図解!原価計算基準三七~三九【販売費および一般管理費要素の分類基準他】
基準三七より『第五節 販売費および一般管理費の計算』に入っていき、基準三九まで続きます。まず基準三七の規定を見てみます。
基準三七 販売費および一般管理費要素の分類基準
今まで、製品の製造にかかった費用である「製造原価」を中心に見てきましたが、製品の販売にかかった費用である「販売費」、会社全体の管理活動にかかった費用である「一般管理費」も原価に含まれ、全て合わせたものを「総原価」と呼ばれます。
そこで基準三七では「販売費・一般管理費」について見ていきましょう。下図①のうち右側黄色部分をご参照ください。なお全部原価計算と直接原価計算の固定費調整のお話は別途行います。
そして基準三七では「販売費・一般管理費」の分類基準を規定していますが、基準『八 製造原価要素の分類基準』と同様になります。
(一) 形態別分類
形態別分類とは、原価を見た目や種類によって分類する基準の事です。物量を貨幣価値に置き換えて会計帳簿に反映させることで、会社の状態と成果が可視化されます。
(二) 機能別分類
機能別分類とは、原価が経営上のどのような機能(働き)のために消費されたか、あるいは原価が経営上どのような役割で消費されたのか、という観点による分類です。ちなみに機能とは、ある物が本来備えている働き、全体を構成する個々の部分が果たしている固有の役割のことです。ざっくり説明しますといわば「会社上の部門や組織」ということになります。
(三) 製品との関連における分類(直接費と間接費)
販売費および一般管理費の要素は、販売品種等の区別に関連して、これを直接費と間接費とに分類します。
(四) 操業度との関連における分類(固定費と変動費)
操業度との関連における分類とは、原価要素を操業度との関係で変動費と固定費に分類する方法です。操業度とは、生産設備、従業員数、販売体制など経営をおこなう能力を一定としたとき、その利用度のことです。操業度の基準として、機械時間、生産量、直接作業時間、販売数量、売上高などが用いられます。
ここで、変動費とは、操業度の増減に応じて比例的に増減する原価要素のことで、また固定費とは、操業度の増減にかかわらず大きく変化しない原価要素のことです。下図④では設備部門を具体例に「操業度との関連における分類」をイラスト図解してみました。
(五) 原価の管理可能性に基づく分類(管理可能費と管理不能費)
原価の管理可能性に基づく分類とは、原価の発生を管理者が管理しうるかどうかにより、管理可能費と管理不能費に分類することで、この分類は予算管理や価格交渉と密接に関係します。
部長や課長といった原価部門責任者には、与えられた仕事を行ううえでの責任と権限が与えられますが、仕事を達成するにはお金がかかります。この支出金額につき科目別に使える上限が予算によって決められているということです。社外にも、価格交渉の点で同様のことが言えます。意外にも下図⑦のように設備費が価格交渉されるケースが多いので、原価の管理可能性に基づく分類が重要になってきたりします。
特に上図⑤は、近年の「値上げ価格交渉」にも大きく関わってきますので、関係者の方は「原価計算基準なんて古臭い!」と吐き捨てずに、きちんと向き合っていただきたいなぁ~と感じています。
基準三八 販売費および一般管理費の計算
こちらも基準『一〇 費目別計算における原価要素の分類』と同様の規定になります。
基準三九 販売費および一般管理費
そして基準三九では、業種が限られますが「技術研究費」について規定しています。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>