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教師だったからこそ学生に伝えたいこと

森信三『修身教授録』致知出版 第5講 教育者の道

16年間学級担任を務めた(うち1年は、大学で長期研修)。
私はセンスのない教師だった。
センスがあるなぁ、それに引き換えなんでこんなにうまくいかないんだろう。授業も学級経営も保護者対応も・・・
3年目くらいの時までいつもそう思っていた。
学校に行くのも辛い時があった。
しかし、授業や学級経営の勉強を怠ることはなかった。
学生時代、教師になるにあたって尊敬する先輩に頂いた言葉がある。

1.1倍の努力をしろ。そうすれば、後半になって、指数関数的に実力は伸びていく。だからどんなセンスがある教師だって、学ばないなら教師ならすぐに抜きされる。

この言葉を支えに、ひたすら授業や学級経営を学び、実践し、現実から学び続け、試行錯誤し続けた。

その後、指導困難だと言われるクラスを担任できるようになったり、全国公開の授業ができるようになったり、本を書かせていただいたりと様々な形で教師としてキャリアを積むことができたように思う。

学生たちに伝えたいのはここなのだ。
現場に出たら絶対にうまくいかない。
その時に諦めないで学ぶことが必ず道を拓いてくれるということだ。

ところが実際に当たってみますと、単に教科書の表面に現れている事柄を教えるだけでも、相当に深い学識を必要とするのであって、このことはやがて諸君らが、教生として教壇にたたれれば、すぐにわかることであります。
・・・中略・・・
このように教科の内容を教えることだけでも、実に容易ならざる準備と研究とを要するわけですが、さらに眼を転じて、教育の眼目である相手の魂に火をつけて、その全人格を導くということになれば、私たちは教師の道が、実に果てしないことに思い至らしめられるのであります。

P36

絶対にうまくはいかない。
それをセンスでサッとやってしまう人がいることも事実だ。

そこで、ではわれわれとして、それに対して一体どのようにしたらよいか、ということが問題でしょうが、私としては、それに対処しうる道はだた一つのみであって、それは何かというと、人を教えようとするよりも、まず自ら学ばねばならぬということであります。

P37

まさにパラダイムシフトである。
教師自身が学ぶことで授業、学級経営、保護者対応などに対する課題に対応していくことができる。
これは実感を持ってそう言える。

森先生は師範学校の学生に対して、師範学校の学生たちは5年くらい経つと教師として下り坂になるという傾向を示し、次のように述べている

すなわち単に卒業だけを目当てにして、形式的な勉強だけで十分と考え、自己を人間的に成長させるということを考えない限り、内面的には現在すでに下り坂にあると言っても良いでしょう。

P38

人間として豊かになるために、良書を読んだり、採用試験的な学びだけでなく、人として豊かになるための学びをたくさんすることを推奨したい。

様々な人と出会って学ぶ。
一人旅に行って学ぶ。
バイトや部活やボランティアなどの外のつながりの中で学ぶ。
人を本気で好きになる。
読書をする。ビジネス書も学校教育の本も。
必要感の持てる授業からど真剣に学ぶ。
私はそうやって大学時代を過ごし、教師になってからも学びを続けたからやってこられた。
自己実現ができた。

学ぶからこそ道を拓くことができる。

この強い一念は担当するどの授業でも伝えたい。

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