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感動させられない生き方の先に未来がある。

僕が中老の男(70)から学んだ大きなことのひとつが「感動させない」ということだ。

その人にとって人生の糧になることは、その人の内面から込み上がってくる感情であって、やたらと飾り付けられてキラキラしたものではない。

無理に感動させようもしなくても、平坦な言葉で、何ひとつ珍しくもないありふれたことを、ただ淡々とやっていって、言葉を交わし、その中から自然と何か暖かいものが共有できた時に、僕らの心はちょっと救われる。

そしてその救いは、解けることなくその人のものとなり、ずっとずっと続くものになる。

人にとっての本質とは、とてもとても地味なものなので、商品や作品にはなりにくい。だから現代に生きる僕らはそうした地味なものを無価値だと思いがちだけど、本当に価値のあるものはそれぞれの人の身近なところにある。

それは、遠くにあるものではないし、憧れるものではない。
だから僕は今日もZoomごはんを続けている。

ところで、賢明な読者諸兄であれば、中老がZoomごはんに24時間ログインしていることに気づいただろう。「いつでも声をかけてくださいね」みたいなメッセージが書かれたアイコンがそれだ。

心優しい感動屋さんであれば「ああ!これこそが中老さんが目指した世界なのね!それを見守ってくれているのですね!(感涙)」なんて思っちゃったりとするかも知れないけど、油断してはいけない。

中老の男は貪欲で、欲しがりさんである。
彼にとってあれは「釣り糸」だ。

中老は30分おきにTwitterに自分の言葉を自動投稿するシステムを使って、彼のツイートにファボしたりリツイした人を追いかけている。奴は奴の言葉に引っかかった人と出会うために1日に48回のツイートを行ない、解析し、追跡している。

奴は、奴は、いつだっていつだって新しいことと人との出会いばかりを追い求めていて、常に時代のとんがっている岬の最先端で自分の言葉を餌に釣り糸を垂れている「人類という種の探究者」なのだ。

警戒せよ。
奴に騙されて感動している場合ではない!
気を抜かず、感動させられない生き方の先にこそ未来がある。

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