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アニメ『ジュエルペット』全シリーズ感想

※豪快に長いのでお時間のある時にお読みください。また『ジュエルペット』シリーズの豪快なネタバレを含んでいます。

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 さて今回は満を持してジュエルペットシリーズの感想を豪快に書いてやろうと思うのだが、そもそも世間的にジュエルペットの知名度はどの程度なのだろうか?
 ジュエルペットとはあのサンリオ史に残る伝説のアニメ『おねがいマイメロディ』シリーズの後枠として2009年に始まり、第7シーズンまで続いた大人気作品である。
 勿論サンリオファンはほとんどの人が知ってはいるだろうが、それでも観たことはないという人も多い。おそらく現在10代後半~20代前半あたりの女性でここ10年ほどの間にどれかしらのシーズンを観ていた、という人が多いような気がする。正直僕自身は世代的なこともありサンリオファンになるまではその存在すらも知らなかったのだが、サンリオファンになってからはサンリオのあらゆるコンテンツを鑑賞したいという欲求に心を蝕まれているので、何とかしてジュエルペットシリーズも観なければとはずっと思っていた。
 とはいえアマゾンプライムなどといった動画サイトでジュエルペットを配信している媒体が見つからず、観たいとは思いながらもここまで先延ばしにしてきてしまった作品でもある。

 そんな中サンリオはまたしてもその太っ腹っぷりを見せつけてくれた。何とサンリオの公式YouTubeチャンネルにてジュエルペットシリーズを第1シーズンから月ごとに全シーズン配信してくれたのである。

 こんなにありがたい話はない。これでまたサンリオの重要な歴史の一部を知ることができるのだ。 

 現在配信が始まって半年と少し。僕も当然全て見終わってはいる。そして実は早くnoteに感想を書きたくて仕方がなかった。


 なぜならジュエルペットシリーズは間違いなくサンリオアニメの最高傑作のひとつに数えられる大名作だったからだ。


 つまりこの興奮を一刻も早く世に伝えたかったのである。しかしこれまで見てきたサンリオアニメも皆そうだったが、1周するだけでは見えて来ない部分も多々ある。やはり感想を書くならせめて2周はしなければと思い、先日ようやっと2周目が終わったところである。というわけでこれで心置きなく感想が書けるわけだ。


 まずこの『ジュエルペット』という作品をざっくり説明させていただくと、瞳に魔力を持つ宝石を宿したジュエルペットと呼ばれる動物達が人間のキャラクターと交流しながらその成長を見守り、また自身も成長していく物語である。

 このシリーズ最大の特徴として、『おねがいマイメロディ』シリーズのように全シーズンがストーリーとしてつながっているのではなく、各シーズンごとにストーリーや人間キャラクターが完全に一新されるというところにある(レギュラーとなるジュエルペットキャラクターも一部入れ替わる)。それどころか担当する監督やスタッフも変わるので、全体の作風やジュエルペット達の性格までシーズンごとに変化する。その変化にはじめ(特に第1~2シーズンの変化に)は戸惑う人も多いのだが、そういう作品なのだと受け入れることができさえすれば、むしろ次のシーズンはどんな作風でジュエルペット達はどんな性格なのだろうと楽しみに見れるようにもなる。

 そして個人的にはお世辞でもなんでもなく1~7シーズン全てが面白かった。ハズレだと思ったものははっきり言って一つもない。勿論その中での好みの差はあるが。

 そして何より重要なのはジュエルペット達がとにかく可愛い。ひたすらに可愛い。まじで可愛い。もはや怖い。

 さすがはサンリオである。登場するジュエルペットの数は数十体にも及ぶが、見事なまでに全員可愛い。ジュエルペットというシリーズそのものがもう一つのサンリオと言ってもいいくらいにとにかく全員可愛い。
 ウサギ、猫、犬など様々な動物キャラが登場するが、サンリオ自体がそうであるように、あれだけ沢山キャラクターがいれば絶対に誰でもグッとくるキャラクターがきっと一人は見つかるはずである。


 そしてここからはそんなジュエルペットシリーズについて各シーズンごとにざっくりと「あらすじ」、そして感想を「ストーリー」「人間キャラクター」「ジュエルペットキャラクター」「総括」、そして「MVP」の5点に分けて書かせていただこうと思う。ただ上でも書いた通りシーズンごとに作風が変わる作品なので、何を求めるかによって好みが分かれる作品でもあるため、あくまで僕の個人的な感想であるということをご了承いただいた上で読んでいただきたい。


ではどうぞ。


第1シーズン
『ジュエルペット』

★あらすじ
 ジュエルペット達の住むジュエルランドで行われた大掃除のハプニングにより人間界に散ってしまった他のジュエルペット達を探すため人間界に来たルビーが、人間の女の子と交流しながら人間界の滅亡をたくらむジュエルペットのディアンとその妹のダイアナと戦う話。

感想
★ストーリー

 同じ枠で放送されていた『おねがいマイメロディ』のスタッフが一部関わっているため、『おねがい』の流れを汲んで全体的にギャグ路線。『おねがい』ほど頭がおかしいわけでもなければセンス的にも及んでないが、いい感じで力を抜いて見れる軽いノリが個人的には心地良かった。明らかにターゲット層は小中学生女子なので大人の価値基準で細かい矛盾などをいちいちツッコむのは無粋なやつ。

★人間キャラクター
 メインとなるのは3人。夢見がちな主人公と男勝りタイプ、それにお嬢様と『おねがい』のメイン3人にも通じる性格。この手の少女向けアニメでは様式美なのかも知れない。ただそのうち2人の声が本職の声優によるものでないため、セリフの感情表現に乏しくいまいち感情移入しづらいところがあった。まあ仕方ないか。
 個人的には真顔でぶっ飛んだことをする有栖川あおいがいいキャラクターだったのと、その執事で戦闘力の高いジジイの服部がかっこ良かった。つえぇジジイはロマン。

★ジュエルペットキャラクター
 まず何といってもバカ丸出しの主人公ルビーが可愛い。サンリオの公式キャラプロフィールでは「礼儀正しくて、きれい好き」と書いてあるのだが、ここでのルビーは真逆もいいところで、80年代のLAメタルバンドくらい破天荒な性格である。これもまた『おねがい』で本来のイメージをぶち壊してきたマイメロディ嬢に影響されてのことだろうか。しかし個人的にはルビーはこの性格が可愛いと思う。
 あとはやはりダイアナの存在を忘れるわけにはいかない。敵キャラクターでありながらどこか間抜けで可愛げのあるこの感じ、誰かを思い出さないだろうか。そう、紛れもなく『おねがい』が生んだ至高のダークヒロイン、クロミ様である。黒、白、ピンクという色合いもクロミ様と共通する。どうやら僕はこの手のタイプがツボなのかも知れない。今でも全ジュエルペットキャラクターの中でダイアナが一番好きである。シーズンを追うごとに出番が減っていってしまうのがチキショーだが。
 他同じく敵のボスキャラでありながらどこか間抜けなディアンや、癒し系のフローラ、ブスブス言われながらもおいしい役回りのキング(今だったら怒られそうだ)もいい味を出していた。

★総括
 というわけでこのシーズンは力を抜いて見れる軽いノリとルビーという破天荒可愛いキャラクター、そしてクロミ様を彷彿とさせるダイアナの存在が個人的には最大の魅力であった。

★MVP
人間キャラクター/有栖川あおい
ジュエルペットキャラクター/ダイアナ(江戸っ子風にでえあなと呼びたい)


第2シーズン
『ジュエルペット てぃんくる☆』

★あらすじ
 ジュエルランドの魔法学校が舞台。ルビーが人間界で出会った女の子(桜あかり)と共に魔法学校に入学しジュエルスターを目指して共に成長していく物語。

感想
★ストーリー

 共にとは言ってもメインは人間側のキャラクターの成長に重点を置いている。ジュエルペット達はそれを見守るサポート役といった立ち位置である。しかしそれ以前にまず何といっても第1シーズンとのギャップが凄い。ギャグ路線だった第1シーズンに比べこちらはシリアス要素も多くドラマ性が強いため、その作風の違いに慣れるまで少々時間を要する。
 しかし好みは別として純粋にそのストーリー自体は実によくできていて、仲間同士の絆やパートナーのジュエルペットとの絆という点に関しては全シーズン中最も濃厚に描かれており、また全体を通しての大きなテーマである「夢」に向かって全員がしっかりと成長していく様は、否が応でも感情移入させられる説得力を持つ。
 特に中盤以降のエピソードは毎回最終回かと思うほど気合いが入っていて、それでいて実際の最終回ではしっかりとそのハードルをも越え、一切の引っかかりすらも感じさせない完璧なエンディングで締めてくれた。
 間違いなく大人でもハンケチなしに見ることはできない「泣き」の『てぃんくる☆』である。

★人間キャラクター
 メインは桜あかり、ミリア、沙羅、ニコラ、レオン、そして敵役のアルマの6人。あかりが主人公ではあるが他の5人もそれぞれ人間として弱い部分を持ちながら物語を通して成長していく様が非常に丁寧に描かれているので、全員が主役と言えるくらい魅力的なキャラクターが揃っている。

★ジュエルペットキャラクター
 こちらもストーリーと同じく、第1シーズンとのギャップに驚かされる。何といってもルビーの性格である。第1シーズンであれほどバカ丸出しだったルビーがこちらではスーパーよいこちゃんなのである。本来の公式設定にはこちらの方が沿っているのかも知れないが、個人的にはやっぱりルビーはおバカな方が可愛いと思う。
 また第1シーズンで敵のボスキャラだったディアンがここでは味方になっており、赤レンジャーみてえなイケメン正義感キャラになっているのもまたギャップである。しかしある事情により言葉を話さない序盤のディアンは本物の猫っぽくてとても可愛い。
 そしてこちらも前作で敵キャラクターであったダイアナは今回もまた敵キャラクターとして登場する。前作では敵でありながらどこか憎めない間抜けさがあったが、今回は爆裂大シリアスキャラのアルマのパートナーというのもありギャグシーンは一切なく、ミステリアスな雰囲気のキャラクターに徹している。しかしアルマを心から慕い心配しているところは非常に健気でもある。
 あとは他のシーズンでは帰国子女的な話し方をするペリドットがここでだけバリバリ流暢な日本語で話すのも何だか違和感。

★総括
 一作品としてのストーリーという面では文句のつけようのない素晴らしいシーズンであった。全シーズン中てぃんくるが一番好きだという人が多いのも納得できる。ただ個人的にはジュエルペット達の可愛さという点ではどうもやはりギャグ路線の方が生きるように思える。

★MVP
人間キャラクター/ミリア
ジュエルペットキャラクター/ダイアナ


第3シーズン
『ジュエルペット サンシャイン』

★あらすじ
 ジュエルランドにある「サンシャイン学園」(ジェルペットや人間、ロボットなど様々な種族が通う学校)で、ルビーをはじめとしたおちこぼれクラスの「ウメ組」の生徒がそれぞれの夢を見つけ卒業するまでを描いた物語。

感想
★ストーリー

 これまた『てぃんくる☆』と同様、前作の作風からのギャップが凄い。つまり今作は第1シーズン同様ギャグ路線である。それもファンの間ではシリーズ中最もぶっ飛んだ作風として語られることが多い。おそらく前作とのギャップもあるだろうが、全体的な大味さ加減が作風的に情緒不安定な印象を与えるからだろう。事実若い世代は知らないようなパロディ要素がやたら多かったり、急にホラーチックな回があったり、恋愛絡みの話になった途端ガチのシリアス展開になったりと、シーズンを通して統一感がない。
 個人的には序盤がかなり不安であった。というのも序盤のあるギャグシーンにおいて絶対に振りがなければ生きるはずのない唐突すぎるオチを見せられたものだから、よくいるオチだけに重点を置きすぎている勘違い素人レベルのギャグを今後ずっと見せ続けられるのかと思い大いに不安になった。とはいえ大きく気になったのはそのシーンくらいで、以降は大味でありながらも特に押しつけがましさや嫌味を感じることもなく普通に楽しめた。意外にもしっかり感動できるシーンもあり泣いてしまった回もある。まあ終盤のラスボス登場からの急すぎる展開に関しては「疲れたんか!」とツッコミたくなったが。
 ただ上にも書いたが恋愛絡みのシーンになると急にシリアスで重い展開になるので、そのあたりは正直見ていて疲れるところでもあった(わしゃアニメを観て疲れたくねぇのよ)。

★人間キャラクター
 メインヒロインの水城花音が基本的に日常生活においても恋愛においてもルビーとライバル関係にあるため、ことごとくルビーといがみ合ったり見下したりしており、それがギャグシーンであればまだ微笑ましくも見れるものの、恋愛絡みのシーンになると本気で昼ドラのごとくドロドロとした感情をぶつけ合うので、結構見ていて疲れるキャラクターである(わしゃアニメを観て疲れたくねぇのよ)。反対に浅香ひなたは穏やかで可愛いので癒された(ひなたが夢を見つける回は泣ける)。ただ最もキャラクターとして魅力的だと思ったのはヤンキーの藍沢晶子。
 男性キャラクターでは白石御影よりも黒田真砂の方が人間味があって感情移入できた。

★ジュエルペットキャラクター
 作風がギャグ路線に戻ったので第1シーズンのようなおバカルビーが見られるかと思ったら、意外にも周りのボケっぷりにルビーが振り回されツッコミ役に回ることが多かったのがちょっと残念。
 しかし何よりもこのシーズンで最も印象に残ったのはトールだった。第1、第2シーズンではルビーの憧れの相手だったのが、ここでは逆にトールがルビーにべた惚れ。シリアスなシーンでもトールが登場するとルビーへのアホ丸出しの愛情表現によって空気が和み、それでいて決めるところではしっかりとストレートに自分の気持ちを伝え、退く時は潔く退く。そんなトールが実に男らしくてかっこよかった(それだけにルビーにはトールを選んでほしかったが)。
 ちなみに僕の推しキャラであるダイアナはサンシャインでは敵ではないがエリート組のトップとしてやや高飛車なキャラクターとして描かれている。出番は多くないがとてつもなく可愛かった。
 他花音に健気に尽くすチターナや、色々と一生懸命なガーネットに好感が持てるサンシャインであった。

★総括
 情緒不安定なサンシャインであったが、ギャグ回もホラー回も感動回も充分楽しめた。ただ恋愛シーンだけは重すぎて僕にはしんどかった(わしゃアニメを観て疲れたくねぇのよ)。あとはルビーがもっとおバカであってほしかったのとトールの男っぷりに惚れたシーズンでもあった。ギャグは確かにぶっ飛んではいるが、笑いのセンスで言えば次作に譲る。

★MVP
人間キャラクター/藍沢晶子
ジュエルペットキャラクター/トール


第4シーズン
『ジュエルペット きら☆デコッ!』

★あらすじ
 闇の魔力によって地球が覆われてしまうのを防ぐため地球からやってきたヒーロー「キラデコ5」と共にルビー達がデコストーンを集める話。

感想
★ストーリー

 前作同様ギャグ路線のシーズンとなっているが、前作のように急にシリアスな展開になったりすることはなく、全編を通してギャグのノリを貫き通している。また恋愛要素もほとんどない。
 しかもそのギャグがしっかりと笑いにまで昇華できており、妙にセンスを感じるなと思い気になって途中で調べてみたところ、なるほど納得がいった。本作を担当する監督はあの『おねがいマイメロディ』シリーズと同じ人だったのだ(森脇真琴監督)。そりゃ面白いわけである。それを知った上で見るとギャグの角度や演出の仕方など要所要所に『おねがい』節が見て取れる。
 またこれも『おねがい』と同様、ギャグのノリは失わない中でもしっかり最終話付近などは泣きの展開が待っており、序盤から張り巡らされていた小さな伏線が最終話付近で花開いていく様は圧巻で、ギャグ路線なのに「泣きのてぃんくる☆」やレディジュエルペットにも劣らぬ感動とカタルシスを与えてくれる。
 ヒーローという存在といい少年漫画的なワクワク感を味わえるので、男でも入り込みやすいシーズンだと思う。

★人間キャラクター
 基本キャラは5人。うち主役とはいえ珍しく女の子キャラクターは一人のみで、あとは全員男(つまり5人組の戦隊ヒーローの構図)。しかしこれが見事に全員キャラが立っていて、それぞれにしっかり愛せる要素がある。中でもレッドの猪突猛進ぷりが和を乱す感じや、エンジェラとのかみ合わないやり取りが見ていて楽しかった。

★ジュエルペットキャラクター
 まずルビーがジュエルランドで小さなお店を開いているという設定がもう可愛い。しかもそのお店の名前が「きらきら屋さん」とくるからもうたまらん。そして何と言っても第1シーズン以来の愛すべきおバカキャラのルビーがここへきて帰ってきたのが嬉しい。やはりルビーはお淑やかなヒロインキャラや周りに振り回されるツッコミキャラよりも、無自覚の天然により場をかき乱すおバカキャラこそ合っている。個人的にはこれぞまさに理想のルビーであった。また時たま口ずさんでいるきらきら屋さんのテーマやデコラダンスが死ぬほど可愛い。まじで死ぬほど可愛い。
 あとはサフィーである。この『きら☆デコッ!』で僕は完全にサフィーに目覚めた。しかも一話目でいきなり。あのヘドバンのシーン、正直何度も見返した。とにかくこれ以降僕の中でサフィーが可愛くて仕方なくなり、今ではダイアナに次ぐ推しキャラクターとなってしまった。
 しかし何といっても『きら☆デコッ!』を語る上で絶対に外してはならないのがコールの存在である。正直見た目の可愛さで言えば他のジュエルペットキャラクターと比べて少々見劣りするが、敵キャラクターでありながら物語全体を通してのテーマとも言える「光と闇」という点において最も重要な鍵を握っているキャラクターで、瞳に持つ宝石はダイヤモンドにもなり得るらしい「石炭」。実は最終話付近の感動はコールの活躍によるものが大きく、失敗を繰り返しながらももがき、悩み、物語を通して誰よりも成長したコールはある意味でもう一人の主人公なのである。可愛さという点を除いたいちキャラクターとしての魅力で言えば全シーズンを通して一番かも知れない。きっと誰もが強く感情移入できる非常に人間味のあるキャラクターだ。
 その他のキャラクターだとオパールにちょこちょこついていくイオや、あほみたいな自作の歌を流しながら飛行機を操縦するペリドットが何だかとても可愛かった。
 ちなみにダイアナはこれまでと180度方向を変え、完全なギャグキャラとして登場。出番は少ないが印象には残るおいしい役回りであった。個人的には悪役のダイアナの方が好きだけどこれはこれでとても良かった。

★総括
 とにかく全てがちょうどいい。重い展開もなく、ギャグもキャラのイメージを壊さない範囲でしっかり笑える。ストーリーそのものも素晴らしく、キャラクターの可愛さを自然に引き出すのも上手い。正直悪いところなど全く見当たらない。『きら☆デコッ!』だけで記事一本余裕で書けるくらいである。『きら☆デコッ!』最高!デコラ!

★MVP
人間キャラクター/赤城烈(レッド)
ジュエルペットキャラクター/コール


第5シーズン
『ジュエルペット ハッピネス』

★あらすじ
 ジュエリーナ様から人間と心を通わせることで生まれる魔法の宝石を集めるととっても素敵なことが起こるよーと言われたジュエルペット達が頑張って魔法の宝石を集める話。

感想
★ストーリー

 今回もまたギャグ路線。性質的には『サンシャイン』ほど大仰ではなくどちらかと言うと『きら☆デコッ!』のシュールさに近いが、全体的に独特のテンポ感を持っており、脱力系の緩い雰囲気がクセになる感じ。個人的にはこのただただ平和にボケ散らかしている雰囲気が大好きで、観ている最中は過去最高に好きなシーズンかも知れないとすら思った。主題歌も全シーズン中一番の名曲(フェアリーズ『光の果てに』。織田哲郎作曲)だと思うし、毎回最後に伝えてくれる「みんなに届け、ハッピネス!」という何気ないメッセージにもほっこりさせられた。
 しかし残念ながら『ハッピネス』は一筋縄ではいかなかったのである。ひたすらにゆる~く平和に進んできた『ハッピネス』だが、終盤にその空気は一変。ラスボスである赤い月により主役のちありとルビー以外のメインキャラクターがことごとく洗脳され、皆次々とぶっ壊れていく様はそれまでの平和な空気感とギャップがありすぎてあまりにもヘヴィであった(ギャグのノリは保っているとはいえ)。
 あの絶望的な終盤の展開さえなければ本当に最高だった。途中までの軽薄なノリのまま最後までいってくれれば『きら☆デコッ!』さえも上回る個人的最高傑作になっていたかも知れなかった。まさにジュエルペットサッドネスである。
 まあ何だかんだで最終回は感動したけど。

★人間キャラクター
 主人公の月影ちありはひたすらに能天気なポジティブキャラで、ルビーとの絡みはまるでルビーが2人いるみたいで面白かった。
 個人的にヒットしたのが花園まりえ。ちあり達のライバル的な立ち位置で、色々ちょっかいを出してくるがことごとく空回りし失敗。高飛車だが悪人ではなく、芯が強くカリスマ性がある。赤い月による洗脳にもちありとルビー以外では最後まで強靭なプライドをもって抵抗していた。正直全サンリオアニメに登場する人間キャラクターの中で一番好きなキャラクターである。クロミ様といいダイアナといい花園まりえといい、どうも僕の好みはこういう系の方向に向いているようだ。改めてサンリオが好きになってから新しい自分を発見することが多くて面白い。
 また主人公側のトリオよりもまりえ側のトリオの方がキャラが立っていたようにも思えたり。

★ジュエルペットキャラクター
 前作に続きルビーがおバカ丸出しなのが素晴らしい。やはり本能のままに縦横無尽に暴れ回ってこそルビーだと思うし、時々出てくる珍妙なオリジナルソングは笑っちまうほど可愛かった。終盤の陰鬱な展開の中でもその圧倒的な明るさはブレることなく、最後までちありを励まし続けたルビーというキャラクターの魅力は『ハッピネス』で頂点を見たような気がする。監督がそれだけルビーというキャラクターを理解し、魅力を引き出すのが上手かったということなのだろう。
 またサフィーは相変わらず絶大に可愛いし(時たまあざとさすらも感じさせる)、常にハイテンションのガーネットも見ていて楽しかった。
 ダイアナは今回はさすらいのおーえん団長として2度メインで登場している。もはや敵キャラクターだった頃のカリスマダイアナは見る影もないが(野菜ソムリエになったディアンもだけど)、これはこれでまた可愛いので全然良し。というかもはや出番さえあれば良し。

★総括
 終盤までは最高、終盤以降は最悪、という何とももどかしいシーズンであった。何度も言っているがわしゃアニメを観て疲れたくねえのである(まあそもそも36歳のおっさん向けには作られていないが)。
 なので僕の中では一番の問題作という位置づけなのだが、キャラクターの可愛さを引き出すのは本当に上手かったと思う。
 結局のところ名作です。

★MVP
人間キャラクター/花園まりえ
ジュエルペットキャラクター/ルビー


第6シーズン
『レディ ジュエルペット』

★あらすじ
 ジュエルペット達にスカウトされてジュエルパレスに入学した女の子達が相棒のジュエルペットやプリンス達に支えられながら最も素敵なレディである「トップ・オブ・レディ」を目指して奮闘する話。

感想
★ストーリー

 『てぃんくる☆』以来のシリアス要素強めのシーズンである。また歴代で最も乙女チックな香り漂うシーズンでもあり、常に画面には花びらが舞っている(イメージ)。見ている方がこっぱずかしくなってしまうようなシーンも多いため、男性視聴者は慣れるのに少し時間を要するかも知れない。
 しかし男子も女子もどうか序盤で拒絶反応を示さず、是非とも最終話まで観てもらいたい。最後まで観た時、きっと『レディ ジュエルペット』をここまで観てきて本当に良かったと思えるはずだ。
 まず乙女チックな恋愛要素が強い反面、陰謀、黒幕といったミステリー要素も強いというのがこのシーズンの大きな特徴でもある。特に中盤以降にそのミステリー要素は色が濃くなり、登場人物の深い胸中なども交わり非常に緊張感のある展開を見せてくれる。序盤に少々不安を感じながら見ていた視聴者もこの時点でおそらく多くの人が早く続きを観たいと思うほどに物語にのめり込んでいることと思う。
 そして終盤。最高の盛り上がりを見せ全ての事件は解決するのだが、この時点で既に名作と言える『レディ ジュエルペット』が本当に凄いのはむしろここからである。
 通常物語の事件解決とその後のエピローグは最終話にまとめて見せるパターンが多い中、『レディ ジュエルペット』は最後の2話分をがっつりエピローグに使っているのだ。
 それだけにエピローグがこれでもかと言うほど丁寧に描かれており、そこでわずかな心残りすらも全て鮮やかに回収してくれるため、最終話においてはまさに洪水のようなカタルシスを味わわせてくれる。ここまで全話観てきた者であれば100人中100人が泣くのではないかと思えるほど素晴らしいエンディングであり、僕なんかはあまりの見事さに画面の前でスタンディングオベーションを送りそうになったほどだ。
 このエピローグを観るためだけでも『レディ ジュエルペット』は絶対に最初から最後まで観るべき作品なのである。
 また全体的にBGMの素晴らしさも話の盛り上がりに大きく貢献していたことも見逃せない。

★人間キャラクター
 おそらく多くの人が途中までは主人公のももなよりもリリアンに感情移入すると思う。というかしたくなくてもさせられる。それだけリリアンというキャラクターはこの物語の中でも非常に魅力的であり、また感情移入させられるだけの説得力がある。
 しかし最後まで観るとやはり『レディ ジュエルペット』の主人公はももななのである。本当にラスト数話だが、その数話での活躍で主人公かくあるべしをももなは見事に体現した気がする。
 それにしてもこれまでのシーズンのようにメインキャラクター以外のキャラにスポットが当たることが全くないため、メインキャラ以外のレディ候補生達の存在がいまいち感じられないという。
 あと皆よく崖から落ちる。

★ジュエルペットキャラクター
 今回ジュエルペット達は割と徹底して人間キャラクターのサポートに徹しているので、ジュエルペット単体として大きく活躍するのはルビーとルーアくらいである。
 それにしても物語がどんなにシリアス方面に傾いても空気を読まずそのおバカっぷりを発揮しているルビーにはもはやある種のカリスマ性すらも感じられる(物語の性質上前作ほど暴走はしないが)。ここまで来るとサンリオという枠で見てもルビーはもっと注目されていい偉大なキャラクターであると思う。素晴らしいエピローグまで含めて最後までももなの最高のサポート役であった。
 それにしてもシリーズももう6年続いているだけあってジュエルペット達の作画が素晴らしく、特にサフィーの可愛さがえれぇことになっている。
 ダイアナは多少映るがとうとうセリフすら無くなっちまった。ダイヤモンドアイズパワー・・・。
 ところでジュエルパレスの中にあるジュエルペット達の休憩所(?)のような所で、ちょくちょくルビー、サフィー、ガーネット達が何てことのないトークを繰り広げるだけのシーンがあるのだが、個人的にはあのシーンだけで永遠に見てられます。あれぞ天国。あれこそ全シリーズ一の名場面かも知れない。いや、本当に何てことないシーンなんだけど。

★総括
 同じくシリアス要素強めの『てぃんくる☆』も名作だったが、『レディ ジュエルペット』はストーリーも泣きの要素もそのさらに上を行く名作であった。
 ただこれもまた『てぃんくる☆』で思ったことと同じだが、やはりジュエルペット達の可愛さという点では『きら☆デコッ!』や『ハッピネス』などのギャグ路線の方が生きているように思う。
 まあストーリーがこれだけ面白きゃそこまで望むのは我が儘な欲求だけどね。

★MVP
人間キャラクター/ももな
ジュエルペットキャラクター/ルビー


第7シーズン
『ジュエルペット マジカルチェンジ』

★あらすじ
 人間が魔法の力を信じなくなったせいで人間界に落っこちてきてしまったジュエル城を元に戻すためジュエルペット達が人間界で修行する話。

感想
★ストーリー

 7年続いた素晴らしきジュエルペットシリーズもこれにてラストシーズン。
 シリアス気味だった前作とは180度真逆の、第1シーズンを思わせるゆる~いギャグ路線。全編通して緊張感のかけらもない軽薄なノリで、『てぃんくる☆』や『レディ ジュエルペット』のようなシリアス路線も面白かったが、やはりこれぞジュエルペットといったこういう明るいギャグ路線こそ最後を飾るにはふさわしいと思う。
 ギャグのセンスは『きら☆デコッ!』や『ハッピネス』には及ばないものの、何も考えず力を抜いて楽しめる感じが心地よかった。まさに第1シーズンに近い感覚である。
 とはいえここへ来てまさかのジュエルペットが魔法の力で人間キャラクター化するという攻めた設定に踏み込んでいる点も見逃せない。賛否両論分かれそうなところではあるが、これが見事にそれぞれのキャラクターのイメージと人間化した姿がマッチしている(と個人的には思った)ので、僕は全然受け入れられた。
 個人的には微妙に出てくる恋愛要素は余計だったかなと思うが、まあそもそも36歳のジジーをターゲットにはしていないという前提があるので、しっかりターゲット層に好評なら全然いいと思う。
 過去シーズンのルビーや主人公キャラが一瞬登場したり、他のサンリオキャラクターがぬいぐるみなどで登場したりといったこのシーズン独自のアイデアも素敵なサービス精神として楽しめた。

★人間キャラクター
 全シーズン中最も主要人間キャラクターが少なく、メインとなるのは主人公の雲母あいりと兄の雲母朔太郎、あいりの友達の福王子ローラのみ。キャラ的には福王子ローラのあほ丸出しっぷりが楽しかった。
 しかしジュエルペット達の人間化した姿に気合いが入りすぎて、あいりやローラが少々地味に見えてしまうという悲しみも。

★ジュエルペットキャラクター
 まずこれだけは言いたい。なぜここへ来てサフィーとガーネットをレギュラーから外したのか!
 第1シーズンからルビー、サフィー、ガーネットを軸にジュエルペットはずっとやってきてファンとしてもこの3人には尋常ならざる愛着があったというのに、なぜ最後までこの3人でゴールさせられなかったのか。まあマジカルチェンジが始まった当初にシリーズ終了の話はなかったのかも知れないが、やはりこの3人の軸は守ってほしかった。人間化は成功だったと思うが、サフィー、ガーネットのレギュラー外しは個人的にマジカルチェンジで最も残念なところであった。ジュエルペットサッドネスである。
 それと前作に続いてレギュラーのルーアだが、実は初めのうちはルーアの立ち位置はダイアナが良かったのではないかと思っていた。第1、第2シーズンでルビーのライバル的な立ち位置だったダイアナがラストシーズンで再びライバルとして戻ってくるという構成美と、単純に好きでまた見たかった(今回出番皆無)という気持ちがあったからだ。ただよくよく考えてみればギャグ路線である今作でルーアを出さないと前作のイメージからルーアだけジュエルペットの中でシリアスイメージを持たれたまま終わってしまう。やはりジュエルペットたるもの魔法力なんかよりもマヌケ姿を視聴者に晒さないことには一人前とは言えない。そういう意味で今作でのルーアはローラのツッコミ役に回ることが多かったとはいえ、シリアスイメージはだいぶ緩和されたし、何よりとても可愛かった。
 ルビーは今回も絶好調。しっこ漏らすわ屁ぶっこくわのロックンロールルビーショーを楽しませてくれた。人間姿もイメージ通りで可愛かった。

★総括
 ストーリーやメッセージ性もあるにはあるのだが、それよりもただ何も考えずバカバカしいギャグとジュエルペットの可愛さを堪能できるシーズンである。
 しかし何度も言うようだがサフィーとガーネットのレギュラー落ちだけは残念でならない。こればかりはちょっとすみませんである。ジュエルペットサッドネスである。

★MVP
人間キャラクター/福王子ローラ
ジュエルペットキャラクター/ルーア



 はい、というわけでざっと全7シーズンに渡ってジュエルペットシリーズの感想を書かせていただいたわけだが、個人的に順位をつけるとしたらこんな感じである。


1:ジュエルペット きら☆デコッ!
2:ジュエルペット ハッピネス
3:レディ ジュエルペット
4:ジュエルペット
5:ジュエルペット てぃんくる☆
6:ジュエルペット マジカルチェンジ
7:ジュエルペット サンシャイン


ついでに全シーズン通しての個人的MVPキャラクターも。

人間キャラクター/花園まりえ(『ジュエルペット ハッピネス』)
ジュエルペットキャラクター/ダイアナ


 基本的に僕がサンリオアニメに求めているのは、軽いノリと可愛いキャラクター。手に汗握る緊迫感のある展開や深く考えさせられるストーリーなどは二の次なのである。癒し第一。勿論ストーリーも相当面白ければいいが。
 そういう意味で全てがちょうど良かった『きら☆デコッ!』は迷わずトップに。『ハッピネス』は終盤の重い展開がしんどかったがそれまでの癒しっぷりが圧倒的に最高だったので2位。『レディ ジュエルペット』と『ジュエルペット』では正直迷うところだが、あまりにも見事だったストーリーに敬意を表してここは『レディ ジュエルペット』を上に。『てぃんくる☆』も同じく素晴らしいストーリーを評価して。『マジカルチェンジ』はサフィーとガーネットがレギュラーのままだったら3位か4位にはなったかも。しつこいようだがあればかりは本当にジュエルペットサッドネスである。『サンシャイン』は色々と方向性が乱れてたけど基本的には楽しかった。あくまで他と比べればの話。

 そう、改めて言っておくがジュエルペットシリーズは間違いなく全シーズン名作である。ハズレなど一切ない。個人的に最下位に置いた『サンシャイン』もいちアニメとしては充分なほどに面白かった。

 だからこそ『おねがいマイメロディ』の再評価が高まっている昨今、このジュエルペットシリーズにも今一度注目してほしいと強く思う。ルビーというキャラクターは他のサンリオキャラクターにはない個性と魅力を持ったサンリオ史に残すべき偉大なるキャラクターである。
 そしてサンリオ自体がそうであるように、ジュエルペットも数十体にも及ぶ数のキャラクターの中に必ず自分の好みにはまるキャラクターがいるはずだ。

 それを知るためにも是非公式YouTubeチャンネルでこの名作シリーズを堪能してほしい。

 自宅での時間の潰し方に迷っている人はまさに今がチャンスである。


 そしてそして現在開催中のサンリオキャラクター大賞でも是非ジュエルペットに投票のほどを!


 新作映画の公開も決定しているジュエルペットの時代はまだまだ終わらない。

 

 過去最長(14623文字)の記事、長々とお付き合いいただきありがとうございました。


デコラ!!☆

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気が向いたらお願い致します。サンリオ資金にさせていただきます。