見出し画像

企業は従業員の高齢化問題を放置してはいけない

昨日、社外取締役をさせていただいている企業様の式典に参加してきました。経営者の発表の中で、20代の従業員比率が44%まで高まったという話がありました。
総務省の労働力調査を元に若い世代の労働力の占める割合を計算すると、15歳~34歳の割合が2022年12月末で24.5%となっています。そこから考えると、この企業様の若い人材の比率がいかに高いかが分かります。

この企業様では元々30代・40代の中間層が少なく、従業員の高齢化が長期的な課題となっていました。中途で中間層を大量に採用するという考えもありましたが、ミッションやビジョン、理念を大切にするという方針もあり新卒採用に長年力を入れてきました。
新卒は言葉遣いや名刺の渡し方など初期教育の手間も掛かりますし、戦力になるまでの数年間は収益的な負担も大きいです。そのため中小企業では新卒採用を避ける傾向があります。しかしこの企業様では財務的な余力もあったことから未来投資として新卒の採用を継続して行ってきました。結果的にベテラン中心だった組織が現在は若手中心の組織となりました。現在では若手が全体の業績を牽引する立場となってきており、生産性も向上しています。また外勤社員は全員がタブレットを使いこなし、DXも進んでいます。
最近では若手の教育を通じてベテランの意識も大きく変わってきました。元々反体制の急先鋒だった方が他のベテラン社員に対して、会社が変わってきているのだから自分達も変わらないいけないと率先して変革を先導してくれています。

国家単位での将来性や成長性を見る上で国民の平均年齢が挙げられることが多いのですが、それは企業でも同じです。これまで色んな企業を見てきましたが、少子化の影響もあり従業員の高齢化が進んでいる企業がとても多いです。
ベテラン中心の組織は短期的な収益を考えるとメリットもありますが、長期的には労働力不足・ノウハウ承継という意味で大きなデメリットがあり、将来的な企業の存続にも影響を及ぼします。

少子化と有効求人倍率の高止まりが続く昨今、若い人材を増やすということは非常にハードルが高く、10年単位での取り組みが必要です。
新卒を採用しようと思っても、この環境下だと一定数の応募を集めるだけでも相当大変ですし、新社会人の育成にもノウハウがあります。既存のベテラン社員に若手を教育するという意識を持ってもらうこともそんなに簡単なことではありません。手間の掛かる新卒を避けて20代後半~30代前半の中途を採用しようとしても、そこは他社も同じことを考えるので完全にレッドオーシャンと化しており、優秀な人材を見極めて入社してもらうのは至難の業です。また若い人材が少なくベテラン社員だけの企業は、若い人材が入社を躊躇することもあり、一度従業員の高齢化が進むと若返りを図るハードルはとても高くなります。
岸田首相も異次元の少子化対策を打ち出していますが、企業の若返りを図るのはそれと同じくらいの覚悟が必要です。10年後20年後の自社の状況を想像し、不安があるようであれば覚悟を持って長期的に取り組まなくてはいけません。手遅れになる前に早めに着手することをオススメします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?