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"やさしい"感想の書き方

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1.はじめに

こんな経験はありませんか?

大好きな作品や作者に対して「この気持ちを伝えたい」「心を込めて感想を送りたい」と思いながらも、なかなか行動に移せない。「うまく書けるだろうか」「意図せず相手を傷つけてしまったら」「嫌な返事が返ってきたら」…そんな不安が頭をよぎり、結局感想を送れずじまいになってしまう。

実は、こういった悩みを抱える人は少なくありません。
そこで今回は、感想を送りたいけれど踏み出せないでいる方々に向けて、易しく、そして優しく『感想を書く&送るためのヒント』をお伝えしたいと思います。
もちろん、感想を受け取る側…作者(創作者)の方々にとっても参考になる内容だと思います。

感想をもらうのは嬉しいけど「感想をもらい慣れていない」「気に入らない感想ばかり来てしまう」「どう返事をすればいいか悩んでいる」などなど…

こうした、感想を送る側と受け取る側、双方の視点から、感想について考えていきたいと思います。
この記事を通じて、双方にとってより良いコミュニケーションを築くためのヒントを見つけていただければ幸いです。


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2.感想を送る前に ~心の準備~

まず、どうして感想を送る時にためらってしまうのかを考えてみましょう。

① 不安な気持ち

「自分の感想、喜んでもらえるかな?」「もし相手が怒ったり、無視したりしたら…」そういう心配は、誰にでもあります。
見知らぬ人とのやりとりって、やっぱり普段以上に難しいですし、少し緊張しますよね。

② 過去の出来事(トラブル)が気になる

SNSなどで、感想がきっかけでトラブルになった話を聞くと「自分もそうなったら…」って考えちゃいますよね。
でも実は、そういう話は拡散されやすいというだけで、ごく稀なケースなんです。

③ 相手への敬意が強すぎる

好きな作者さんを偉大に感じるあまり、と呼び親しむ文化があります(神絵師等)。そのために恐れ多く感じたり、必要以上に盲目的になることも。
でも、忘れてはいけないのは『作者も普通の人間』ということ。あなたの感想を楽しみにしている人も多いはずです。

では、どうして時々感想が問題を引き起こしてしまうのでしょうか。

① 誤解が生じやすい

文字だけのやりとりは、お互いの気持ちが伝わりにくいもの。うまく言語化できない、うまく意図を読み取ってもらえない、視点が違う等々…でも、それは誰にでも起こることです。

② 気づかず傷つけてしまう

知らず知らずのうちに、相手を傷つけてしまう…という可能性は、いつでもどこでもあるものです。
悪口や不満がNGなのはもちろんのこと、批判や比較、相手のアイデンティティや私生活などに不必要に深く踏み入った内容は控えるなど、文字だけのコミュニケーションでは普段以上に気を付ける必要があります。

③ 気にしすぎない勇気

時々、作品を作る人や一部のファンが『好き嫌い』に対して過敏に反応することがあります。『地雷』や『同担拒否』といった言葉を耳にすると、何となくびくびくしてしまいますよね。
でもそういった界隈ルールにとらわれすぎると気遣いが過剰になって、本当に大切な思いが伝わらなくなってしまいます。

3.文章の作り方の基礎

感想を書く際の『文章の書き方』について悩んでいる方のために、比較的即効性のある手法・コツをいくつかご紹介します。これらを参考に、自分なりの感想の書き方を見つけてみてください。

① 書き殴り→添削

・まずは思いのままに書いてみる
・その後、読み返して文章を整える

② 読みやすい文章構成を心がける

句読点を適切に使い、一文を短くする
A+B形式を使う(例:AなのでBでした、AだったのがBになりました等)
主題(伝えたいこと)を先に書く(文末で主題を改めて書くとより効果的)

③ 感情と理由を結びつける

・「AがBなのにCと感じた」「AについてはBだと思った」のように、その感情が何に対するものか説明する。これは受け取る側の謝辞にも使えます。
例:Aについて気づいてくれて嬉しい、Aと言ってくれてありがたい等

④ 内容を整理する

事象や事柄(場所、人物、出来事、時系列など)を整理。5W1H(いつどこで誰が等)やPREP法(結論→理由→事例→結論)のように、順序立てて書く。

⑤ 箇条書きを活用する

・状況が整理しやすくなる
・相手に端的に伝わる
・このように視認性が高まる

⑥ 感情を効果的に表現する

・具体的な形容詞を使う(例:「よかった」→「心温まる」)
・感情の度合いを示す言葉を使う(とても、非常に、少しなど)
・感情の変化を表現する(最初はAと思ったけど、最後はBと感じたなど)

⑦ 必ず見直す

自分の言いたいことが伝わっているか確認
相手の立場になって読み返す

大切なのは、相手の気持ちになること。これは感想を送る時も、お礼を言う時も同じです。もし相手を不快にさせる可能性がある内容(≠うまく書けてないかもしれない)だと感じたら、書き直すか送らない判断をすることも大切です。

4.感想を書く際の注意事項

感想を送る際、無意識に相手を不快にさせたり、自尊心を傷つけたりする可能性があります。以下の点に注意しましょう。

① 避けるべき内容

  • 悪口、不満、批判
    例:「展開がつまらなかった(マンネリ化してる)」「キャラの性格に矛盾がある(共感できない)」「前の絵柄の方が好きだった」「テンポが悪くて読んでて苦痛」「作画が雑ですね」
    良かれと思っての発言であっても、なるべく控えましょう。行きすぎた正義感は、トラブルの原因の中でも多くを占めます。

  • 頼まれていないアドバイスや指導
    例:「〇〇をこう描けばもっと良くなる」「次はこんな展開にすれば」「台詞をもっと減らした方が良い」
    本人が積極的に募集していればその限りではありませんが、大抵の場合は余計なお世話・ありがた迷惑になります。

  • 創作者の個人的な事柄(人格、人柄、育ち、私生活など)への言及
    例:「作者さんの恋愛経験が反映されていそう」「この描写は作者さんの実体験かな」「作者の人間性を疑う」
    作品を通じて作者像が見えることはありますが、見えたもの=本人がそうだと決めつけるのは、やや危険です。

  • 他の人や作品との比較・類似点の指摘
    例:「〇〇作品のパクリかな?」「△△さんの作品の方が面白い」「◇◇漫画のキャラに似てて好き」
    リプライ欄・コメント欄を見ていて非常に頻繁に見られるものですが、ポジティブな意図でも、これは絶対にやめましょう。意図してオマージュ・パロディをしている場合を除き、こうした言われ方をして喜ぶ人は、おそらく創作者の一割にも満たないでしょう。

② 慎重に扱うべき内容

  • リクエスト・催促・押し付け
    例:「続きはまだですか?」「更新遅いですね」「〇〇をもっと出して」「SNSやってる暇あるなら続き早く」「弱い主人公嫌いだからもっと強くして」「ラブコメ要素いらん(嫌い)」「シリアスな展開が売りなのにギャグが邪魔」「バッドエンドはやめて。ハッピーエンドじゃなきゃ嫌!」
    相手が積極的にリクエストを募集している場合はまた異なります。作者の創作の自由を尊重しましょう。

  • 間違いの指摘
    例:「字間違ってるw」「(史実が元になっているものに対し)時代設定無視しすぎでは?」「鎧のデザイン、元絵から簡略化しすぎ」「実際の出来事は○○なのでそれは間違っています」
    間違いの指摘は作品の質を向上させる上で重要な場合もありますが、言い方や指摘する場によっては作者を傷つけたり、不快感を与える場合があります。もし間違い等を見つけた場合は以下の点を改めて考慮しましょう。
    ・指摘する必要はあるか?
    ・非公開の場でそっと教えるべきか?
    ・指摘する時の口調は丁寧であるか?
    ・間違いではなく、相手が意図的にそうしたものではないか?

  • ネタバレ、ふざけた内容、下ネタ
    相手によって受け取り方が大きく異なるため、慎重に取り扱いましょう。
    普段自分がいるコミュニティでは許されているからと言って、感想を送る相手も許してくれるとは限りません。自分の嗜好や価値観、界隈の雰囲気等を、特定の個人へ押し付けることの無いように!

5.感想を受け取る側の心構え

創作活動を行う上で、感想を受け取る側も適切な心構えを持つことが大切です。以下のポイントを意識しましょう。

① 創作の本質を見失わない

  • 趣味での創作の場合『自分の好きなこと』『自分のため』が最優先・力の源であることを忘れないでください。

  • 反応や感想の数を追い求めすぎると、作品の質や創作の楽しさが損なわれる可能性があります。

  • 同時に、感想は貴重なフィードバックでもあります。客観的視点を得られる機会として活用し、創作活動の成長に繋げられるといいかもしれません。

② 感想の受け入れ方を柔軟に

  • 感想を送る相手や、感想の質、内容を過度に限定しないようにしましょう。
    例:「何を伝えたいのかよくわかりません」「実際に創作しない人から感想もらっても嬉しくない」「(簡単な感想を受けて)内容が薄い」
    感想を送る行為には、勇気を要する場合もしばしばあります。特定の感想のみを求めたり、合わない・好まない意見を拒絶したりするのではなく、多様な視点から感想は生じるものだと認識しましょう。
    もし、本当に特定層からの感想(経験者からの言葉など)だけを求める場合は、公に感想を求めたり自重を促すのではなく、直接感想を書いてほしい本人へ依頼するか、感想フォームの限定公開など、自身で適切な対策を講じるようにしましょう。

③ コミュニケーションギャップを理解する

  • 作品の意図が100%正確に伝わるとは限らないことを理解しましょう。

  • 表現力や理解力の差により、作品と感想の間にはギャップが生じるのが自然です。

  • このギャップを前提として、建設的なコミュニケーションを心がけましょう。

④ 自己認識を保つ

  • 高慢さや傲慢さに囚われない
    自分の作品や価値観が高まったり、周囲からの評価が高まったりすると、時に高慢・傲慢になったり、プライドの高さで気難しくなったりします。必要以上に謙虚になったり己を曲げる必要はありませんが、他者には『優しさ』『理解』を欠かしてはいけません。

  • 好意的な意見を疑わない
    自身や、自身の作品に自信が無い場合によく見られますが、他者の好意的な発言に懐疑的になることがしばしばあります。心からの好意を疑えば、相手を傷つけることにもなりかねません。相手の意図はともかく、もらった感想はなるべく、一旦は好意的に受け取りましょう。

これらを認識し、送る側も受け取る側も過度に心が揺れないよう気を付けましょう。

6.おわりに

いかがでしたでしょうか。参考になる箇所はありましたか?
感想を送るということは、自分の想いを他者へ表現する機会です。それが結果として、相手の励みにもなります。
もし創作されている方が感想がほしくてこの記事を開いていたら、まずは閲覧者が感想を送りやすい環境づくり(話しやすさ・雰囲気など)を心がけるといいでしょう。

完全な理解は難しくとも、お互いの違いを受け入れる寛容さが大切です。この姿勢が双方にあれば、創作文化の居心地の良さはより増すことになるでしょう。


編集後記

あらかじめご理解いただきたいのが、本記事はあくまでも『書きたい・送りたい』という気持ちはあれども『相手の気持ちを想像できない(知らない)』『文章力が無い』『様々な理由から不安・恐怖を感じる』という方に向けたものです。それと同時に『閲覧者を委縮させる創作者』に向けたものでもあります。

先にも述べました通り、そういう身勝手でプライドの高い創作者というのは、全体から見てもごく少数です。ところが真っ白なシャツに落ちたシミのように、そうした輩は目立ってしまいますし、拡散性も高いため多くの人に知られることとなります。
加えて、誰でも人気や金銭を稼げる簡易なツール(広義)が増えていること、同時に創作者・発信者人口も急増している今、そういう人は体感として『増えている』と感じるかもしれません。

今回あえて『オタク向け』としたのは、そもそもオタクの特徴として『特定の物事に執着、あるいは深くのめり込みやすい=広い視野を持ちにくい、人間関係の構築が難しい、好きなもの以外への寛容さが乏しい』という傾向があります。前述の創作側の事象に、こうした特徴が合わさる…コミュニケーション成立の難しさは、想像に難くありません。

それでも、やはり感想というものは、伝えたいし、もらえれば嬉しいもの。理屈や我慢で押さえつけるには余りある、大きな気持ちです。そのコミュニケーションの一助となればいいと思い、本記事を書いた次第です。

ちなみに、私自身の経験として。
私は閲覧側でもあり、発信側でもありますが…感想を送ったら相手の意に適わなかったようで「(多くの人に見られないように)後で消すけど」と前置きした上で文句を垂れ流されたこともありました(後で消すという逃げ口上が不快だったので丁寧にスクショをとりました)。私の好みに対する否定的な意見や、私の考えを変えようとする押し付けの意見をもらったこともあります。
こうしたものはもう、感想や返事というより『相手に内容や名前が知られないことをいいことに語った文句』です。

感想用にひらいたフォームって、そういうために設置しているわけではないと思います。だからといって「相手を全肯定せよ」と言ってしまうのはあまりにも横暴で盲目的です。しかし、あえて言うべき内容かどうか、思っていても秘めておくべきか等は、双方考えなければいけないでしょう。

SNSなり、創作投稿&閲覧サービスのコメント欄なり、アカウントの向こう側には一人の人間がいる。それは決して忘れてはいけません。


🌼書いた人:ひいらぎみかさ
🌼SNS:https://misskey.io/@hiramy
🌼個人サイト:https://hiramy.wixsite.com/vmsk


サポートいただけましたら、食後のデザートがほんのちょっぴり豪華になります(๑╹◡╹)