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知っている

三ヶ月前、電話でおしゃべりしていたヨーロッパの友だちが、「ねえ、この状況なんとかしなきゃ!」と、言ったのです。

「私たち、今年こそは直接会ってハグしなきゃ!もう二年以上も会ってないんだから!!今年は会おう!再会を実現させよう!」

割と脈絡もなくそう言われて、でも、ほんとうにそうだなあ!と思い、「ほんとだね!会わないとね!絶対実現させよう!体でハグしよう!」と、力いっぱい同意しました。

でも、その時は、もう二年海外に出ていなかったし、いろいろな状況もあって、どうやってそれを実現できるかはまったくわかりませんでした。

それでもなんだか現実になるような気がして、そうしよう!そうしよう!できるできる!("Yes, we can!"って、オバマみたいな)と、電話越しに盛り上がったのでした。

それから三ヶ月後の今、私は来週に迫ったヨーロッパ行きの旅の準備をしています。友だちにも会いに行って、生身でハグをする予定です。

It’s really happening!

あの時は夢物語みたいだったことがほんとうに実現するということが不思議で、奇跡みたいで、でも同時に、あたりまえのようにも感じています。

だって、思い返してみると、どこかで「知っていた」気がするのです。

2020年の初夏ぐらい、ずーっと家で過ごしていた時期のある時、私はなぜだか急に「次に行くのはヨーロッパだ」と、思ったのでした。

海外に行くことなんてまったく考えられなかった、国内ですら電車に乗るのもためらうような感じだった時期、ヨーロッパに行く理由も大してなかったのに、「ヨーロッパに行くのだ」という妙な確信みたいなものだけがあったのです。

そうして、もっと遡れば、2020年の2月、滞在していたチェンマイから日本に帰国する数日前、「もうすぐ帰ることについてどんな感じがする?」と友だちに聞かれた時に出てきた答えは、

「これまでと同じ知っている場所に帰って知っている日常を送るだけのはずなのに、まったく知らない新しい場所に行くような、何が待っているかわからない感じがする」

でした。

あの数日間の、帰国した後の予定もいろいろあったのになんだか動く気になれない、目の前には真っ白な画面が広がっているような妙な気分は、今でもはっきり覚えています。

その後、日本に戻ってすぐからのびっくりするような世界の流れ、それから今こうしてヨーロッパに行こうとしていること、すべてを振り返ると、やっぱり、「知っていた」んだなあと思うのです。

「どうして」とか、「どうやって」とか、頭が道筋を把握するよりずっと早く、体は(いのちは)知っているのだと思います。それがぽろりと言葉や行動で出てきたり、ふと場面や考えが浮かんできたりすることを「直観」と呼ぶのでしょう。

その流れが具体的になっていくと頭はいろいろなことを考えて忙しくなり始めたりするけれど、体はとっくのとうに知っていて準備ができているのだから、ただそれを邪魔せずについていくことが、人生を泳いでいくコツなのだろうと思います。

(思いつつ、ヨーロッパ行きについても頭が忙しいったらないです!)

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