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岩波少年文庫のフォントが好き

子供の頃から不眠症だった。
幼い私が眠れない夜によく行っていた【夜の儀式】があった。

「岩波少年文庫」のフォントを眺めること。

本を読むのではない、ただフォントを眺めるだけ。

大好きな岩波少年文庫の物語の世界を綴る、
ちょと細くて柔らかい優しい字体。
それを見るだけで安心して、なんとなくウトウトと気持ち良く眠れる気がしていた。

岩波少年文庫「プー横町にたった家」A.A.ミルン

そこまで読書少女ではなかったから他の出版社がどんな字なのかはわからない。
フォントオタクでもないからこの字体の名称も知らない。

とにかく「岩波少年文庫のフォント」が幼い私の睡眠導入剤だった。

もう少し大きくなってから「岩波文庫」のほうも読むようになった。

岩波文庫「斜陽」太宰治

やはり柔らかくて繊細な字体。
だが少年文庫と比べると間隔が狭く、文字数が詰まっている。

「大人の本だ」と思った。

フォントの印象で読む本の印象も変わってくる。
重要な要素だ。

「フォントを眺めることで安心して眠りについた」
「フォントが睡眠導入剤だった」
という人に、人生でまだ出会ったことがない。

誰かにこの話をしても、ちょっと引き気味にリアクションされてしまう。

でも本好きな方ならきっとわかってもらえるのではないかな。
もし同士の方がいたらとても嬉しいです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

英李(hirari)



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