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支払いのみで価値が変化する心理学【結論:前払いで価値が上がります。】

前払いと後払いの違いだけで、価値の差があります。
「両方とも同じではないか?」
と思われるかもしれませんが、次の理由により価値が変わってきます。

タイミングがすべて期待の力が一層強力なのが 、ものを消費または経験する前にその代金を支払う場合だ 。これを説明するために 、出費の痛みに話を戻そう 。なにかを消費する前に代金を払うと 、消費の際に感じる痛みが減る 。たとえば 、三か月後にならないと消費しないものの代金を今支払えば 、一〇〇ドルの品に加えて 、三か月分の期待と夢想と興奮が手に入る 。お値段以上のものが手に入るから 、いよいよ消費するときには 、とても得をしたような気にさえなる 。
アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇- (早川書房)より引用

要約すると
前払いすることで、消費するときの痛みが減り、未来への期待があることで価値が高まる。
ということです。

これだけではわかりにくいので、分解して考えます。

とっても簡単ですよ。

キーワードは3つです。
・出費の痛み
・未来への期待
・価値の本質

一つづつ掘り下げていきます。

出費の痛み

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あなたの足の内ももを指でつねってみてください。
大事なことです。
とりあえずやってみましょう。




ありがとうございます。

痛かったですよね。

これは脳が痛いと感じるからです。
脳の痛いという感覚の領域は「痛い」という反応をしています。


脳科学的に痛い領域が活性化している場合は痛いということが科学的にわかることです

そして、実はお金を出費している場合もこの領域が活性化しています。

つまり、出費は痛いと私たちは本当に感じていることなんです。


これが痛みですが、
このことが前払い、後払いになるだけで体験自体の痛みが変わってくるんです。


具体的にします。

・コース料理で1万円分を「後払いする時」は料理を食べて次のように考えて痛みを感じます。
「これを食べることで、三千円くらい消費してるよな」10の痛み

・コース料理で1万円分を「前払いする時」は次のようになります。
「これを食べても既に、1万円払ってるから安心」5の痛み

※痛みの数字は仮定です。

実際には出費の痛みが減ることがわかっています。

人間の脳は報酬に近づく行動をとり、危険から遠くにいく行動をとります。
脳科学は人格を変えられるか?より参考

痛いことは危険ですよね。

つまり、痛みは少なくした方がマーケティングとしては合理的です。

未来への期待の報酬

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人間は未来を想像できる動物です。
そして、未来の報酬を今受け取り、行動できる生物です。
明日の幸せを科学するより参考

未来を期待することは未来の報酬を受け取ることができます。
報酬を受け取ることは人間が欲しい目に見えない価値です。

脳科学的に考えると、人間はものが欲しいわけではなく、その時の主観的な感情が欲しいのです。

美味しい食べ物が欲しいのは表面的な話です。
本当に私たちが欲しいのは美味しい食べ物を食べた時の気持ちが欲しいんです。

脳が感じる報酬があるからカロリーたっぷり甘いケーキが食べたいんです。

なぜカロリーたっぷりの甘いケーキが報酬なのかは、進化心理学の話になるのでまた今度です。

価値の本質

価値って何?ということですが、早足で要点だけお伝えします。

価値=お金ではなく、その人の主観的な感情です。
欲求の強さが価値です。
脳科学で価値を掘り下げるのであれば、脳の特定の回路のホルモン分泌です。

これが本来の価値の姿です。
ですが、「君の脳の快感具合はどれくらい?」
という質問には答えられませんよね。

主観的な感情は目に見えないからです。
価値って意外と簡単ですね。

なので、わかりやすく利用できるように「目に見える形」にしました。
それが貨幣です。価値(欲求)の大きさを示せます。

価値をあげるのは総合的なこと、前払いは一つの要素

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話を戻して、くっつけます。

さっきの2つがありましたね。
「出費の痛み、未来の期待」
これは目に見えない脳の中で起こる価値です。

出費の痛みが減る → 価値が上がる
未来の期待で報酬を得る → 価値が上がる。


高い価値は高いお金に変換できることはみなさんがご存知のとおりです。

つまりは、前払いのシステムにするだけで物事の価値が上がるわけです。
これが、行動経済学と呼ばれる物です。

実際の商品自体では価値は変わっていませんが、その他の要素も含めて総合的に価値になりますよってことですね。

まとめ
前払いにすると、出費の痛みが減り、未来の期待が上がることで価値が増える。

具体的な使われ方をご紹介

・サブスクリプション1年分
・前払いの飲食店
・旅行サービスの前払いシステム
・ゲームなどソフトウェアの予約販売

この辺りはさっきの基礎をしっかり使っていますね。
正しい価値のあげ方で全員が得しています。


気持ちいい前払い、気持ちの悪い後払い
合理的に消費者のためになるのはどっちでしょうか。

生活の中で使える前払い応用編:出費の痛みゲーム

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・大勢の飲み会などの支払いがあるときに最初にお金を回収する。
これは合理的ですよね。やりましょう

実は他にも出費の痛みの合理的な心理学があります。


・飲み会の時は、誰かが1人で全て払うというルール
これで、みんなの痛みを軽減できます。

要約すると

出費の痛みを人数の総合で考えます。
出費の痛みは金額が大きくなるほど麻痺します。

分かりにくいので具体的にします。

最大の痛みを数字としてみると次のようになります。

10円 → 痛み1
500円 → 痛み3
1000円 → 痛み5
3000円 → 痛み7
5000円 → 痛み8
7000円 → 痛み9
10000円 → 痛み10
15000円 → 痛み11
50000円 → 痛み12

※実際の痛みではなく仮定の数字です。

つまりは、出費の痛みとは大きくなっても脳はそこまで痛く感じないようです。
なので、3人の飲み会の席で1人会計が5000円とします。

出費が5000円の時は痛みは8ですね。
3人あわせて8*3=24です。

これを1人がみんなの分をあわせて支払うと
出費が15000円の時は痛みは11ですね。

つまりは、1人が全て支払うことで出費の痛みが少なくなるのです。

具体的なゲームにしてみると分かりやすいです。

ーーー以下、出費の痛みゲームーーー

司会「3人で次のゲーム繰り返してもらいます。」

ゲーム内容
A.3人で内ももを1人8回の合計24回つまむ。
B.1人が内ももを11回つまむ。

司会「さて、このゲームを10回繰り返してもらいます。クリアの仕方は3人の合理的な判断にお任せします。」

ーーー出費ゲームの攻略法ーーー

このゲームは簡単です。

公平にするなら「Aを1回、Bを1人3回で9回やれば正解です。」

ーーー成功者のゲーム攻略法ーーー
ギブする成功者がそのチームに含まれている場合はこうなります。
「ギブする成功者がBを4回、普通の人が2人でBを3回すれば大正解です。」

なぜ成功者が4回?というのは、ゲームの外で2人から優遇されるからです。
成功者は信用を得ました。

信用がお金の本質です。成功者は常に聡明で合理的です。

詳しくは下記記事で解説しました。

ーーーゲーム終わりーーー

とはいえ実際の飲み会の席ではケチな人がいたり、信用できない人がいたり、お酒が入って感情的になっているので、実際にはハードルが高いです。

これは合理的な判断ができることです。
つまりはこの記事を読む聡明な人だけができるということですね。


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