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「多様性を受入れる方法」は「多様性を理解すること」ではない

多様性受容の教育への関心が高まっている


ここ1~2ヶ月で、多様性の教育に関する記事へのアクセスが増えています。企業の教育担当者の方や、学校の先生の関心が高まっているようです。

中でも特に反響が大きいのは、以下のポイントです。

「多様性を受入れる方法」と「多様性の理解」は別物です。


一般的に「多様性を受入れる方法」と言えば、以下が挙がりがちです。

  • 多様な考えや文化を理解する

  • 積極的に相手とコミュニケーションを取る

  • 自分の意見を伝える

しかし、これらの行動は、「多様性を受入れる方法」ではなく、
多様性を受入れている人が自然に取っている行動」です。


多様性の受入れには、2パターンある

多様性の受入れには、種類があります。

  1. 充分養われた受容力のもとで受入れる場合

  2. 無理やり受入れる場合


単に多様性を受入れられれば良いのか?

多様性を受入れること自体が目標であれば、受容力を高めることを省略しても間違っていません。しかし、一過性のスキルとして多様性の受入れを身につけても、本人にとっては苦しいでしょう。

受容力を高めることを省略し、多様性を受入れる行動が取れれば充分だと思うことは、たとえるなら、野球のスキルも体力も未習得な状態で、とりあえずユニフォームとキャッチャーミットを身につけ、プロ選手の剛速球をキャッチしているような状態です。

その人がたまたま野球のセンスがあれば、その場は何とかやり過ごせるでしょうが、怪我をしても不思議ではありません。一か八かです。

多様性の受け入れの必要性

多様性の受け入れが必要な理由は、多様な人々と良質なコミュニケーションを取り、相互理解とより良い価値創造へ繋げるためだと思います。

  • 良質なコミュニケーション

  • 相互理解

  • より良い価値創造

良質なコミュニケーション、相互理解(異文化理解)に必要なものとして、以下が挙がりがちです。

  • 異文化知識・情報・理解

  • コミュニケーション力

しかし、これらが豊富でなくても、良質なコミュニケーションを取る場合があります。これらが豊富で、英語がペラペラでも、良質なコミュニケーションに繋がらない場合もあります。

日本人が見落としがちな「自分軸」

良質なコミュニケーションは、自分軸と自分軸の交わりです。良質な異文化コミュニケーションに必須とも言える自分軸は、日本人が見落としがちなものです。

比較的、日本人が得意ではない分野ですが、自分軸のはかなさによって、世界中では日本人が関わる数多くのミスコミュニケーションが発生していると思います。

しかし、「自分軸のはかなさ」自体に関心がなければ、日本人は問題意識をもちません。「良く分からないけど、○○人とはコミュニケーション取りにくいなぁ・・・」程度で終わってしまいます。

そうではなく、はかない自分軸のせいで、コミュニケーションの輪の中で「場外」に位置づけられてしまったのです。(ただし、日本人にはその他に素晴らしい点が多くあります!!!)


結論

  • 無理やり多様性を理解し受入れても持続性はなく、受容力を養う効果は期待できないどころか、逆効果を生む場合もある

  • 多様性を受入れた行動を持続的に自然と取れるためには、受容力を高める以外にない


多様性の受容力を高める方法

受容力を高める方法は、ひたすら異文化理解・コミュニケーションを繰り返すことではありません。効果を生む場合はありますが、野球同様、一か八かです。

本人のことを大切に思い、一過性ではなく持続成長する受容力を得るためには、以下のStepをお薦めします。

Step1. 自己理解・自文化理解

Step2. 自己承認

Step3. 多様性を受け入る行動を取る(コミュニケーションや異文化理解)


ポイントまとめ

  • 多様性の受容力を高めるための行動は、多様性を理解することでは必ずしもない

  • 受容力が未習得の段階では、正しい自己理解と自己承認が必要

  • 正しい自己理解のために、主体=本当の自分を知ることと、自文化理解が必要であり、作業は至ってシンプル

  • 多様性を受け入れる行動は、Step1&2と平行して

  • 高まりつつある受容力を確かなものにする段階で、多様性を受け入れる行動を通した経験をする


グローバル人材教育において、主体性の確立・自己承認・自文化理解を飛び越えて、多様性の理解・異文化コミュニケーションを学ぶことはありません。一過性のスキルではなく、持続成長へ繋がる基盤形成が何より大切だからです。


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