違和感を放置せずにフォーカスする
経営コンサルタントという仕事柄、気づきの力には自信があります。コンサル先の会社の変化だけではなく、たまに出社した際の物の配置や同僚の髪形、ビルのテナントの変化など色んなことに気が付きます。
お客様や同僚にもよく気づきましたね。と驚かれることも多いです。何かに気づくという点で大切にしているのは、自分の中で起きる『違和感を大切にする』ことです。
数カ月前にある企業が倒産しました。負債総額100億円を超える大型倒産です。この会社の倒産情報が出た際に、顧問先企業からとても感謝されました。実は3年近く前にこの会社の倒産を予想し、顧問先企業が引き受けていた社債を強引に償還してもらっていたからです。
当時、倒産企業は3億円の営業利益を出し、自己資本比率は30%代後半、信用調査会社の評点も50点台半ば(50点を超えていれば優良企業)と特段心配する状況ではありませんでした。しかし、財務諸表のバランスや販売先を見て違和感を覚えました。気になったので詳しく調べていくうちに、コロナの感染拡大も重なりこの企業は高い確率で倒産すると予想できました。
元々帝国データバンクの調査員だったからこの手のことは専門ではありますが、大切なのはパッと見た時に違和感を感じ、その違和感を放置せずにしっかり調べるということです。どんなことでもそうですが何かの予兆は多くの人が気付きます。海外で路地に入った時に、急にゴミが増えて臭いが変わった、車に乗っていて異音がする、いつも元気な人の声が小さいなど些細なことです。その違和感を放置せずにフォーカスすることが何かに気づく上でとても大切です。
何か大きなトラブルが発生した際にも、こういう予兆は無かったかということを具体的に聞くと、そういえば気になっていたと言われることが多いです。
この違和感を大切にするというのは何もトラブルに限ったことではありません。かの有名なピーター・ドラッカーは「イノベーションのための7つの種」の中で「予期せぬもの」つまり、予期していなかった成功を挙げています。コンサルをしていても、なぜか売れていくもの、なぜか業績が伸長している拠点など、予想外のことが起きます。それはなぜなのか?ということを深掘りすることが大きな成功を挙げるきっかけになることがあります。
自分が「うんっ?」と思ったり、「ピンときた」何かがあれば、自分の直観を信じてそこにフォーカスしてみましょう。