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『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』の読書会をしていて母との関係性を見直した話

あなたは家族や恋人、友人に対して、親密な関係性だからこそ大切にしたいのに大事にできないというジレンマを抱えたことはないだろうか。そんなときお互いに深く傷つき、自分に自信をなくしたり相手を責めたりしてしまったかもしれない。今回はそんな関係性をよりよくする手立てとなる本をご紹介したい。

10月から、大学時代の友人と『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』の読書会を毎週継続して行っている。NVCとは「Nonviolent Communication」の略で、日本語に訳すと「非暴力コミュニケーション」だ。毎回一章ずつ扱い、今回は第5章だった。章題は「自分の感情に責任をもつ」。

第5章は次のように始まる。

NVCの第3の構成要素は、自分の感情のいちばん根底に何があるのかを見極めることだ。人の言動は、自分の感情を「刺激」することはあっても「原因」になることはない。(p.97)

このnoteにもたくさん書いてきたが、私はことに親密な関係性(親子、恋人など)において、相手が否定的なメッセージを送ってきたり、私が勝手にそうだと感じたときに、悲しみや寂しさを覚え、それは相手の言動が「原因」だと決めつけて、自分や相手を責めることを繰り返してきた。そのことをこの本は改めて気づかせてくれた。

この本曰く、

判断する、批判する、評価する、解釈を加えるということはどれも、自分が必要としていることが満たされていないという遠回しの訴え(p.102)

らしい。つまり、自分の感情には自分に責任があるということだ。では、具体的にどう対応したらいいのか。この本では次のような言い回しを採用することを紹介している。

「わたしは……と感じる。なぜなら、わたしが……だからだ」

この言い回しのポイントは3つだと私は考えている。

①主語が「わたし」であること。感情の責任の所在は自分にあると明言している。誰かの言動のせいにしていない。
②自分がどう感じているのかを表現している。
②「なぜなら、わたしが……」と自分の感情を、自分が必要としていることとつなげている。

また、自分の感情に対する責任をもつには、3つの段階があるとこの本では述べられている。その第3段階では、

自分の感情には100パーセント責任があるが、人の感情には責任はないという自覚をもつと同時に、人が必要としているものを犠牲にして自分が必要としているものを満たすことはできないという自覚もある(p.117)

と。この文をなぞるように、たとえば私と母との関係性を考えてみれば、私が苦しいと感じたのは、私自身が罪悪感を覚えていたからだ。母の感情に関しての責任は私にはないが、母の感情に寄り添うやさしさを私が持てたならよかったのかもしれない。

そう気づいて、母に連絡をしてみた。母とは10月に数ヶ月ぶりに短いLINEでのやり取りをしたきりになっていた。ここで紹介した言い回しを使いながらぎこちないながらも気持ちを伝えてみた。

そうしたら、母から「そうよ。」と自分の気持ちを伝える文面とこうしてほしかったというリクエスト、そして私の行動に対する理解まで言及したメッセージが届いた。


いま私たち親子は数ヶ月という時間をかけて関係性を編みなおしている段階にいるのかもしれない。新たな距離感と関係性を探り、お互いが心地よく思いやれる関係になれたらうれしい。そのための一助として「NVC」が役立ってくれたと思っている。この後も友人とともに学びつづけたい。






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