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原価計算基準の”勘所”は3Stepにある?【前編】

 原価計算基準。製造業や工場経理の実務に関わったことがある方は、一度は耳にされたことがあるかもしれません。製品の製造にかかった費用を「原価」といい、製品の原価を計算することを「原価計算」、そしてその行動規範が「原価計算基準」になります。・・・いきなり堅苦しい話ですよね。読者の皆さんには嘔吐(おうと)?させないよう情報発信することにチャレンジ。このnote記事に先行してTwitterでも原価計算基準について、つぶやいてみました。で、今回は基準の詳細を見る前の”勘所”を前編と後編の2回に分けてご紹介します。

1.このnote記事のレベル感(読者は?)

 冒頭で、”原価計算基準。製造業や工場経理の実務に関わったことがある方は、一度は耳にされたことがあるかもしれません。”としましたが、このnote記事のレベル感はどうでしょう?実務に関わったことが無い方でも、簿記検定試験の勉強された方も耳にされていると思います。

”日商簿記でしたら3級は「商業簿記」しかないので、2級?それとも1級?”

 2級で初めて工業簿記を学習しますが、殆ど原価計算基準を意識することはないので、初めて科目に「原価計算」が追加される1級?・・・でも、2級の工業簿記も実は原価計算基準に則って計算するんですよね。ただ教科書で基準の明記がないだけです。よって、2級学習レベル(初学者)から想定して、原価計算基準の解説にチャレンジしようと思います。あと想定読者として、税理士の方も想定していたりします。

”えっ?初学者レベルなのに、なぜ会計のプロの税理士も想定しているの?”

 ここは私見で、いろいろ意見があるところだと思いますが、税理士の世界では原価計算の知識について、知っている方はめちゃくちゃ詳しいですが、製造業に関わったことが少ない税理士の方は、原価計算に苦手意識を持っていたりと・・・かなり二極化されていると感じています。なぜなら試験科目にも無く、協会の研修テーマでも滅多に取り上げられないからです。
 でも日本のものづくりの発展のため、製造業を支援する必要性は高いはず。よって、原価計算基準の知識を手軽にnote記事で情報提供できればと考えた次第です。

2.キャラクター活用(どのように解説?)

 では、どのように解説して”読んでいただけるnote記事”に仕上げる予定でしょうか?・・・ちょっと遊んでいるように見えますが、キャラクターを活用して対話形式で、原価計算基準を一緒に学んでいくスタイルをとろうと考えています。で、『図解!税法入門⑥【法人税】』のnote記事のキャラクターを再利用(リサイクル?)しようと考えています。

図①:原価計算基準を対話形式で説明する際の登場人物です。

 では主な登場人物4人の特徴を見てきましょう。

1.タカハシさん(通称、”アネゴ”):工場の人事・経理担当。工場現場から事務職に転身した経歴を持つ。実務に詳しく面倒見の良い姉御肌。工場現場時代に働きながら日商簿記1級を取得した苦労人。

図②:工場の人事・経理担当である、タカハシさん(通称、”アネゴ”)

2.サトウくん(通称、”メガネ”):本社の営業・企画担当。自称、営業と経理の二刀流。中小企業診断士試験に挑戦中と努力家の反面、詰めが甘い。

図③:本社の営業・企画担当である、サトウくん(通称、”メガネ”)

3.アオヤマさん(通称、”アオエリ”):工場の生産管理部門の中間管理職。直属の部下が50人以上と多忙な日々を送っている。外見が部下達と見分けがつかないのも悩みのタネ。

図④:工場の生産管理部門の中間管理職である、アオヤマさん(通称、”アオエリ”)

4.ヤマダくん(通称、”メット”):工場の設備管理担当。技術系の資格を多数有する資格マニア。体育会系。彼がヘルメットを外しているところを誰も見たことがない。

図⑤:工場の設備管理担当である、ヤマダくん(通称、”メット”)

 以降、登場人物(キャラクター)たちに進行を任せてみましょう。

3.原価計算基準の”勘所”とは?

【メガネくん】 ・・・って、いきなり解説をムチャぶりされたんだけど・・・。そもそも原価計算のルールなんて、会社によって違うので、無理でしょ!?
【アネゴさん】 確かに原価計算のルールは会社によって違うわ。でも「原価計算基準」といわれる行動規範があるので、これをじっくり見ていこうということなの。
【メガネくん】 はぁ・・・。そんなの簿記検定の勉強で十分じゃん。しかも規定を網羅するなんて無謀すぎ。
【アネゴさん】 そうでもないわ。確かに簿記検定の勉強でも、原価計算基準はマスターできるけど、基準の前に膨大な計算テクニックをマスターしなければならない。基準の勉強に到達するには、例えば日本商工会議所主催の簿記検定だと1級レベルになってしまうの。膨大な計算テクニックに溺れてしまうと、まさに「木を見て森を見ず」状態・・・。
【メガネくん】 ひゃぁ・・・(汗)!!!
【アネゴさん】 で、”膨大な計算テクニック=木”を見過ぎないように、”原価計算基準=森”を見ていこうという試みなの。基準も全部で47つ。60年以上も一語たりとも加筆修正されていないので、やる価値あると思うよ。では基準の全体像を見てみましょう。全体像の骨子案は次の通り。

0.目的・制度 (基準1、2、6)
1.費目別計算 (基準9、10、37、38、39)
 1-1.材料費 (基準11、14)
 1-2.労務費 (基準12、14)
 1-3.経費  (基準13)
2.部門別計算 (基準15、16、17、18)
3.製品別計算 (基準19)
 3-1.個別原価計算 (基準31~36)
 3-2.総合原価計算 (基準20~29)
 3-3.標準原価計算 (基準40~47)
4.直接原価計算 (基準30)

原価計算基準の解説全体像の骨子案(抄)

【メガネくん】 基準1から読み進めたけど、何だか概念的な説明で頭に入らないよ~涙。
【アネゴさん】 そこで勘所である3つの基準、具体的に9・15・19を最初に紹介しますね。これが原価計算基準の骨子。これに肉付けしていくイメージで次回以降見ていきましょう。

原価の費目別計算とは、一定期間における原価要素を費目別に分類測定する手続をいい、財務会計における費用計算であると同時に、原価計算における第一次の計算段階である。

『九 原価の費目別計算』

原価の部門別計算とは、費目別計算においては握された原価要素を、原価部門別に分類集計する手続をいい、原価計算における第二次の計算段階である。

『一五 原価の部門別計算』

原価の製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し、単位製品の製造原価を算定する手続をいい、原価計算における第三次の計算段階である。製品別計算のためには、原価を集計する一定の製品単位すなわち原価単位を定める。原価単位は、これを個数、時間数、度量衡単位等をもって示し、業種の特質に応じて適当に定める。

『一九 原価の製品別計算および原価単位』

【アネゴさん】 で、この3つを3Stepにしたのが、下図⑥です。

図⑥:原価計算基準の勘所の3Stepのイメージです。

【メガネくん】 なるほどね~。これで勘所はバッチリ!ありがとうございました~。終了、終了!!
【アネゴさん】 まだよ(怒)!!これからこの3Stepを説明したいけど【後編】に続くわ。・・・で、次回予告だけど、下図⑦の通り、原価計算基準の勘所の3Stepをもう少し掘り下げていきます。お楽しみに~。

図⑦:原価計算基準の勘所の3Stepをもう少し掘り下げていきます(次回予告)。

 次回、【後編】のリンクはコチラ↓になります。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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