秋を感じて…
ちょうど3週間前、東京のコロナ感染者数が落ち着き始めた頃神奈川の実家に帰省した。
身体が不自由な父と一人で介護する母の様子が気になったからだ。
父は浴室で倒れ、脳の手術をしてからというもの段々と足も弱り今では外出時は車椅子、普段はずっとベッドにいる。
私が帰省した時は終始穏やかで、ベッドに座り長時間テレビを観ていた。
そんな父は孫のことはだいぶ記憶から薄れているが、私のことはまだ覚えている。
そして私に尋ねる。
「新潟は桜が咲いてるか?」
「今は秋だから紅葉だよ」
と答えると
「ああ、そうか〜」
とその時は納得した様子だが、暫くすると再び同じ会話が繰り返される。
母はそんな父に認知症がこれ以上進行しない様によく話し掛けていた。
実家から帰ってきて、新潟は紅葉の見頃を迎えている。
「こちらは紅葉が綺麗だよ。お父さんにも見せて」と言葉と写真を添えて母にメールを送った。
「ありがとう。旅行には行けないけど、写真を見て満足です。」
と返事が返ってくる。
その言葉に思わず涙が頬を伝う。
遠くにいると出来ることは限られる。
せめて写真から秋を感じて欲しい。
そして次は冬、そしてその次は春の写真を送り両親を様々な所に連れて行ってあげたい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ひら
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