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人生も50年経過し、断捨離も見据えた、蔵書・音楽・その他のレビューページ。徒然なるまま…

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人生も50年経過し、断捨離も見据えた、蔵書・音楽・その他のレビューページ。徒然なるままに。そうはいってもプログレッシブに生きていきたいと思っています。

最近の記事

辺見庸「もの食う人びと」

辺見庸の「もの食う人びと」を読む。1993年から1994年にかけての、世界での食レポ。30年前の世界と今では何も変わっていないことが解る。食をおいしさという観点では見ていない。生きるため、社会のため、地域のため、人生のため。食は独立して存在しているのではなく、社会と時代と強く結びついている。紛争・貧困・思想・経済・放射能・文化・戦争・格差。 美味しいだけの食ではない、社会的な「食」を感じてみることも必要であろう。

    • 短編9「愛のあるところに神あり トルストイ」

      神は生活しているところに存在している。天国にいるのではなく、地上に居て、その行いを見ている。日頃の行いこそが、すべてであるというお話。

      • 短編8「火を粗末にするとー消せなくなる トルストイ」

        これも人生訓の物語。人のことよりも自分のこと、自分自身のこと。言わなくてグッと我慢する、昔から言われていた生き方。今実践することの難しさ。自己主張、自己アピールの洪水の中で考えることのある人に勧める。 【人はなんで生きるか トルストイ 岩波文庫】

        • 「輝ける闇 開高健」

          泥沼のベトナム戦争での従軍体験が開高に書かせたのだろう。文体から熱帯の汗や体液、暑さやねっとり感が否応にも伝わってくる。これでもかというくらいの比喩で描かれた物語に身を任せるとそこはジャングル。身も心もとろけてしまうだろう。

        辺見庸「もの食う人びと」

          短編7「人はなんで生きるか トルストイ」

          トルストイの民話集から「人はなんで生きるか」。宗教的な物語。でも普遍的な人間の生き方だと思う。新年にあたり読むにふさわしい物語だ。神様が言う三つの物語を感じたミハイルを事あるごとに読み返すだろう。 【人はなんで生きるか トルストイ 岩波文庫】

          短編7「人はなんで生きるか トルストイ」

          短編6「ロマネ・コンティ・1935年」開高健

          開高健のロマンティックなタイトルの短編。40歳の会社重役と41歳の作家がレストランのテーブルについている。二人のテーブルにはラ・ターシュの1966年とロマネ・コンティの1935年がある。この二本のワインを飲むお話。このワインによって、様々な記憶が作家の脳に浮かび上がる。それぐらいの魔力があるワイン。様々な形容詞できらびやかに装飾されるその味、またかなりの年月や旅で痛めつけられたワインの描写。食に取りつかれた男の物語。官能の物語。 【ロマネ・コンティ・1935年 開高健 文春

          短編6「ロマネ・コンティ・1935年」開高健

          短編5「ローゴームと娘のテレサ セオドア・ドライサー」

          岩波文庫の解説を読むと、「自然主義」の作品だという。自殺未遂者と若者の夜へのあこがれ(性)を描いているところが自然主義か。門限に遅れた娘が家を閉め出され、近所の不良と街をうろつく。娘がいなくなった父親は娘を見つけるべく奔走する。そして家の前には自殺者が。生死は不明。その後娘と不良は警察に保護される。そういったお話。片岡義男の短編に「給料日」というものがある。雰囲気は似ている。 【20世紀アメリカ短編集【上】岩波文庫】

          短編5「ローゴームと娘のテレサ セオドア・ドライサー」

          短編4「アーリオ オーリオ 絲山秋子」

          49歳の中年独身男子と中学3年の姪との交流。携帯メールではなく、手紙での交流が良い。星の光が地球に届くまでにかかる時間のように、手紙も時間がかかる。その時間が素晴らしい。 松浦寿輝の解説で知ったのだが、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」はデビーという名の姪に捧げられているとのこと。この曲が名曲のように、本作も傑作であろう。 ちなみに本書に出てくるレッド・ツェッペリンのアルバムでは、私はファーストが好きです。尾島さんと同じです。 「袋小路の男 講談社文庫」

          短編4「アーリオ オーリオ 絲山秋子」

          短編3「袋小路の男、小田切孝の言い分 絲山秋子」

          この2編は同じ話。袋小路の男は女性の目線から見た物語。小田切孝の言い分は3人称で観た男女の話。長い間憧れ続けている男性への女性の思い。でも体の関係は無。そんな関係がずっと続くのは、男も女もどこかでお互いに依存していて、体の関係をきっかけに壊れてしまうことを知っているからであろう。それ以上の思いがあるかもしれない。小田切孝の言い訳のラストはほっこりするなー。 【袋小路の男 講談社文庫】

          短編3「袋小路の男、小田切孝の言い分 絲山秋子」

          短編2「ローマ熱 イーディス・ウォートン 」

          ローマのレストランでパラティーノの丘を観ながら中年の身なりの良い婦人二人が語り合う。そのうち昔の話になる。手紙について。言わなくても良いことを言ってしまう一人の婦人。言われたもう一人はショックを受けながらも、言葉を受け止める。そして自身を振り返りながら話す最後の言葉。 教訓:墓場まで持っていかなくてはならない話は決して言わない。 【20世紀アメリカ短編選【上】岩波文庫】

          短編2「ローマ熱 イーディス・ウォートン 」

          短編1「平安の衣 オー・ヘンリー」

          エリートで高い社会的地位を得ている男が突然失踪した。着るものについて特に光彩陸離(こうさいりくり)だった。←初めてきいた言葉 隙のない服装をしていた彼は、特にズボンについては完全無欠を望んだ。ズボンの皺一つ許せない彼が一本のズボンを履き続けられる限度は3時間だった。そんな彼が失踪した。 ある日失踪した男の友人がスイスアルプスの山中の修道院で失踪した彼と出会った。驚いた彼らが、失踪した男と話をしたところ。。。 というお話。シニカルな落ちが面白い作品。 【20世紀アメリカ

          短編1「平安の衣 オー・ヘンリー」

          トルストイ民話集「人はなんで生きるか」

          人はなんで生きるか、その根源的な問いの宗教(キリスト教)からの回答が本書に収められた5編の短編だ。この本は心が清らかになる。すべての人が読むべき書である。このように生きられるだろうか、いや生きたいと本当に思った。

          トルストイ民話集「人はなんで生きるか」

          三島瑤子・藤田三男編「写真集 三島由紀夫'25~′70」

          三島由紀夫の写真集。文庫版で。しかしこの眼。すべてがこの眼にあらわされている。篠山紀信の「三島由紀夫の家」も必読。細江英光「薔薇刑」も見てみたい。

          三島瑤子・藤田三男編「写真集 三島由紀夫'25~′70」

          佐藤秀明「三島由紀夫 悲劇への欲動」

          佐藤秀明「三島由紀夫 悲劇への欲望」を読了。三島論はたくさんありますが、今の三島論を読むのがよろしいかと。自決後まもなく50年。三島の自決は過去のものですが、彼の自決は時代によってさまざまな意味を持つ。今の三島のとらえ方と10年前は明らかに違うし、10年後のとらわれ方はまた違うと思う。 本書は三島の生きざま、考えとその作品をリンクさせ解説している。これは良いです。作家の心は作品に反映されるのは必至であり、作家・作品を両方観ていかないと本質には近づかないだろう。良い読書体

          佐藤秀明「三島由紀夫 悲劇への欲動」

          三枝誠「大和なでしこ整体読本」

          三枝誠「大和なでしこ整体読本」を読了。健やかな生活を送るためには7つの力が必要と作者は言う。1.借力、2.姿勢力、3.熱力、4.指力、5.肌力、6.食力、7.肚力。女子に当てはめて解説してくれる。それは男性にもきっと通じること。これぐらいの分かりやすさ、優しさで整体を書いていただくとわかりやすい。男性でも役に立つ書である。面白かった。作者は野口整体・マクロビオティックや合気道などを学んできたようです。

          三枝誠「大和なでしこ整体読本」

          Marty Paich「The Broadway Bit」「I Get a boot out of you」

          マーティ・ペイチの「ブロードウェイ・ビット」です。通称「踊り子」。1959年録音のビックバンド編成の心地よいジャズです。ジャケットも最高。自宅テレワークのお供。 そしてもう一枚。「アイ・ゲット・ア・ブート・アウト・オブ・ユー」です。通称「お風呂」こちらもいかしたジャケットにスタンダードなジャズナンバー。仕事もはかどります。 最高の2枚です。

          Marty Paich「The Broadway Bit」「I Get a boot out of you」