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アニメ『ミュークルドリーミー』ここまでの感想

※アニメ『ミュークルドリーミー』のネタバレあります。


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本当はサンリオアニメの感想はそのシーズンが終わってからさらにもう一周して全体を振り返る形で書く方が自分としてはやりやすい。ただ相変わらず他のテーマがなかなか浮かばず、このまま放置状態が続いてしまうのも良くないと思うので、思い切ってこの奇妙なタイミングで書かせていただくことにした。

ミュークルドリーミーは2017年に生まれたサンリオキャラクターである。同じ年には『まるもふびより』というキャラクターも生まれていて、なんとなくまるもふびよりはわかりやすい可愛さやポストぐでたま的な設定から、今後積極的に推されていき近々ブレイクするのかななんて思っていたが、意外にも現状はミュークルの方がサンリオ的には推しているようで実はちょっと驚いた。

ちなみに公式設定はこちら↓

猫ではなくがっつりぬいぐるみである。

で、その大きな活動の一つがテレビアニメ化。今年2020年の春からスタートし、一時の自粛期間の影響により予定通りの放送ができず何週かの空白期間はあったものの、再開以降は順調に続いており、既に続編も決定しているというのだから相当好評なのは間違いないだろう。

当然僕もサンリオ期待のゴールデンルーキーことミュークルドリーミーのみゅーちゃんの出世作となるであろう本作を毎週欠かさず鑑賞させていただいている。やはり『おねがいマイメロディ』シリーズや『ジュエルペット』シリーズに代表されるこの手のサンリオアニメの輝かしき歴史を考えると、例え都庁に磔にされても見るのが筋というものだろう。

当然まだストーリーの途中なのでとりあえずここまで見てきた印象でしか語れないが、結論から言うとこりゃ傑作である。

ベースとなるストーリーに関してはこちらをどうぞ↓


素晴らしきはこの緊張感のなさ。『ジュエルペット』シリーズの感想でも書いたが、僕は基本的に重い話が苦手である。物語や登場人物に感情移入すればするほどつらい状況になってほしくないという心理が働いてしまう。
例えば『アグレッシブ烈子』シリーズはとてつもなく面白かったが、リアルゆえにしんどいシーンがあるのも確かだ。だから僕の中では結局『おねがい』や『ジュエルペット』を超えてはいない。とてつもなく面白かったが。

その点で『ミュークル』は非常に安心して見れるのがいい。それというのも今回担当している監督が『ジュエルペット ハッピネス』も担当していた桜井弘明監督というのが多分大きい。この方の担当した作品は『ハッピネス』と『ミュークル』しか知らないが、非常に特徴的なテンポ感を生み出す人で、一つ一つのギャグの質の良し悪しを超えた絶対的な安定感があり、見る側も安心して身を任せることができる。何しろ僕も初めは何も知らずに見て、あまりにもテンポ感が『ハッピネス』と似てるなと思って調べたら案の定桜井監督だったというくらいなので、どれだけ個性的な作風かがわかると思う。

『ハッピネス』が大好きだった僕にとってその独特の軽快さが非常に心地良く、シリアスシーンはほぼ皆無、まさにサンリオアニメの王道を行く『ミュークル』のいい意味での緩さに大いに楽しませていただいている。

ストーリー的には現状いくらかの伏線がまだ入り口程度しか動いていない中、これから終盤に向けて大きく展開していくのだとは思うが、『ハッピネス』で唯一しんどかったあの終盤の展開があるので、少々の不安も感じつつ引き続き楽しみたいと思う。まあ監督ご自身も何かのインタビューで「基本楽しく」的なスタンスで臨んでいるというのを見たので、急に空に赤い月が表れて全員気が狂ってスカポンダンス踊ったりとかは多分ないと思う。
個人的にはストーリー的にも大して何も起こらずに最後まで行ってくれても全然大歓迎である。


そしてもう一つ、サンリオアニメの王道的要素として「主役キャラクターの公式イメージぶち壊しの理」がある。
『おねがい』では本来ふわふわ可愛い純粋なマイメロディという国民的アイドルにやや狂気じみた腹黒さを感じさせ、『ジュエルペット』では本来「礼儀正しくて、きれい好き」という公式設定のルビーに破天荒なおバカイメージを植え付けた。

この由緒正しきサンリオアニメの儀礼を、さて『ミュークル』はどう受け継いでいるのか。


結論から言うと、ガン無視である。


主役のみゅーちゃんは本来の公式設定とほぼ変わらないふわふわした優しい子。時折変顔も披露するがそれは全員そうなので、一般的な正統派マスコットキャラクターのイメージを逸脱してはいない。文字通り人の傷口をえぐったり、屁をすっこいたりもしない。
個人的にはそもそもが面白いのでこのままでも全然いいとは思うが、たま~にどことなく悟りを開いているかのような言動を見せたりするあたりが少々気にはなっている。マイメロディ嬢もシリーズを追うごとにどんどん歯止めがきかなくなっていったので、みゅーちゃんもこれからどうなるか、といったところである。


そんな中僕が今非常に気になっているキャラクターがいる。
「ゆに」というキャラクターで、みゅーちゃんと同じく猫のぬいぐるみ。ポジションは悪役で、何かと邪魔をしてくるが毎度空回りの末失敗。「つぎ」「はぎ」という手下を連れている。

このゆにが今僕の中でかなり来ているのだ。まあ『おねがい』ではクロミ様、『ジュエルペット』ではダイアナにイカレちまってた僕の趣向からすれば当然の流れである。

ただゆにがクロミ様やダイアナと違うのは、クロミ様やダイアナには平伏したくなるカリスマ性があったのに対し、ゆにには守ってやりたくなる強烈な健気さがあるのだ。

そもそも一人で地上に落っこち誰にも拾ってもらえず、女王様に拾ってもらった後も寂しくて自分でつぎとはぎを作り二人を大切にしている。この時点でもうたまらないものがあるのだが、それだけではない。

例えば、

・自分にもドリームパートナー(人間の相方)ができることになり自分自身の取扱説明書を作る。内容は「オレっちを決して捨てないにゅい」。

・パートナーになった杉山遼仁の誕生日に彼のためにドリーミーストーンを奪ってこようとするも失敗。それでも頑張って小さな飾りを手作り。


このゆにの健気さ。骨身に染みやしませんか?特に大人の皆さん。

ゆににはまだ秘密がありそうなのだが、そのあたりは今後おそらく語られることになるだろう。そして同時にゆにの健気伝説もまだまだ新たなページを刻んでいくことになりそうだ。
このゆにの存在が今ミュークルを見る一つの大きな楽しみにもなっている。


その他人間キャラクターも皆魅力的な子ばかりで、皆が仲良さそうに話してるだけで見ていて癒されるし、主人公の日向ゆめと幼馴染の南川朝陽の今のところ少々もどかしい関係も、おそらく大方の予想している結末をどのような塩梅で見せてくれるのか個人的にも楽しみなところである。
ちなみに私は人間キャラクターなら今井ことこ先輩を推します。大人っぽいけどたまに可愛げある人っていいよね。


そんなわけで今人生の中の大きな楽しみの一つとさせていただいている『ミュークルドリーミー』。
最終回まで見てさらにもう一周した後に初めて見えてくるものもあるだろうが、とりあえず今最高に面白いよ。


今からでも皆絶対に見るにゅい。


気が向いたらお願い致します。サンリオ資金にさせていただきます。