独創的な料理はアートかデザインか?
福岡にあるお店で、毎回毎回「美味しい…」となる料理屋さんがある。
しかも、これまでにみたことのない様な姿形、食材の組み合わせをしているものも多々ある。
食材や調理法へのこだわりがあるのはもちろんだと思うけど、今日はシェフに思い切って聞いてみた。
シェフがやっているのは、デザインですか?アートですか?と。
つまり、質問の意図としては、お客さんが欲しいものを突き詰めようとしているのか、自分なりの生き様のようなものを表現したいか、どっちなのか?ということ。
するとこんな答えが返ってきた。
「僕が一番楽しいのは、見た目は元々あったものと違うのに、何故か美味しいとか懐かしいとお客さんに感じてもらうことなんです。」
「メンチカツだって、見た目がメンチカツに見えなくても、自分がメンチカツだと思ってお客さんに出せばメンチカツ」
「お客さんの持っている”美味しい”は、じつは”懐かしい”だったりする。すでにできた味覚を変えようとするのではなく、それを思い起こす様な料理を作りたい」
こういう話を聞いて思ったけど、デザインシンキングとアートシンキングを同時にやってるんだろうなと。
もちろん、「美味しい」と思ってくれる人がいるからこそお店が成り立つけど、ただ美味しいではなく、「あれ、なんだこれ?」と思わせる遊び心も入っている。
そして、この見た目は、「ん?」と思わせながらも、「あー、美味しい…懐かしい…」と思わせるところがすごい。
人の感情や行動を変えるのは、こういうことなんだろうなと思った。
人はみんな、味覚以外にも、「懐かしい」という感情を持っていると思う。
それを理解しつつ、次の世界を見せてあげること。ワクワクする仕掛けを作ること。
でも本質は「懐かしい」からぶらさない。
自分の行動の原点にもなってるであろう「懐かしさ」は、改めて重要だなと思った。
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