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哲学から得られるものは

哲学が趣味だと言うと、よく質問を受けます。
「哲学って何に活かせるの?」

哲学は直接に活きるものではない

「哲学は何かに“直接”活きるものではない」と思っておくべきです。
では、何に活きるのか。
「物事の捉え方や思索の基礎になる広い視野と深い洞察」ではないでしょうか。すぐに直接活きるものではありません。

しかし、哲学から学べるものは多い

哲学で示されてきた思想や議論は、現代の知識から見れば、とても合意できないものが多いことは事実でしょう。(”イデア”をあなたは信じられますか?)
しかし、哲学から学ぶことは非常に多いと思います。
人間が理性を用いて、あらゆることの本質を追い求めてきた営みが哲学であり、それを学ぶということは、その営みを追体験することとも言えます。

哲学を学ぶことは世界の見方を変える

一つ例をあげてみましょう。
例えば、科学。実は哲学のこどもです。当初は自然哲学と呼ばれていました。
科学にどのようなイメージを持っているでしょうか。深く考えずに「法則のもとに真理は一つである」という印象を持っている人も多いのではないかと思います。そうだと仮定すると、現在の私たちの身近な概念である科学は私たちの深層的な思考に強く影響を与えており、私たちは世界をそのような視点で見ていることが言えるのではないでしょうか。
哲学を学ぶことで、科学のイメージはガラリと変わります。つまり、科学が真理である、と言えないことがはっきり見えてくるのです。そうすると、どうなるでしょうか。世界への視点がグラつくことになります。
つまり、この科学の例を通して言いたかったことは、こうです。
哲学を学ぶことで、自分にとって当たり前であった(何も考えていなかった、何も見えていなかった)世界との関係が生まれ変わり、その背景に広い視野と深い洞察が生まれることになるのです。

哲学ほどインパクトのあるものは少ない

自分の視点を大きく変えてくれる事柄は案外少ないのではないかと思います。バイトして新しい世界を知るなどの未経験だった社会との関わりではそれなりのインパクトがあるかと思いますが、自分に染み込んでいる思想や考え方自体を揺さぶるものは、一般的にはなかなか無いのではないでしょうか。
極端な例ですが、”因果”というあまりに当たり前のことが揺さぶられる経験、知ってみたくはないですか?
自分が見えている世界は他者も同じように見えているなんて言えない、知ってみたくはないですか?

哲学を活かしたいなら、自分で応用してみる

哲学を直接活かしたいのであれば、自分がいかに学んだ内容を応用できるかにかかっていると思います。
デザイン分野では、ハイデガーの道具論はよく取り上げられます。人と道具との関係を見ながら、デザインのあるべき姿を論じるという仕方ですね。私にとって世界は道具であり、その存在は道具として消えている。道具が壊れたときに、道具は道具でなくなり、その存在をあらわにする…的な考えでしょうか。
過去の私はデザイナーの思想として捉えていたのですが、哲学を学ぶことで、その源泉に触れ、深い理解に繋げることができました。

私としては、これまで他のノートに記してきた以下の内容などが応用を試みた例です。

哲学を学んで得られるものは、知識ではない

哲学を学ぶことで、確かに知識は増えます。ですが、こそれが本質ではありません。ある事柄にただ役立つものを知識と呼ぶなら、哲学で学ぶそれは自分を変えてしまうものでしょうか。

卵を適切な状態に調理できるものが知識であり、卵を料理するのが哲学である

卵を考えましょう。哲学的にはりんごにしたいですが。
卵に対する知識を得て、卵を料理することに活かす、これが狭義の知識ですね。
それに対して、卵という存在を見つめ直すことにより、自分と卵の関係、さらに踏み込んで自分と世界との関係を再構築する。これが哲学です。

こう言えるかもしれません。卵を適切な状態に調理できるものが知識であり、卵を料理するのが哲学だと。

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