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”飲食業のお・も・て・な・し” ~オリンピックの今だから考える~

 2013年10月に効率経営からおもてなし経営の時代へ』(同友館)が発行されましたが、私も執筆メンバーに入れてもらい、飲食業パートを担当させて頂きました。

 8年後の東京オリンピックが開催されている現在、8年前当時は予測もつかないコロナの影響、緊急事態宣言下における飲食業の苦境がニュースで取り上げられています。今は連日、アスリート達の活躍が報道されていますが、オリンピック熱が冷めた頃には経済不況、特に飲食業界の経済動向が気になるところだと皆さん、薄々感じられていることと思います。この記事がオリンピック後の経済活動を考えるきっかけとなれば嬉しいです。

1.そもそも『おもてなし経営』とは?

 公表が8年前と古い記事になりますが、経済産業省のホームページに、『おもてなし経営』についての紹介があります。2021年現在では「おもてなし経営企業100選」から「はばたく中小企業300選」に変わっています。なおはばたく中小企業300選 2019年度版にて、個人的に(300社中)6社様と関わり(選定結果のご報告と紹介記事の整合)を持たせて頂きました。

 以下、経済産業省ホームページを引用します。

 ” 少子高齢化、価格競争の激化、グローバル化への対応等、多くのサービス事業者は厳しい競争にさらされています。一方、各地域には、価格競争に陥ることなく、顧客のニーズに合致したサービスを継続的に提供し、「顧客」のみならず、「社員」、「地域・社会」から愛される経営を実現している企業が存在します。経済産業省では、このような「①社員の意欲と能力を最大限に引き出し、②地域・社会との関わりを大切にしながら、③顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供する経営」を、「おもてなし経営」と称して、地域のサービス事業者が目指すビジネスモデルの一つとして推奨しています。サービス事業者に経営のヒントとなる取組を紹介するため平成24年度より「おもてなし経営企業選」を実施し、これまで全国各地から100社が選出されています。(経済産業省のホームページより) ”

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2.同友館『おもてなし経営』執筆の裏話①

 「お・も・て・な・し」と言えば、国際オリンピック委員会(IOC)総会での滝川クリステルさんのプレゼンテーションのイメージが強いのではないのでしょうか。

 確か、東京オリンピック開催が決まったのが2013年9月。経済産業省の『おもてなし経営』の施策、同友館効率経営からおもてなし経営の時代への執筆活動と時系列で以下のように整理しました。

 2012年春頃:経済産業省「おもてなし経営企業選」の実施
 2012年秋頃:「おもてなし経営企業100選」冊子発行
 2013年春頃:同友館『効率経営からおもてなし経営の時代へ』の執筆開始
 2013年  9月:東京オリンピック開催決定
 2013年10月:同友館『効率経営からおもてなし経営の時代へ』発行

 今も『おもてなし経営』に関する書籍が複数出版されていますが、滝川クリステルさんのプレゼンテーションがきっかけに執筆開始された訳ではなく、もともと経済産業省の施策で、『おもてなし経営』が推奨されていたという背景があったのです。おそらく、当プレゼンテーションの後、『おもてなし経営』が流行。因みに、今(2016年以降)では「おもてなし経営企業100選」から「はばたく中小企業300選」に名称が変わっています。

3.同友館『おもてなし経営』執筆の裏話②

 次に、執筆活動自体について見ていきます。冒頭でもございましたが、私は飲食業のパートを担当。最初は、”飲食業のおもてなし=高級料亭”のイメージが強かったのですが、調査を進めるうちに、高級料亭ではなく、近所のラーメン屋を選定しました。(同書133ページ~141ページご参照。)

 飲食業のおもてなしにラーメン屋を選ぶ、その心は?というと、私自身、ラーメン好きという事もありますが、”そこで働く人の意欲の高さと、地域との関わりが高いから”であり、書籍の読者にもインパクトが必要と考えたからです。”おもてなし”という事で、当たり障りない高級料亭を紹介しても面白くないですよね!?もっと『おもてなし経営』を深堀して、経済産業省の提唱する考えを広めたかったとの想いがあります。

 もちろん、自分自身でも奇抜なアイディアだと思っていましたので、同友館や他の執筆メンバーとの意見の対立は覚悟していました。しかし、執筆メンバーは私よりも経験豊富な中小企業診断士のベテラン・メンバー。私の意を察して頂き、スムーズに校了まで漕ぎ着けることが出来ました。今思えば、若手の意見を汲む、チームの包容力があったと振り返っています。

4.今こそ飲食業に『おもてなし経営』を!

 緊急事態宣言下における飲食業の苦境がニュースで取り上げられていますが、残念ながら今の私の方から”提言できる何か”を持ち合わせている訳ではありません。ただし、将来の環境変化が不透明で見通しが立たない場合こそ基本に立ち返るのが良いのではないでしょうか。その基本とは『おもてなし経営』。今では名称こそ変わっていますが、考え方自体は今も変わらないと思います。

 「①社員の意欲と能力を最大限に引き出し、②地域・社会との関わりを大切にしながら、③顧客に対して高付加価値・差別化サービスを提供する経営」を経済産業省が提唱した『おもてなし経営』とされています。行政側でも、飲食業が『おもてなし経営』できる行政サービスができているか改めて考えてみる時期に来ているのかもしれませんね。

5.裏ばかりで表が無いので ”オモテなし”?(おまけ)

 話の内容が全く変わりますが、私の中で「おもてなし」と言われると、税法学者の三木義一先生のユーモアが頭をよぎります。(なお、2019年当時の、新聞記事の肩書は『青山学院大学学長』でしたが、今は引退されて弁護士活動をされています。青山学院大学に赴任される2010年以前は、母校である立命館大学で税法を担当されており、この時にお世話になりました。)

 ”ひょっとすると滝川さんは私たちに警鐘をならしていたのかもしれない。オリンピックには裏がある、いや、裏ばかりだ。だから

オモテなし

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<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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