に書いた、”市場の魅力度””プロダクトの魅力度””推進力”の3つをエクイティストーリーにおいて示すことが重要になると思います。ですが、今回は、これは前提としながら、もう少し様々な切り口について、考えてみたいと思います。

切り口①:短期 / 中長期の確認ポイントを分けてストーリーを提案する

投資家の方にとって、

短期的な確認ポイント:ダウンサイドへのプロテクション 
中長期的な確認ポイント:将来の伸び代

の2つは、分けて評価しているのではないかと考えています。つまり、まず最低限、市場はあるのか、この会社が市場で戦っていけそうなのか、という短期的な確認ポイントを見つつ、その上で、中長期的にどこまで伸びそうなのかをアップサイドとして見る、という考え方です。

短期的な確認ポイントとしては、

・自分達の商品の価値は何か(何が今までと違うのか)
・その商品に需要はあるのか
・他社に対する競合優位性は何か

中長期的な確認ポイントとしては、

・将来的にどこまで市場が伸びるのか
・経営陣として、どのように領域を拡大していきたいと考えているか
・領域拡大に向けたリソース確保のイメージや打ち手が打てているか

などが、特に重視して伝えなければいけないポイントなのではないかと思います。まず、短期的な確認ポイントを伝えて、投資家の方に安心して頂きつつ、中長期的な確認ポイントを伝えることが良いのではないかと思います。

切り口②:自分達が、短距離走タイプ / 長距離走タイプのどちらとして打ち出すべきか、整理する

自らの魅力を伝えるにおいて、自分達が、短距離走として強いタイプか、長距離走として強いタイプなのかを整理をしておくと、エクイティストーリーが伝わりやすくなるのではと感じています。

凄くシンプルに言えば、

短距離走タイプ:成長率が高い
長距離走タイプ:解約率が低い

です。もちろん、成長率が高い & 解約率が低い、の両方が高いことが最も望ましいですし、成長率あるいは解約率が異常に悪ければ、どちらかだけが良くても全く評価はされない前提ではありますが、自分達が最も評価されるポイントは何なのかを整理した上で、それを適切にアピールすることが、適切に自分達の価値を投資家の方に分かって頂くポイントになると考えています。

切り口③:キースライド / 主要KPIを整理する

やや、見せ方的なポイントにもなりますが、適切なキースライドにおいて、適切にキーKPIを整理することが、適切に自らのエクイティストーリーを投資家の方に伝える上で、極めて重要になると考えています。

”成⻑可能性に関する説明資料” と検索すると、freee、sansan、マネーフォワード、ユーザベース、ラクスなど、各社のIPO時における説明資料が出てきますが、それぞれ、やはりキースライドは相当作りこんでいるなと思っていて、

・ミッション/ビジョン
・主要KPIの開示(ARR/企業数/ARPU/売上高CAGRなど)
・競合他社に対する優位性
・今後の市場の発展性、TAM
・自社サービスの今後の展開可能性
・マネジメント体制、エンジニア体制

”成長可能性に関する資料”という名称で、全ての上場企業がIPO時に開示をしなければならないものなので、sansan、freee、マネーフォワード、ラクス、ユーザベースなど、各社の成長可能性に関する資料をダウンロードした上で、各社のキースライドや、主要KPIの開示方法を整理し、自らに応用するというのは有用と考えています。

最後に

株式会社である以上、投資家の方に適切なエクイティストーリーを伝えて、評価して頂くことは避けられない部分であり、SaaS事業においても、その適切なエクイティストーリーの作り方が広がる中で、より、適切に自社の価値を投資家に伝えられる会社が増えればいいなと思っています。

毎度ですが、twitterも細々と頑張っていますので、宜しければフォローしてください!お読み頂きありがとうございました。

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