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四季と酒02:外出自粛の週末に。発酵保存食づくりのススメ

日々刻々と恐ろしいほどのスピードで広がり続ける新型コロナウイルス。いつまで続くかわからない外出自粛そして自粛アンド自粛で、今週末も自粛です。家から出るのが憚られるなら、せめて家で少しでも楽しいことを。週末のおこもりにおすすめ、発酵保存食づくりはいかがでしょう。

安上がりに暇も潰せるし、自分で「おいしいものをつくる」ってめちゃくちゃストレス解消になるんですよね。毎日少しずつ発酵によって変わっていく風味を味見するという、平日のちょっとした楽しみもつくれます。

塩とキャベツのみ!春キャベツのザワークラウト

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材料

キャベツ:好きなだけ
天然塩:キャベツの重量の2〜3%

作り方

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1:キャベツをひたすらにみじん切りにします。

キャベツを半切りにして、1/2玉になったキャベツを4分割に切り、それを千切りにすると、ちょうど手のひらに納まる大きさでキャベツを掴めるので作業がすすめやすいです。

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2:千切りにしたを清潔なボウルにいれ、キャベツの重量の2〜3%の塩を振りかけます。

保存食づくりのコツは、とにかく清潔な調理器具でやること。ハイターで消毒するなり、ガラス容器は煮沸消毒するなりしましょう。面倒臭いけどやっておくのが失敗なくおいしいものに繋がります。

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3:塩を振りかけたキャベツをよく手で揉み込み、嵩を減らしながら水分を出します。

これまた清潔な手で、キャベツをガッシガッシ揉んでいきます。千切りしすぎたな……と思っても、びっくりするくらい嵩が減るのでご安心を。

はかりがないから2〜3%の塩なんてわかんないよ!思う人もいるかもしれませんね。わたしは正直ちゃんと計ったことがないです。野菜ってモノや季節によって水分量も違うので、塩振って揉んで味見をして「ちょうどいい塩加減だな」と思えればなんとかなります。何度もつくっているうちに感覚も掴めてきますし。はじめてつくる人や腐敗が怖い人は「ちょうどいい塩加減」から気持ち塩を増やすとオッケー。

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4:清潔な瓶やチャック付きポリ袋に空気を抜きながら詰め込み、常温で発酵させます。

キャベツから出た汁で、キャベツ全体が浸されるようにギュウギュウ詰めます。空気中の雑菌に好かれないよう、キャベツが空気に触れないことが重要。

チャック付きポリ袋なら、空気を抜きながらチャックを閉めて、適当なもので重石をしておくと液体にキャベツが浸りやすいです。圧縮されることでより嵩が減るので、袋の端を少し開けて空気を抜いてあげましょう。

3日後くらいから発酵が進んで酸味が出てきます。画像は以前に仕込んでいたもの。塩とキャベツだけで十分おいしいですが、ローリエやキャラウェイ、クミンなどお好みのスパイスを足すとよりおいしいです。

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5:発酵がさらに進み、コクと酸味がいい塩梅になったら完成。保存は冷蔵庫がベター。

1週間ほどたつと、表面にぷくぷく泡がたって、ツンとした酸っぱい香りが立ってきます。食べてみてコクのある酸味になっていれば発酵大成功。乳酸菌たっぷり、自家製ザワークラウトの完成です。

そのまま常温で置いておくとさらに発酵が進み、2週間ほどでキャベツが黄色くなって、古漬けのようにどっしりした風味になってきます。強い発酵臭が好みでないなら、おいしいと思ったタイミングで冷蔵庫で保存しましょう。発酵がゆっくりになります。

そのまま食べるのはもちろん、豚バラブロックやソーセージと煮てドイツ料理「シュトラハトプット」風に。コーン缶とマヨネーズでコールスローに。なにかと重宝します。

なお、ザワークラウトの汁は乳酸菌の塊。残しておいて、次のザワークラウトを仕込む時のブースターにすると余すところなく使いきれます。

新玉ねぎと塩で仕込む「発酵たまねぎ」もおすすめ

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みずみずしい新玉ねぎで仕込む「発酵玉ねぎ」もおすすめ。漬け込むことで辛味が消え、おだやかな甘みとコクが広がります。

みじん切りにした新玉ねぎに3%の塩を混ぜて、清潔な器にいれ、こちらも汁から玉ねぎが浮かないように保存します。

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わたしはタッパーに玉ねぎを入れ、ラップで表面を押さえつけてから蓋をして保存。

ザワークラウトと違い、こちらは発酵が進んでも色の変化が少ないのですが、かき混ぜるたびにシュワシュワ発泡する音が小さく響いてなんともかわいいんです。

4日ほどでほのかな酸味とコク、おだやかな甘みがついてきます。味見してみておいしかったらOK。冷蔵庫で保存しましょう。いろんなサイトでは「2週間を目処に使い切って」とあるんですが、古漬けみたいにできるのかな?とただいま実験中です。

ザワークラウトよりもクセがないので、毎日のごはんにちょい足しするといいです。風味が増しますよ〜。

豆腐に乗っけてかつぶし&醤油で「発酵玉ねぎやっこ」
マヨネーズに和えて「発酵玉ねぎタルタル」
ポン酢に和え、茹でた豚バラにかけて「発酵玉ねぎ豚しゃぶ」

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先日はミンチ状に叩いたカツオの刺身とすりおろしにんにく、青じそ、ごま油と味噌を混ぜた「カツオのなめろう」にちょい足し。

ねっちり濃い味に、発酵玉ねぎの甘みとシャキシャキ食感がいいアクセントになってました。

「ぬか漬け」は野菜も肉も長期保存できて旨味も増す

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外出自粛が長期戦になりそうだったので、ずっとはじめたかったぬか漬けもスタートしてみました。

正直いまぜんぜん仕事がないので、干し椎茸や柑橘の皮を足しながら毎日ぬか床を育ててます。

いろんな野菜を半日〜ひと晩漬けるだけで、おいしいぬか漬けができあがります。

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本体、ぬか漬けはぬか・水・塩を混ぜて、乳酸菌の餌となるくず野菜を漬けては捨て……を繰り返して、漬物を漬け込める状態になるまで2週間ほどかかるものなんですが、世の中には【すでに野菜を漬けられるまで発酵が進んでいるぬか床】が売られています。便利。

下準備が面倒なひとは市販品を買っちゃえばいいと思います。

発酵したぬか床は丈夫なので、冷蔵庫にいれちゃえば毎日かき混ぜなくてもOKですし、市販品は売られている袋に直接野菜を漬けられるものも。

きゅうりやナスはもちろん、ズッキーニやアボカドなどを漬け込んでも美味。なにより漬け込むことで長期保存できるので(生のフレッシュさは失われてしまうものの)、安売りしてる野菜を漬け込んで、日に日に変わっていく味を少しずつ楽しめます。

漬けて半日〜1晩くらいのものはビールに、長く漬け込んだものは日本酒にめちゃくちゃ合います……。

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ぬか漬けは肉を漬け込んでもおいしいんです。写真は漬け込んで1週間の豚ヒレブロック。

野菜を漬け込んでいるぬか床とは別に、肉用にぬかを適量とって肉に塗りつけるだけ。びっちりラップをするか、チャック付きポリ袋にいれて空気を抜いて保存、熟成させます。

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とある日は、1.5cmの厚さに切って、周囲に着いたぬかごと焼き上げ、白ネギと合わせました。

ぬか床の菌たちが肉を柔らかくして、しかも肉の旨味にぬか床の旨味プラスされるんです。

分厚く切ったにも関わらず、噛めば肉の繊維がほろほろっと崩れて超やわらか。肉の内側まで旨味が染み込んでいます。味噌でもなく醤油でもない、ぬか漬け肉独特の香ばしさと甘み……。めちゃくちゃおいしい……。

野菜のぬか漬けは苦手でも、肉のぬか漬けはイケる!って思う人は多いと思います。しかも生肉のまま保存するよりも日持ちします。

注意点は、生肉を漬けるため、ぬかの再利用ができないこと。肉を漬けたぬかで野菜を漬けなおすことは絶対NGです。

酒粕や味噌、塩麹、「発酵玉ねぎ」に肉を漬けても

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酒粕や味噌、塩麹、先述した「発酵玉ねぎ」で肉を漬け込むのも◎。

画像は塩麹と発酵玉ねぎを合わせたタレに3日漬け込んだ鶏むね。削ぎ切りにして片栗粉をまぶして茹で、鶏しゃぶにして食べました。フワッフワに柔らかいうえ、麹と玉ねぎの甘みが淡白な鶏むねに合わさって、めちゃくちゃビール飲めちゃうやつ〜。

業務スーパーとかで大量に売られてる鶏モモなどを、小分けにしていろんな味で漬け込んでみるとかめちゃくちゃ楽しいですよ。保存も効くし、下味がつくので食べるときは切って焼くだけで上等な一皿に。

発酵玉ねぎは塩分濃度が低いため、単体で漬けるならひと晩〜1日程度で。酒粕には塩分が含まれないため、酒粕と味噌を1:1の割合くらいで混ぜるといいです。

酒粕と味噌を1:1=酒粕味噌ダレ
塩麹と発酵玉ねぎを7:3=発酵ねぎダレ
塩麹と酒粕を7:3=酒粕麹ダレ

などなど、いろいろお試しください。

自分でつくる保存食は心身を健やかにしてくれる

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出かけられないフラストレーション、そもそも収入減ったから出かけられない虚しさ、友人やパートナーに会えない寂しさ、そして何より感染拡大が止まらない世の中への恐怖と絶望感。

今週もまたすり減り続け、自粛自粛の週末がやってきます。

家にいるとついついSNSばかりみてナーバスな気分になりがち。この土日は、えいやっとSNSを閉じてたくさんお仕込みしてみてください。朝イチで買い物に行ったらばもうあとは家で。

仕込む際は調理器具や手を清潔に保つよう心がけて。

好きなアーティストの音楽をかけて、晴れていたなら窓を開けて。

手を動かすことでその時ばかりは不安が遠のくし、自分でつくる保存食は、仕込む時間や思い出もひっくるめて、心身を健やかにしてくれます。

「おいしいなあ」と心が温まるひと時を少しずつ積み重ねて、先の見えない不安で悲しい日々を、なんとか、なんとか生き抜いていきましょう。

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