空軍退役後にツアーガイドとして大日本帝国軍の勇姿を伝える米国人の話
2019年7月。ハワイに行ってきました。
もともとは「クレジットカード対応と銘打っている店舗は多いものの、諸々の理由で決済体験そのものは日本のほうがスムーズだった」とか「物価は東京よりも高い。なんならアメリカの数ある州の中でもトップクラスに高い」など、現実的なレポートを書こうかなと思っていたのですが、予期せず素敵なバスガイドに出会ったのでそのことをしたためたいとおもいます。
それは、なんのことない、JTBが企画している日本人観光者向けのどこにでもよくあるバスツアーでした。
その名も「【JTB限定】オアフ島一周よくばり観光」
この文章は、ツアーを終えホテルの部屋に帰ってきてすぐの当日(現地時間7月16日の夕方)に勢いで書いています。あとで整理整頓することを前提に、ひとまず煩雑に書きなぐっています。
午前。ホテル近くの停留所で待っていると現れたのは、芸人の山口智充(ぐっさん)に見た目がそっくりの米国人。
めちゃくちゃ上手い日本語で「前の席は寒いよ。北海道並に。寒がりな人は後ろね〜」というのが彼の第一声。
席に乗り込むと、テキパキとそのバスガイドはバスを発車させ、アメリカンジョークを言いながら他の停留所に止まり、残りの乗車客の搭乗確認等を進めていく。
「丸1日かけてのツアーなのに、ガイドも運転も搭乗確認も何から何まで一人で回すのか…すごいなぁ」と思ったのが、彼への第一印象。
そして乗車客をすべて集めると、ツアーの説明やガイドの自己紹介タイム。そこで彼の名前が「ジャニー」であることを知る。
ジャニーは運転をしながらヘッドセットタイプのマイクでガイドをしていく。「ここにはキムタクの別荘がある」といったベタだが誰もが興味がある小ネタをいくつもリズミカルに挟みつつ、時折「ハワイと日本の法律の違い」や「日本人観光客がショッピング中に気をつけること」といったバスガイドの本分ともいえる情報発信も欠かさない。どこのお店でどんなお土産が買えるのか、といった情報も余すことなく展開するが、アメリカンジョークを交えたり、具体的な相場情報や割引方法とセットで教えてくれるため、全く押し付けがましくない。
まだツアー序盤にして「このバスガイドは当たりっぽいな」という印象が芽生え始める。
そんな中で、ツアーの序盤にABCマートを通りかかったときに、ふいにジャニーが、「ハワイのABCマートは日本のバブル時代に一気に増えました。ハワイには日本のオーナーが非常に多い。それだけではない、公務員、政治家、医者、学者…ハワイには成功されている日系人がたくさんいる。」という情報を共有してくれました。
「おっ、政治経済みたいな結構ちゃんとしたことも教えてくれるのか〜面白いなー」という感想とともに、ジャニーが当たりガイドであるという印象は確信に変わります。
そんな感じで、ショッピングから飲食店まで、さまざまな場所に連れて行ってくれたジョニー。
日立の木(この木なんの木気になる木〜のCMに出てくる木)の前では、日立の社長がオーナーに、観光客がたくさん見にこれるように年間6000万円の予算を捻出していること、
ハワイにある神社の前では、日本人がハワイに仏教を伝導してきた歴史を、そして日本の本来の宗教は、ヤマテラス大御神からはじまり天皇陛下へと繋がる一本の歴史である「神道」であること、
ショッピングモールでは日本人のマナーがいかに優れており、ハワイの人から受け入れられているかなど、
ハワイのどの地においても、そこにかつて関わってきた日本人の努力や、今なおそれを受け継ぐ日本人の大和魂を伝えてくれました。
ジャニーは繰り返し、そのような日本人の姿勢を「武士道」と言っていました。
そして、ジャニー自身も軍人の家系であることから、その武士道精神の現れともいえる戦争経験者やご年配には頭が上がらないといった話をしていました。
ジャニーは、もともと米国人を対象としたツアーガイドたったそうなのですが、日本人観光客を相手にするというオファーがきたときに喜んで承諾したそうです。
ジャニー自身は元空軍で、日本のバブル時代は日本で働いていたそう。それがどういう流れか、現在はハワイでバスガイド。
ジャニーが、海兵隊や陸軍、海軍を上回るエリート軍人であることを知った僕は「元エリート軍人がJTBの提携会社でバスガイド…?」という部分が気になりました。
そんな親日米国人ツアーガイドのジョニーに対して、僕の心が揺れ動いたのは、ツアー中盤で、
「日本人はハワイでたくさんお金使ってくれるんですよ。ジャニーのお給料ももうすごい。アベノミクスのお陰ね。皆さん日本に帰ったら安倍晋三さんにお礼言っておいてくださいね。あっ、部下というか下に居る人は知らないけどね、桜田さんとか。あの人も本当は違うことを言いたかったんだろうけど、話す内容を紙にきちっと書かないから違うこと言っちゃうのよ」とジャニーがふいに言った事。
僕はこのときようやく初めて、ここがアメリカであるということの実感が持てました。ハワイって日本語が使えることも多く、日本人観光客が多いですから、気を抜くと沖縄にいるくらいの感覚を覚えてしまっていたので…。
つまり、何が言いたいかというと、日本では連日マスコミによって陰謀論レベルのくだらない反自民・反安倍政権の報道が繰り返され、若年層から老人まで「なんか日本の政治家は悪いやつらしい」とか「政治家は胡散臭い、政治の話をするやつも面倒くさい」というような空気を僕は感じながら日本で生活していたわけです。詳しい詳しくないマスコミに洗脳されているされていないを問わず、日本人の過半数は斜に構え穿った目(事実に基づかない噂話を基準とする陰謀論的な目)でしか政治の世界を見ていないと感じていた中で、日本を一歩出るとここまでシンプルな意見がオープンな場でどうどうと聞けるんだなぁというところに感動をしたわけです。
そしてツアー終盤でパールハーバーの前に訪れたとき、ジャニーは太平洋戦争の日本人の勇姿について語り始めます。
はっきりとは見えていなかったのですがご高齢の観光客の方が涙ながらにジャニーの声に耳を傾けていたと思います。
ジャニーは「日本の特攻隊には16歳の少年もいた」といったキャッチーな話をしはじめました。続けて「パールハーバーの開戦は、日本人がアメリカに連絡をせずに条約違反で先制攻撃した…とみなさんは教わっているのかもしれませんが、実はちゃんと当時の山本五十六元首は宣戦布告をしているんですよ。知っていましたか。」といった日本人の自虐史観を説いてくれるような話をしはじめました。締めくくりは「日本はアメリカのすべての戦争の中で最もアメリカに打撃を与えることに成功した国だった」と。この軍人らしい表現も良いですね。
僕はバスに乗っている他の若年層の観光客が、疲れていたこともあったのでしょうがジャニーの話をろくに聞いておらず眠りにふけっていたことがとにかく残念です。
明らかに戦争の話になると高齢者と若年層では聞く態度が違います。
日本人の戦前の勇姿は日本人にだけ伝わることなく、けれども国境を超えた親日国や旧参戦国の人々は、戦争に興味のある人間や近しい職種の人間であれば当然のように知っている…なんというかその矛盾というか皮肉にも思えるこの日本の歴史感を憂うとともに、正しい情報を日本人に向けて繰り返し伝えようとするジャニーのような存在に大きな光を見出した気持ちになりました。
ここからは想像の範疇を超えませんが、おそらく元空軍のエリートが、紆余曲折を経て日本人観光客に向けてハワイの情報をガイドするに至った目的は、日本人が間違って植え付けられてきた戦前の出来事を正しく日本人に理解してほしいというのがモチベーションなのだろうと勝手ながら考え至りました。
実際のところ、アメリカではヴェノナという公的文書が政府から発表されてからというもの、世界大戦前後の歴史の見直しが急速に進んでおり、ジャニーが話したような情報は日本の言論界でも受け入れつつあります。教科書に載っている情報が間違っていることは次第に証明されていっており、いつかジョニーのような存在が日本人にも増え、戦後レジームから脱却できる日が来ることを願ってやみません。
また、最近のさらなる研究では近衛文麿が昭和天皇を陥れるためにマスコミ陣と結託し、日米開戦工作を行ったという説もあります。つまり日米開戦はやはり日本も前のめりだったという古い定説から一周回ってもとに戻るような説。これにドイツやイギリスやアメリカの利害関係が加わった果てに起こされたものが大東亜戦争という結果であるという説もあります。事実がどこにあるのかは現段階ではわかりませんが、ジャニーのように国家のために命を捧げた日本人を思いやる米国人の姿は僕にとって非常に感極まるものでありました。
僕はふいに足を踏み入れたハワイでこんな体験ができるとは全く思っていなかったので、ジャニーというバスガイドの記憶を何らかの形で残しておきたいと思い至り、その備忘録として忘れないうちに煩雑にでも綴っておくことにしました。
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