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山に登りたい人が海で暮らすこと

「汚れた手は
亀の子タワシでこするといいよ」

子どもにお母さんは言った。

めいちゃんは小さいから
もうちょっと
手取り足取り教えなくていいのかな?

と思った僕に
違和感を感じて
今、書き留めている。

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パンをこねて、
ベトベトのパン生地の付いた手の
汚れを落とすには、
亀の子タワシでこすると
汚れが落ちやすいわけだ。

パン生地のこね方を
パン屋のお母さんから
色々レクチャー受けながら、
お父さん(僕)、息子、娘と
3人でこねた。

「どうすればいいの?」
「こうすればいいよ」

いろんなアドバイスを受けながら
こねる。

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で、
最後の手洗いのレクチャーを受けて
気付いたわけだ。

******

どこへ辿り着きたいのかといえば、
手の汚れが落ちればいいわけで、
彼女の経験値により、
米糠やら、亀の子タワシでこすると
汚れが落ちやすいと
経験していたから、
先輩の経験を話しただけで、
どんなやり方でも
汚れが落ちればいいわけだ。

だから、
これ以上、
どんな風に手をこすると好い
だとか、
そこまで説明されたり、
言われた通りにしなくても
手の汚れが落ちれば
なんでもいいのである。

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だから、
パンが出来れば
なんでもいいのである。

そこに
人類の経験値を集めた
「型」があるわけだけど、
どこへ辿り着きたいのか
わかっていたら、
その「型」を参考に
より順調に
旅を進めることが出来る。

そして、
そのいくつかの「型」のパターンを
理解すれば
独自の道をも
歩むことが出来るだろう。

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一方、
どこへ辿り着きたのか
わかっていなくても、
その「型」の通りに
進めば、
行き着く先というものが
見えてくる。

というパターンもあって
然りかもしれない。

******

だから
何処へ行きたいのかわからない人でも、
型をなぞれば
それなりに
何処かに辿り着けるはずです。

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でもやっぱり、
最初の
「自分が何処へ行きたいのか」
がわかっていなかったら、
辿り着いた先で
途方に暮れてしまうかもね。

「本当は山に登りたかったのに
海にたどり着いてしまった・・・」
ってね♪

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そこで気がついた僕は
また、
海から山へ歩き始めるんだよ。

損したな。

間違えちゃったな。

なんて呟きながらね。

******

でも、
仕方がないんだ。

最初は何処へ行きたいのか
わかってなかったんだから。

整えられた道順が
矢印で示されていたから
ついつい辿って来てしまったけど
海を見て気付いたんだ。

「ここではなかった!」って。

******

ここでまだ
気づかないふりをして、
みんなと一緒に
海水浴したり、
サーフィンしたりの時間を過ごす。

耐えられるかな・・・

正直な自分に・・・。

******

サーフィンも、
そんなに嫌いじゃないから、
それなりに楽しめる自分もいるし、

意外とうまくこなせたり、
新しい発見、幸せも
見つけられるかもしれない。

海がけっこう
僕には向いているかもしれない。

でも、
僕は山に登りたかった・・・。

******

・・・行くしかないよね。

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