【新刊】 h024 MUSIC + GHOST (※2022 12/16更新)
※12/16 委託店舗リストを追加
h024 MUSIC + GHOST A5,104ページ、ディスクガイドを除き日英併記 定価1200円(予定)
英文ページの紙幅の都合から当初よりも総ページ数が少なくなりました。日本語文量は当初と同じです。
一つのテーマで本を出すのは久々となる。『FEECO』増刊という名目にしたのは、『ロック・マガジン』の「MUSICA VIVA」を読んでいたから。
『MUSIC + GHOST』の内容は、今年になってから当note/ホームページでコンスタントに言及してきたGhost Boxレーベルが中心となる。同レーベルとそこに属する作家たちは、英国の音楽ジャーナリストであるサイモン・レイノルズやマーク・フィッシャーが憑在論(Hauntology)というタームを用いて論じたことでその知名度を上げた。
より具体的に書けば、彼らが探求するのは58年から78年までの英国地理または文化、それらが在った時代である。マーガレット・サッチャーが首相になり、政府の方針が市場主義へ転換した80年代から、これらの風景は少しずつ淘汰されていった。左派的なユートピア的思想を反映したリベラル色の強い(そしてどこか奇妙な)公共放送や、ライブラリ音楽、ペンギンブックスのペーパーバックについての個人的な記憶。それを音楽へと置換する錬金術的な思索こそ、Ghost Box的憑在論であり、レイヴ・カルチャーの喪失に浸るBurialやKode9らとは向いている方角こそ同じだが、その角度が異なるのである。日本の音楽ジャーナリズムにおける憑在論は、クラブをホームのような場とするアーティストが取り上げられがちなので、古き英国の記憶と交わるGhost Boxについてはまだまともに知られていない。そのムード音楽〜サウンドトラック的な音楽性から、彼ら彼女らの音楽は、単なるモンド的好事家たちの趣味だとか、ノスタルジーの一語で形容されがちだが、そうした消費的態度の産物ではない。変わりゆく世界に対する闘争的な逃避であることが読者に伝えられたら幸いだ。
その他、英国側からは米国版憑在論音楽とみなされたフリーフォーク、ヒプナゴギック・ポップについての論考や、ゲーム音楽についてのテキストも収録。Ghost Box共同設立者ジム・ジュップのインタビューや、hauntologyを感じるディスクガイドも掲載します。
Bandcampからでも購入できます。
委託店舗リスト(随時追加)
Forever Records (大阪 Osaka)
タコシェ (東京)
FILE-UNDER RECORDS (名古屋 Nagoya)
RECONQUISTA
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