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“サバイバー”になりました(下)

こちらは(“サバイバー”になりました(上)|ひらと歩)の続きになりますので、ご注意ください。

 
2021年8月末、
ずっと家族が隠してきた『母親が酔っぱらうと娘に暴力を振るう』という事実がやっと公になりました
(辟音はバイセクシャルですが、体は女子です)
祖母にも、
長い付き合いのある友達にも、
飲みにつれて行ってくれる元先生にも、言わなかったことです。


もうずっと諦めていました。
自分の人生の半分以上、母親が飲んだくれで、
いい加減な食事と兄のお下がりの服か制服しかない中学生時代、
体に合わない子どもっぽいブラをしていた高校生時代、
泣きながら、虫の湧く台所を片付けた大学生時代。


それどころか、母が“ああ”なってしまったのは“自分が悪い子だから”だと、自己暗示していた時期もありました。
自分が人を傷つけるから、我がままだから、人と上手くやれないから、友達を上手く作れないから、学校で上手くやれないから、苦手な教科があるから……

だから、自分は幸せになれない、
ずっと“神様”に罰を与えられている
のだと

そう思うことで、突然豹変する母の“理由”を自分のなかでこじつけていました。

でも、違ったんです。


警察沙汰になったその日、地元の生活安全課に強制的に駅まで送られ、アパートに帰らされました。
無線で「ただの親子喧嘩~~」と言われたのが、とても悔しかったです。

自分は翌日、母親に付けられた顔の傷のために皮膚科と、まったく食欲がないことから精神科に行き、それぞれ治療と診断書をもらい、
その週のうちに地元の刑事課にわざわざ赴いて、被害届か告訴を、と2時間半にわたり話をしましたが、
17時の定時に「折り返し電話するから」と追い出されました。
※通常『犯罪捜査規範61条』により被害届の不受理は許されていません。


自分は、母親から解放されたかった。
解放されるためだったら、相手が犯罪者になろうが、自分も前科一犯付こうが、何でもよかったんです。

機会を逃せば、次はない。
自分の過去も未来も変えるなら、今しかないと思いました。


警察がアテにならなければ、今度は民事です。
弁護士さんに相談にのってもらいましたが、
そもそも親子間では、今の日本の法律の『DV防止法』は適応されず、接近禁止命令など、法律的に身の安全を確保することができないことが分かりました。


刑事もダメ、民事もダメ、
やっぱり誰も助けてはくれない……。

日本のイエの制度は根深いです。
子どもは親の持ち物のように見なされ、自分の意見や立場を“一人の人間”として、見てもらうことが、今でも難しいです。
歴代の政府も、国連やユニセフが設けているような『子どもの権利条約』を批准していないですよね。
他の国では、未成年の少年が裁判で親を訴えて、自分の意思でワクチンを打つ権利を獲得したというのに……成人しているのに、自分は何なのでしょう?


9月中旬、仕事のまだ取っていなかった夏休みを利用して、戸籍の分籍を行いました。
と、同時に、手紙ではありますが、祖母に-自分の結婚を楽しみにしてくれている祖母に、
「独身のままだけど、家の戸籍を抜ける旨と理由」簡単に手紙にしました。

そして、役所で初めて仔細に、自分が11歳からの母親の変化と受けてきた暴力を話しました。
手が震えたり、泣きそうになったりしたのが、自分でも驚きでした。


住民窓口で『住民基本台帳における支援措置』いわゆる住所票閲覧不可措置について説明を受け、その他シェルターや支援できる項目がないか、家庭支援窓口に案内されました。
役所の人はみんな真剣に自分の話を聞いて、安全な方法を一緒に模索してくれました。
ただ、それだけが救いでした。


自分の場合、

・金銭的に余裕のあること
・数年に渡り、別居していること
・すぐに転居できるアテがあったこと

で、『住民基本台帳における支援措置』の住民票・戸籍の閲覧拒否のみになり、
転居前後の所管警察には、捜索願が出ても住所を公開しないこと・出動してもらう可能性があること を説明しに行きました。
転居のアテがなければ、シェルターに仮住まいしていたかも知れません。


ただ、この『住民基本台帳における支援措置』は

1年ごとの更新(書面提出が必要)
自治体で対応のばらつきがある(転居後たらい回しに合いました)
・担当者変更により、再度説明等をしなければいけない可能性がある
・更新時に支援措置が必要ないと判断されれば、閲覧拒否できない
・住民票以外の方法で追跡しようと思えばできる

と、素人目から見ても、あまりセーフティーになってないのが、現状です。
『住民基本台帳における支援措置』と『個人情報保護法』を合わせて、やっと自治体と水光熱・宅配郵便を黙らせられます。
人づてや探偵や尾行、勤め先への問い合わせ……そういったことで、住まいがばれて……ということは十分あり得ます。決して安全ではないのです。
(自分は障害もあり、勤め先を急に変えられないので、職場にカムアウトしたうえで、協力を仰ぎました


“サバイバー”というのであれば、せめて『接近禁止命令』は使えるようにして、安全に生活できるようにしてほしいですし、
国が設けている制度な訳ですから、自治体ごとの窓口の違いや対応の違い、1年更新なんて馬鹿げたことは止めてほしいです。

でも今は、やっと関わらなくていいのだという、開放感はあります。
この体験が、少しでも誰かの役に立てば、自分も救われます。

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