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自己紹介:平砂アートムーヴメントについて

こんにちは。平砂アートムーヴメント2020(通称HAM2020)ディレクターの阿部七海です。

この記事ではHAMの活動の動機や昨年度の活動の様子、今年度の《Open Space》開催の経緯についてお話しします。


平砂アートムーヴメントとは?

平砂アートムーヴメント (以下HAM)は筑波大学の有志学生による活動です。
今年度は芸術専門学群の2年生2名と4年生3名の計5名がディレクターとして運営を行なっています。

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2018年に活動を始め、昨年度は筑波大学内において美術展を開催。今年度はつくばセンター広場において《Open Space》をひらきます。

私たちの活動の軸は使われなくなった空間にアートの観点から新しい解釈を与えて再活用すること。そしてアーティストやディレクター、鑑賞者同士が関わること。

とはいうものの、この活動に明確な指針はありません。HAM2019もHAM2020も、特定の場所や環境との出会いによって偶然に引き起こされたものです。

HAM2019《ここにおいて みせる/みる》

2019年5月7日〜19日(制作期間)、5月20日〜6月2日(展示期間)

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《ここにおいて みせる/みる》は筑波大学にある閉鎖された学生宿舎「平砂学生宿舎9号棟」を会場とした美術展です。
募集に応じた筑波大学の在学生と卒業生の55名が出展し、9号棟全体を使って計65点の作品を展示しました。

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140号室 Uchi Yui《はじめまして》(撮影:松岡麻実)

美術展のテーマはタイトルでもある「ここにおいて みせる/みる」。

このテーマは、作家や鑑賞者に平砂学生宿舎9号棟という場所を意識させることを意図して考案しました。

9号棟は昭和50年から平成30年までの約40年間使い続けられてきた筑波大生の暮らしの場所です。
傷や汚れ、何かのポイントシール、ふたえテープのかけらなど、あらゆる場所に無数の学生の痕跡が堆積しています。

そのような場所─ギャラリーのように作品のために設えられた空間とは異なる場所で作品をつくり、展示をするとはどういうことか。
作家には「ここにおいて作品をみせる」ことに自覚的になって制作と展示を行うことを期待していました。

また同様に、鑑賞者には「ここにおいて作品をみる」ことに自覚的になることを期待しました。

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242号室 青山佳乃子《おも影》(撮影:松岡麻実)

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みせる/みる展では来場者にアンケートを実施しました。1357名が来場した中で、748件の回答が集まっています。
その中で「環境を生かしていると思った作品は?」という問いに作品名とその理由を回答した人は約600人。そこでは、鑑賞者自身の言葉で展示への意見が綴られていました。

なぜ「アートムーヴメント」なのか

平砂アートムーヴメントは現代美術を自覚的に指向する展示機会が筑波大学内にないという状況を変えるためにはじまった活動です。

本来ムーヴメントとは、後になって歴史を振り返ったときに見えてくるべきものでしょう。
そうだとしても、HAMの活動がつくばにおけるアートの現状を変える第一歩となり学生の自発的なアート活動が活性化することを期待して、アートムーヴメントを自称しています。


HAM2020 《Open Space》

2020年10月〜2021年3月

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《Open Space》は2020年の10月から、半年をかけて展開するアートプロジェクトです。
つくば市のスコティッシュパブ「フィンラガン」とともに、つくばセンター広場においてアートにまつわるイベントを開催していきます。

きっかけはフィンラガンの店主である松島さんの「市民がアートに触れられる場を作りたい」という一声でした。

フィンラガンはただお酒がある場所ではありません。お酒を介して、人々が新しい交わりを結ぶ場所になっています。
同じようにつくばセンター広場に臨時オープンするフィンラガンでアートと市民をつなぐことができないか、というのが松島さんの考えです。

また松島さんは私たちに「つくばは研究都市で大学にも優れた人がたくさんいるのに、その人たちはつくばに愛着がない。研究者や学生の成果を、つくばの市民に還元できたらいい。」と語りました。

この指摘は確かです。
HAMのディレクター達もつくばを通過点のように感じていました。でも愛着がないのだから、つくばに還元する義理も感じません。

つくば市民にアートを提供するような態度のプロジェクトを行う意味はあるのだろうか。はじめは松島さんと私たちの間にあるすれ違いに戸惑いました。

しかしアートプロジェクトのコンセプトを考案するヒントとしてその状況を捉えたとき、つくば市に根付く人と学生の、このすれ違いこそがつくばの面白さであると思いました。

意識の違う群れがそれぞれの領域で暮らしているまち、つくば。その中心にある窪んだ形の広場を、落とし穴に見立ててみよう。
これから3月までの半年間、私たちはつくばセンター広場でアートにまつわるイベントを催します。

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そこで何が起こるかはまだわかりません。
ですがつくばセンター広場の可能性が、わずかに広がっていくことを期待しています。


◎次回イベントのお知らせ

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トーク#1 落とし穴の輪郭─なぜ今ここでアートなのか
日時: 2020年10月25日(日) 21時〜
場所: つくばセンター広場 +Instagram(@hirasuna_art_movement)でのライブ配信

フィンラガンのマスター松島さんと、HAM2020ディレクターの5人が、つくば、そしてアートについて話し合います。
会場の皆さんからの質問にもお答えします。ぜひお越しください。



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