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ヒラマサが2022年3-6月に読んだ本

ご挨拶

今年の頭に「毎月記録します」と言って2月以降の更新が途絶えてしまった。2月末で退職し、3月はまとまった時間が取れたので集中してTOEICの勉強をしていた。1年前の660点から845点への大幅スコアアップができたので、そのうち教材や勉強法をブログにまとめようと思う。その後は引っ越し作業や忙しい大学院での日々に読書記録をまとめるのはおろか、本を読むのもままならない日々だった。この間にホームページ"hiramasa.site"を更新し、ブログも一元化しようとしているのだが、読書記録は継続してnoteにまとめようと思っている。やっと落ち着きを取り戻したので、この3か月の読書記録をまとめようと思う。これまでに読んだ本の記録はこちらから。


3-6月に読んだ本

3-6月は16冊の本を読んだようです。時系列に振り返ろうと思います。

3月

お笑い世代論~ドリフから霜降り明星まで~ (光文社新書)

「第7世代」がバズワードとして席巻していましたが、世代論にまったく乗れていませんでした。劇場からテレビへの移行と、テレビの衰退という芸人の舞台の遷移に裏付けられる芸人の世代感覚と行動変容について概観した芸人論です。第七世代までの経緯と世代間の齟齬が明らかになることでお笑いに対する解像度が一気に上がる良書だと思います

頭が良くなる文化人類学 「人・社会・自分」――人類最大の謎を探検する (光文社新書)

KindleUnlimitedで読了。「頭が良くなる」というビジネス書に寄せたタイトルがイマイチで、そういう感じの書籍ではないです。文化:ある特定の集団で常識とされている知識のようなもの を取り出す文化人類学の教養書として、面白かったと思います。トピックの羅列で体型的ではなく、タイトルを回収していないことから酷評が相次いでいますが、この批評はその通りだと思います。入門書ではないです。

ラメルノエリキサ (集英社文庫)

頻繁に読み返しているつもりが、読書メーターの記録によると2年ぶりの再読。この1年の色々も洗い流したようで、ますます愛着が湧く1冊になりました。

僕のハーバードMBA留学記 金融資本主義を超えて (文春文庫)

たぶん雑誌で見かけて興味を持ち購入しました。積読すると、買ったきっかけも忘れてしまってよくないですね。。。資本主義は持続可能か?社会を良くするシステムとして機能しているか?というマクロな視点から、自分はどう働きどう生きるべきか?というミクロな視点まで、ハーバードでの体験を中心に感じたことを論理的に分析するエッセイ。前書きにもあるように、体型立てて書いたものではないのでまとまりに欠けますが、知識を吸収する教科書としてではなく、エッセイとして、トップオブトップの著者の思考と思想と感情を読むものとして、非常に面白かったです。人生のコンセプト:Principlesを考えるきっかけになりました。

4月

手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択

去年先生からこの著者の前著を推薦されてからミニマリズムという思想に傾倒していましたが、中途半端になっていました。この1年でわかったことは、僕は自由を希求していること。より身軽に、自由に生きるためには最小限の持ち物で、軽やかに生きていく必要があります。引っ越しという好機に捨てられないものはもう捨てられないと思い、多くのものを捨てました。ミニマリズムを取り入れてから、明らかに余裕ができて自由に近づいています。おすすめ。
とはいえ、本書で言われていることはほとんど著者のYoutubeで語らていることだったりするので、本書を購入する必要があるかは疑問が残るところです。どちらかというと前著の方がおすすめだったりします。

ウケる技術 (新潮文庫)

水野氏の著書は複数冊読み、彼の軸にあるコミュニケーションについてまとめられている本があるということで、ずっと読みたがっていましたが、電子版がなく読めていませんでした。ところが、進学先の図書館で見つけたので、1番に借り出し。大学院の図書館で最初に借りる本がこれでいいのかという感じはありますが。。。決して悪くはなかったのですが、古さがどうしても拭えない感じでした。コミュニケーションも変遷してるんだなあ。

4月はこの2冊しか読めてない。引っ越しや授業で忙しかったとはいえ、やる気があるはずのスタートダッシュで学術書を全然読んでいないという。。。

5月

FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド

FIRE本は色々読んできましたが、本書は読み放題やセール対象となることがなく読んでいませんでしたが、これも図書館で発見。なんてハイカラな本を入れているんだ。
多くのFIRE本では労働所得を得て倹約では限界があるから、として事業資本を得ることの重要性を説いていますが、「できるならやっとるっちゅうねん」と言わざるを得ません。本書では事業資本記述少なめアセットアロケーション記述多めになっています。むしろ事業を柱にしたサイドFIREとかはグラント・サヴァティエ読めばいいじゃん?というようなかんじで、意識的に棲み分けているようです。僕はこっち派かなあ。倹約していきます。

さいはての彼女 (角川文庫)

KindleUnlimitedで読了。気まぐれに読み始めましたが、「今読むべき本」でした。本との巡りあわせに神秘性を感じざるを得ないことがありますよね。
一人旅の短編集。宮崎出身の主人公を自分に重ねました。一分一生。自分もいつかそんな旅人に。

自分の中に毒を持て<新装版> (青春文庫)

全然セールにならないので放置していましたが、友人の本棚に見つけたので借りてみました。「人生は積み減らし」という1行目がよかったです。積み減らしていきましょう。葉っぱ一枚あればいい。

6月

発想法―創造性開発のために (中公新書 (136))

レポート執筆のために読了。そういえば高専生の頃に挫折したのでした。当時は「野外科学」がアカデミックに見えず途中でやめてしまいました。定量的な実証主義的研究にしか触れていませんでしたからね。解釈主義的な、質的研究の存在を理解し肯定できるようになっただけでも今の学校に来た意味があります(というかそのために来たのですが)。本書は野外科学の方法論としてKJ法を提案している本です。
正直この本はかなり読みにくくて、KJ法の普及を阻害しているとさえ思います。日本人は〇〇だ、男はこうだ、女はこうだ、など、経験に依って大きな主語について語るところは流石に違和感があり、これも当時受け入れられなかった部分です。授業で経験的に学んだことでKJ法の有用さは認めるところですが、KJ法を啓蒙しようとする人にはこういう独特の胡散臭さがあり、それが人を遠ざける原因にもなっているように思います。本書はKJ法の代表的な書籍なので、もっとエモーション成分を薄めた、体系的な方法論に留めた方が良いのではないかとも思います。パッションは伝わってきますが、メソッドはメソッドで簡潔にまとめて欲しい。色々言ってますが、KJ法は体得すれば強力な、優秀な方法論だと思います。

トヨタから学ぶ“ひもとき"の魔法 (角川フォレスタ)

トヨタ式人づくりモノづくり―異業種他業種への導入と展開 (戦略ブレーンBOOKS)

トヨタ系の書籍を色々並行読み中。製造業に勤めていたので、非常に身を入れて、当事者意識をもって読むことができました。最近は大野耐一も読みながら理解を深めています。先見性だけでなく、この思想を貫こうという大野氏の気概と、それを育てたトヨタのすごみをひしひしと感じます。人間の知恵と工夫への信頼と、これを拠り所としようというその覚悟に心も打たれるところです。

HSK・中国語検定 最強の学習法

KindleUnlimitedで読了。中国系の留学生が多いのですが、彼らとコミュニケーションを取りたいので中国語をやってみたくなりました。資格試験では採点というフィードバックと、体系的で安価な教材が提供されるため語学との相性がいいと思ったのでHSKと絡めて読んでみたのですが、発音の訓練が重要とのこと。結構な訓練が必要みたいで、本当に入門できるかな、と腰が引けてるところです。せっかく留学生が多いので相手してもらえば上達するか...?悩み中。愛の不時着を観たので韓国語のほうがやりたかったりして。

面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる (幻冬舎新書)

Kindleでセールだったので読了。「文系脳」なんて信じていませんが、社会科学系の入門者としてはこういうものに縋りたくもなりました。著者はこのタイトルを承認したのか...?というような内容で、 彼の読書録みたいなものでした。たくさん本を読みましょう。

変な家

昔から間取り図を見るのが好きで、何なら描いて遊んだりしていました。それでも高専受験のときに建築学科に行こうとは思わなかったなあ。
ともあれ、そういう僕にとって気になる本でした。図書館にあったので読んでみました。1~2時間でサクッと読めるミステリーです。ミステリー慣れしていないので「面白かったです」しか感想が言えないのが悲しいところです。

オオカミ特許革命 事業と技術を守る真の戦略

これは良書でした。権利行使できる特許とそうでない特許があるのは常識で、それに前者を「オオカミ特許」、後者を「ヒツジ特許」とキャッチーに名付けて事例を提示するだけなら、新しさはありません。なによりインパクトがあったのは、各ステークホルダーが「権利を狭くする圧力」をかけているという構造的な問題を指摘するところから始まることです。知財法の趣旨に反する、模倣に有利な運用になってしまっているという主張は衝撃的でした。もちろん事例も紹介しますが、明細書や検索書(本書を読むまで存在を知らなかった!)を参照しながら、権利行使できる特許にするための要件を詳細に吟味しています。そして、「書き方」のテクニックも具体的です。知財実務に就く方には必読と言っていいほどのクオリティだと思います。知財検定3級程度の知識があればスラスラ読めると思います。本書を読んで知財戦略の解像度がグッと上がりました。おすすめ。

おわりに

お久しぶりでした。最近は正社員の頃よりも読書ペースが落ちているというあるまじき事態で、忸怩たる思いを抱えていました。大学院生(とくに社会科学系)は本を読んでナンボなのですが、見てのとおりあまりアカデミックな本がほとんど読めていないのは問題で、これから努めて読んでいきます。7月はたくさん読んでまるっとまとめるぞ。ではまた来月!


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