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平凡女の人生衝撃急展開④~ポッコの正体が明らかに~


「なんかお腹空いてきちゃったんだけど」


病院の待合室。予約はしているけど、なかなか呼ばれない。みんな呼ばれていないご様子。長引いてるような雰囲気がガンガン漂う。

「緊張感ないな」

「だって最近、やたら腹へるんだもん」

「そんなん聞いたら、俺もへってきたわ」

この日、ポッコ(第3話にて突然登場。私にできた悪性です)の診断結果を聞きにきた。これで私の今後が決まる。手術内容も治療方針も。


未来の光の明度や彩度も。


「この辺り、ラーメン屋多いねんな」

「ラーメン食べたい!久しぶりに味噌ラーメン!」

「調べてみっか」

未来が決まるというのに、緊張感のない夫婦。
いや……本当にお腹空いてたんですよ。


ポッコの診断結果、ひとりで来るはずだったんだけど旦那も行くと言ってくれた。まあ、その方が私も心強いし、先生から直接聞いた方が説得力もあるだろう。

絶対私よりドキドキしてるのに、待合室でラーメン屋をググるはめになる旦那ってば一体……。


というわけで第4話、始めます。

書き始めたときは、こんな未来を予想もしていませんでした!

未来予想図はほら、思ったとおりに叶えられてく。
……以上のことが起きていくんだよ。


MRIを乗り越えて


私は晴れ晴れとしていた。
なんてったって、あのMRIをやり通したんだから!

そして、ポッコの診断結果発表前日は、激推しメンのライブだった。

「またかよ」と思わず、付き合ってやってください。これからちょっと、行けなくなっちゃうんで。(読んでる皆さんには関係ないけどね)

MRI→推しメン→治療方針決定…って、我ながらすごいスケジュール。しかもこの日は、推しメン&推しメン。推しメンが2倍。いつもはひとりのライブイベントなんだけど、本命バンドからさらにひとり入ってのライブ。


え?私の状況、知ってる??って勘違いしちゃうくらい、鼻血ものの一夜だった。


私ってば、こう見えて(私を知らない人の方が多いけど)東北出身の超控えめ人間。ライブは毎度、後方から盛り上げたいタイプ。ステージ全部見える位置が好きなんです。

ライブハウスもホールも最前列を体験したことはあるけど「ひええええぇぇぇーーー」と思って終わったこともあったし、音がうまく聴こえないこともあったし、足しか見えないこともあったし。(武道館やアリーナ系は、また別の話ね)

推しが「そこに居る」現実を味わえたり、表情のひとつひとつが見えたり、最高な瞬間はいっぱいあるんだけど、やっぱり私は緊張しちゃうから後ろで騒いで盛り上げたいのよな。


そんな私がよ。


ちっちゃいライブハウスで、椅子が出ていて、激の推しメン君がすぐそこの状況で最前列に座るという快挙。いや、全速力の勇気。


今までは、入るとすでに最前列は埋まっているから自然と後ろに座っていた。なのに、この日はなぜか1席空いていて。最近仲良くなった同担の皆さんにも「座りなよー!」って勧められて。

いつもの私だったら「いやいやいやいや!」って断ってた。

でもさ。次、このライブに来れるのいつ?って頭をよぎってさ。
チンって座っちゃったよ。

まぁ、顔なんて見れるわけもなく、ギター弾いてる手とかピアノ弾いてる手とか見てね。MCのときは……どこ見てたっけ。覚えてないや。


そんなこんなで、いつもと違うライブを味わうことができた。

最終診断前にこれ。お酒飲んでキャッキャして、推しメンにデレデレして、幸せだよね。私。


そんな幸せな気持ちで翌日、ポッコの結果を聞きに旦那と病院に向かったのでした。


ポッコの正体


「〇〇番の方~」

予約時間を大いに超えて、やっと呼ばれたようだ。ここの病院はすべて、当日受付したときの番号で管理されている。

「ふぁい!」

ここだと思っていたラーメン屋が予想以上に並ぶとの情報を受けて、ラーメンに行くべきか悩み始めた夫婦が、のそのそと立ち上がる。


「すみません。旦那も来たいって言うもので……」

「全然!構いませんよ~!」

あのテキパキ看護師さんだ。

「もうすぐ、先生来ますんでね。ちょっとお待ちくださーい」


ここでやっと、ドキドキしてきた。ついに来る。運命の時が。

ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……ドキドキドキドキ……


ぇへんがな!」


思わず大阪弁で突っ込む旦那。(大阪出身なのでエセではないです)

今日、先生忙しいんだね。
ドキドキドキドキが止まらないよ!

「遅くなってすみませ~ん!」

初対面のときから雰囲気が大好きな先生。

「だだだ、大丈夫です!旦那も一緒です!」

「はーい。大丈夫ですよ~」

そんなこんなで、ポッコの結果が発表される。……と、その前に、まさかのポッコができるまでの歴史を確認させられた。


2022年末 健康診断でひっかかる
2023年1月 近所のクリニックにて再検査→定期検診でOKとの判断
2023年7月 定期検診問題なし
2024年2月 半年で成長・見事にひっかかかり現在に至る


「はい。そのとおりですっ!」

「でね、検査結果なんだけど……」

ドキドキドキドキ。

「1番軽いタイプのガンだったよ!」


・・・・・エッ・・・・・ホントウニ?・・・・・


「これね。3か所組織取ったんだけど、全部この1番軽い数値だったの」(すみません。このあたり、詳細がうまく書けないほど頭がワーッとなっていました)

「そ、そうなんですね!」

「ステージは……0!!」


ステージ0。ゼロ。ぜろ。ZERO。。。。。


そんなのあるの…っっ!!??

「よよよ…良かったぁぁぁーーー」

椅子から転げ落ちそうなほど、力が抜けた瞬間。目の前がキラキラして、天使さんたちがフワフワと飛んでいるのが見えた気分だった。


「私もね、ステージ1はあるかな~と思ってたんだけど!そう数値出てるからね!」

心なしか、先生も嬉しそう。ありがとう、先生。

もちろん、手術でとってからポッコ自体の検査は必要とのこと。そこでステージはあがることはあっても、今が0だからね!と。


あぁ、ポッコちゃん。
暴れずにいてくれてありがとう。
いつもお風呂で言ってたこと、守ってくれたんだね。

怖いこと言ってますけど、本当にやさしく伝えてたんですよ。

「ポッコよ。お願いだから、どんどん進まないでね。ゆっくりでいいんだよ。暴れないでいてね。」と。

体にやさしく話しかけるの、おすすめします。植物や野菜、果物もそうって言いますもんね。自分に一番近い存在である自分自身の体。ぜひ、やさしく声をかけてあげてください。


絶対、応えてくれますよ!!


いざ出陣


そして手術日が決まった。
4月23日(火)。前日より入院。25日(木)には帰宅。

3泊4日もうちのLoveたち(猫ちゃんね)と会わないなんて初めてなんだけど。そっちの方が心配。大好きな私がいなくて、大丈夫かしらん。


手術は、部分切除を選択した。

全摘・部分切除、どちらもメリット・デメリットを丁寧に教えてくれる先生。全摘の方は放射線治療が不要と聞いて、仕事に支障ないのはこっちか……と思った。だって週5回、5週間絶対受けなきゃいけないんだもん。

「じゃあ、全摘で」

言った瞬間、先生が「えっ!?」とその日1番デカい声を出した。

その「えっ!?」が「残しても全く問題ないのにっ!?取っちゃうのっ!?」に聞こえたのだ。思わず私も「えっ!?」と言って、ふたりで笑う。


放射線治療といっても、ものの2~3分で終わるらしい。受付から会計まで30分程度。仕事がある皆さんは、会社近くの病院で受けているとのこと。

「えっ。仕事、やめなくていいんですか??」

「このレベルなら全然!皆さん、すぐ復帰してるよ」

ファファファファーン♬
頭の中でファンファーレが鳴り響く。歓喜のファンファーレ。

「はわわわわ」

もう、安堵しすぎて言葉になっていなかった。


検査結果を聞き脱力しきった夫婦は、なぜだか駅前のスシローに向かった。ラーメン屋に並ぶ気力はさらさらない。

「寿司サイコー!!」

ラーメンはまた、退院後の楽しみにとっておいて。


ということで、入院してきます!


この期間に出会った言葉シリーズ。
「つらい経験は、やさしさに変わる」
この経験がやさしさに変わったとき、そのやさしさを循環できる人になりたい。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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