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DXを意識した環境、建築、空間デザイナーのiPadの活用方法と使用アプリケーションについて。前編

このエントリーは、某デザイン誌に寄稿して内容を一部改変、加筆してまとめているため一部を有料購読限定とさせていただきます。

ガジェットに化してしまった過去のiPad活用の反省からスタート

iPadがAppleから発表されて今年で11年。個人的にはiPad2 Wi-Fiモデル(2011)から使い出し、iPad-Mini Wi-Fi(2013。第二世代)に移行し、延べ4年近く使用していましたが、iPhone6 Plus(2014年)の入手に伴い、殆ど使用しない状態で野放しにしている状況でした。iPadユーザーでは結構あるあるだと思いますが、1番の理由は当時はテザリングがなく、Wi-Fiモデルでは使える場所が限定されるゆえ、外に持ち出してもオフラインで使う場面での出番が多くなるため、先進的なアプリがリリースされている割に使いこなせないでいました。この頃必要に迫られていなかったと分かったのは、iPhone6 Plus以降の大型iPhoneの登場で、ほぼこれ一台でiPadに求めていたことがまかなえてしまったため、iPhoneではできないデザインワークなどのクリエイティブワークは従来のMacBook AirやProで行う、オーソドックスなスタイルに回帰していきます。

転機になったのは、12.9インチiPad-Proの発売(2018年。第三世代)と充電方式の変わったApple Pencil(2018年。第二世代)が揃って刷新されたタイミングでした。Apple Pencilのユーザビリティは周りのUX系、グラフィックデザイナーなどの愛用者から使い勝手の良さを聞いていた事と、これであれば使ってみたいアプリケーションも増えるかもと思ったことも大きかったです。12.9インチは大きさに賛否があるかもしれませんが、デザインでプロトタイピングしたい場面ではやはり画面は大きいに越したことはありません。重さも許容範囲内でした。そこでペアリングがマグネットになりデザインもプロセッサーも刷新されたこのタイミングで購入し、デザインのDXに活用できないかの試行錯誤も含めて再びiPadを使ってみることにしました。

DX時代の活用の仕方を模索→コミュニケーションと連携した使い方

購入にしたのはiPad-Pro12.9 / 512GB / Cellularモデル。Cellularにしたのは、常に持ち運びたかったので社内外のコミュニケーション(LINE WORKS + Slack)での使用がベースになり、各種クラウドでの利用が大前提だったからで、テザリングの煩わしさから解放されたかったことが理由として大きかったです。当たり前すぎて言及も少ないですが、現在のアプリはクラウドが前提であり、安全な回線でやりとりするとなるとダイレクトな回線でやりとりした方が安心ということもあります。ストレージもクラウドが中心で、たまに社内&学内のサーバーにVPN接続するくらいなので、現状の4Gでも十分です。僕が基本的にiPadでやりたかったことは下記になります。

1:インサイト(洞察)→コンセプト構成
2:コンセプトからのプロトタイピングデザイン
(スタディも含む)
3:共有の為のインプットデバイス(コミュニケーション)
4:プレゼンテーションデバイス

僕の場合、一つのプロジェクトを多数の内外部のクリエイターや専門家、有識者と連携して行うことが前提なので、相手方が使用しているツールを共有する必要性が出ます。特にコミュニケーションツールは、社内はLINE WORKS、外部のクリエイターはSlackとLINEが中心で、これで対応できない場合はメールを使うことになります。LINE WORKSは、グループウェアとしての機能があり、社内のメール、スケジュールやタスクの共有、外部のLINEもこれで対応しています。Slackはクライアント側で使っているケースや外部のUX系のクリエイターとのやりとりで使用するケースが殆どです。コラボレーションが容易で現状が把握しやすいので個人的には一番好きなツールだったりします。

DX時代の活用の仕方を模索→環境デザインでの活用

建築や空間デザイン、ランドスケープを伴う住宅開発などの現場では、クライアントや投資家に対して、デザインストラテジストとしてわかりやすく可視化し言語化する必要性が出てきます。また一人のデザイナーとしてプレゼンテーションする場面もあり、その過程のほとんどのデザインワークはMac上で行っていました。既出のiPadでやりたいことで言うと

1:インサイト(洞察)→コンセプト構成
2:コンセプトからのプロトタイピングデザイン
(スタディも含む)

になります。MacBookProなどで持ち運べるとはいえ、もう少しスマートに空いた時間に思考するツールとしてiPadが使えないかと模索している中で、デザインのツールとしてトライアル&実装しているアプリケーションをいくつかご紹介します。また、DXの時代にふさわしい、デスクトップ上でのデザインワークとの効果的な棲み分けも含めて、僕たちが実践していることも合わせてご紹介します。

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