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子供に胸を張れんで、仕事好きって言えるか

[やれば、変わる。変われば、わかる⑫]

※この連載は、無料アプリ「題目PRO」内にて無料連載しているため、noteでも無料記事としています。

〈前回のあらすじ〉
テッチャンはようやく職人として認められる仕事ができた。と思ったら、苦手な仕事を振られ、困り果てた。

〈本編〉

勤行指導13日目
「テッチャンは、どう思ってるん? ていうか、どうしたいん?」
苦手な現場代理人の仕事を親方から振られたテッチャン、久々に顔が曇っています。現場代理人は、現場監督になるためのキャリアを積める仕事ですが、各職人との連携や現地住人との関係を統括しなければならない煩雑な立場でもあります。
「自分は、やっぱりペンキの仕事が好きなんです。だから、断ろうと思っています」
「ペンキの仕事が、好き?」
テッチャンの仕事ぶりを見たことがあります。テッチャンを紹介してくれた婦人が、仕事のないテッチャンに自分が管理するマンションのペンキ塗りを依頼しました。「2日もあれば出来るんで!」と豪語したテッチャンでしたが、なんだかんだと言い訳をつけて一ヶ月以上をかけ、おまけに仕上がりは素人以下のものでした。
「テッチャン、君はペンキの仕事が好きではないよ。テッチャンの仕事を見れば分かる。技術うんぬんの話じゃない。取り組み方や。ペンキが好きな奴は依頼されたらすぐに取りかかる。仕上げも細部までこだわる。テッチャンの中では『ペンキが好き』なことになってるのかもしれへんけど、君はペンキの仕事、べつに好きじゃないよ」
テッチャンの顔がこわばります。
「質問するけど、テッチャンの息子があと10年したら中学3年になるよな。将来の進路を考える年や。その時、友達に『お父さんの仕事は?』って聞かれたとする。『ペンキ塗り』て言うのと、『現場監督』て言うの、どっちがええと思う?」
「・・・・・・それは、現場監督ですね」
「なんで?」
「やっぱり立場が上ですし、しっかりした仕事ですから」
「それがそのまんま、テッチャンの気持ちやで。ペンキ屋が好きな人間はな、『お父さんはペンキ塗りしか出来へんけど、命を懸けてやってる。これで人を喜ばせてるんや』って胸張るねん。テッチャン、ペンキ塗りのことを立場の上下でしか見てへんやん。それはペンキの仕事が好きなんでなくて、慣れてるからやりやすいってだけやねん」
「・・・・・・」
「テッチャンは現場監督の方が、ええ仕事やと思ってるやん。でも不慣れやし、過去に上手く出来へんかったからビビってるんやろ。ペンキが好きなんじゃなくて、現場監督やりたくないだけやん」
テッチャンの顔がみるみる赤くなっていきます。
「でもな、テッチャン。俺は『やりたくないことは、やらんでええ』と思ってる。やるにしても、やらんにしても、後から悔いのないように決めれば、それでええ。決めるのはテッチャンやからな。ただ悔いなく決めるためには、自分がどう考えて決断したかを明確にしておく必要があるねん。だからテッチャンは俺に相談に来たんやろうしな」
「はい、そうです」
「テッチャンはいま、『現場代理人が難しい、怖い』それで頭いっぱやろ。親方にはなんて言われたんか思いだしてみ」

(つづく)

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