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こんな症状ありませんか? それってグルテンが原因かも!(5/5)

みなさん、こんちには。
多くの方が悩んでいる症状とグルテンとの関わりについて説明してきましたが、最終回は女性特有の症状について説明します。

多くの女性が悩む子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜またはそれに似た組織が、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し、発育する病気です¹⁾。受精卵が着床しなかった場合、子宮内膜は月経時に血液ともに体外に排出されますが、子宮内膜細胞を含んだ血液が腹腔内に逆流し、周囲の組織と癒着を起こすことがあります。月経のたびにこれが繰り返されると、子宮内膜症は悪化し、痛みや不妊症の原因になると考えられています。

腹痛女性

子宮内膜症は20~30代で発症することが多く、月経のある女性の10人に1人が子宮内膜症です。近年、妊娠回数が減少し、初経が早くなったことで、月経の回数が増えています。これが、子宮内膜症の増加と関係していると推定されています。このような環境要因に加え、遺伝的要因の影響を受ける遺伝性疾患といわれています。

月経前と月経中の骨盤正中部の痛みが典型的な症状で、鎮痛薬で痛みを抑える、あるいはホルモン剤で子宮内膜細胞の成長を抑えるなどの薬物対症療法で対応しますが、場合によっては子宮内膜症の組織を手術で切除する場合もあります。
日常的な痛みを伴うにもかかわらず、基本は薬物による対症療法だけなので、食生活を変えることで、痛みを和らげたり、進行を遅らせたりできないか、いろいろと検討されています。

子宮内膜症

グルテンと子宮内膜症の関係

これまでに分かっていることを整理しますと、

①子宮内膜症と診断された人は、そうでない人に比べ、グルテンに対する自己免疫疾患であるセリアック病の有病率が3.8倍高い²⁾。

②セリアック病と診断された人は、そうでない人に比べて、子宮内膜症になった人の数が1.5倍多い³⁾。

③慢性の骨盤痛を持つ子宮内膜症(関連疾患を含む)の患者さんに1年間グルテンフリー食を食べてもらった結果、75%の人で痛みが軽減し、25%の人は症状に変化がなかった。また大半の人において、身体機能、一般的な健康認識、活力、社会的機能、および精神的健康が改善した⁴⁾。

④子宮内膜症と診断された人は、そうでない人に比べて、セリアック病の有病率が2.8倍高い⁵⁾。

このように、グルテンと子宮内膜症の間に何らかの関係があるのは明らかですが、その因果関係はわかっていません。グルテンを摂ることで慢性的な炎症反応が起き、それが子宮内膜症の症状に影響しているのではないか、と推測されています⁵⁾。

子宮内膜症の人のための食事

子宮内膜症の症状を和らげるため、さまざまな食事が提案されています。アメリカの子宮内膜症財団のウェブサイトでは、子宮内膜症の人が避けるべき食品として、加工食品、アルコール、カフェイン、乳製品、大豆製品、赤身肉、グルテン含有穀物、高脂肪食品、菓子、非有機食品をあげています⁶⁾。グルテンはホルモンの不均衡を引き起こし、臓器に炎症を起こす可能性があると書かれていますが、これはグルテンによる副腎疲労のことを指しているのだと考えられます。

食事に悩む女性

グルテンを摂取し続けると、副腎に炎症を起こすことがわかっています。副腎はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する臓器です。

月経困難症との関係

ところでグルテンを体にとって異物と認識して、自分の免疫系が過剰に働いてしまうセリアック病の患者さんは、グルテンを含まない食事を摂るよう指導されますが、グルテンフリー食に変えてから、重度の生理痛が消失または軽減したという話がよくあります。またグルテン過敏症の女性がグルテンフリー生活をするようになってから、同様に重度の生理痛から開放されたとの事例もあります。ただし医学的な研究報告は今のところなく、因果関係があるという程度の話です。

そもそも生理痛はなぜ起きるのでしようか、生理(月経)は、約1か月の周期で不要となった子宮内膜が出血を伴ってはがれ落ち、体外に排出されることです。このとき、子宮を収縮させる必要があり、プロスタグランジン(PGE2)という物質が子宮内膜で産生されます。生理痛が起きる原因は、次の3つです。

生理痛メカニズム

①プロスタグランジン(PGE2)の産生量が多いため、子宮が過剰に収縮し、陣痛のように下腹部や腰に強い痛みを感じます。またPGE2は発痛物質でもあるので、頭痛や腰痛を伴う場合もあります。

②若い女性や出産経験が少ない女性は、子宮の出口が狭く、経血がスムーズに排出されないため、痛みを感じます。

血行不良でプロスタグランジン(PGE2)が骨盤内に長く留まることとで、痛みが強くなります。

腹部の痛みは、自律神経を介して脳で感じています。グルテンは自律神経のバランスを乱すので、グルテンフリーにすることで痛みが減少した可能性があります。子宮内膜症が原因の器質性月経困難症の場合は、グルテンフリーにすることで子宮内膜症の症状が軽減し、痛みが減少することが考えられます。

思い当たる症状があれば、ぜひグルテンフリーを試して下さい!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
5回に分けて、グルテンが関係する症状をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
当てはまるものがありましたか?
実は、今回紹介した症状はほんの一部で、ほかにもたくさんあります。
医学的根拠が確認されたものから、順次、ウェブサイトに掲載していきますので、ぜひご覧ください。

わたし自身、海外の文献を調べるうちに、もしかしたらこれも…いう症状が、いくつか見つかりました。
現在はゆるグルテンフリー生活で、完全にグルテンを抜いているわけではないので、本当にその症状がグルテンの影響かどうか、確認できていません。
消化器症状以外は、一定期間、完全にグルテンを抜いた後、グルテンを含んだ食事を摂って体調の変化を確認しないと、グルテンが原因かどうか、確認できません。

いずれにせよ、こんなに多くの症状が、グルテンと関係していること、そして、日本ではそのことがほとんど知られていないことに驚きます。
これを読んで下さった方に、お一人でも多くの方に、グルテンフリーを試してもらえたら、嬉しいです。

次回は、「グルテンはカラダによくない!」というテーマで、グルテンを摂らないほうがよい理由について、詳しく解説したいと思います。
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参考文献
1) 日本産科婦人科学会ホームページ
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
2) F M Aguiar et. al., Serological testing for celiac disease in women with endometriosis. A pilot study, Clin Exp Obstet Gynecol, 36(1) 23-25 (2009)
3) Olof Stephansson et. al., Risk of endometriosis in 11,000 women with celiac disease, Hum Reprod, 26(10) 2896-2901 (2011)
4) M Marziali et.al., Gluten-free diet: a new strategy for management of painful endometriosis related symptoms? Minerva Chir, 67(6) 499-504 (2012)
5) Luca Santoro et. al., Looking for Celiac Disease in Italian Women with Endometriosis: A Case Control Study, Biomed Res Int., 2014: 236821 (2014)
6) Check, Please! The 10 Foods Endo Women Should Avoid, Endometriosis Foundation of America
https://www.endofound.org/10-foods-endo-women-should-avoid

まとめ

・月経のある女性の10人に1人が子宮内膜症。
・グルテンと子宮内膜症の間には何らかの関係があるが、詳細は分かっていない。
・グルテンフリーにすると、子宮内膜症の痛み、生理痛が軽減されたという報告がある。


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