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20240617 ともに歩く演劇。

「演劇なんてひとりではできないのだから」というのは、誰ともなく折にふれて口にされることばである。たとえそれが一人芝居なのだとしても観客や劇作家や、演出家や、音響照明のスタッフの人がいて、それは初めて成り立つ。

▼自分が主宰している劇団を省みたとき、「俳優だけの集団である」ということがひとつの特徴なのだけれど、それはときに弱みにもなってたまに上演の瑕疵を指摘されて「演出家なりドラマトゥルクが必要なのでは」ということを言われたりすると返す言葉もなくてうーん、と考え込んでしまう。

▼往々にして、上演は記録に残らない。戯曲は文字になって残るので、時の洗礼を受けることができる。上演を担う俳優も演出家も、その成果を肌で感じてもらえる人の数というのはごくごく限られている。どれだけ精巧な映像を記録できるデバイスが発明されたとしてもその場に、劇場に居合わせてくれる人たちの記憶の中にしか本当の意味での上演は残らない。

▼音楽ならフェスティバルなどでときに数万人のオーディエンスを前にライブをすることができるけれど、なかなか演劇でその規模の上演を達成するのは難しい。かつてはギリシャで1万人規模の演劇も上演されていたようだけれども、現代ではなかなかそういう規模の演劇というのは想像しにくい(もしかしたら、できるのかもしれないけれど)。

▼その日その場に居合わせてくれた人の人生と、上演が終わってもずっと歩いていけるような作品がつくってみたい、と思う。何度も何度も思い出して、台詞を口ずさんだり思い出したりしてもらいながら、人生を共にするような言葉や、シーンを生み出してみたい。そうしてそれはたぶん、一人ではできない。

▼自分でも、自分たちでも一生懸命頑張りながら、いつか外でもない私たちめがけて言葉を書きしるしてくれるような人と出会えたらいいなと思う。人に頼るなんてずるい気もするけれど、やっぱり、演劇はひとりではできない。私たちはほかでもない俳優としての本分を、誰よりも高い水準で果たせるようになれば良い。まだ見ぬ誰かと出会う日を想像しながら、一生懸命俳優をつづけていきたいと思う。

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◆日本全国の73名の方々から535,000円の応援をいただき、資金調達が無事に終了しました。ありがとうございました!!
【平泳ぎ本店 クラウドファンディングについて】
「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
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【公演詳細】

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