麻雀の勉強を結果につなげるための「言語化」のコツ

私は現在、戦術書ライター、YouTuberとして「麻雀戦術の解説」を主な仕事としています。私がこの仕事をしていく中で一つ自分の武器だと考えているのが「言語化」です。

ここでいう言語化というのは、強者がなんとなくしている判断を言葉にしたり、基準を作って誰でも再現できるようにしたりすることを指します。

私は特に文章に関するトレーニングを積んだわけでもなく、文章力という点においては私より優れてる人は(福地先生のようなプロは当然のこと、そうではない天鳳民の方の中にも)いくらでもいると思っていて、そんな世界でそれなりに生き残ってこれた一番の要因がこの言語化能力ではないかなと思います。

今日はそんな言語化のコツについてお話しようと思います。もしかしたら論理的思考の仕方、と言っても良いかもしれません。

言語化の効果

まず、大部分の読者の皆様は、誰かに戦術を解説することや、それによって報酬を頂くようなことはあまり無いと思います。

それよりも、一人のプレイヤーとして自分が勝つこと、強くなることを主眼に置いているでしょう。

そんないちプレイヤーとして考えた時に「言語化能力」は役に立つのか、というのをはじめにお話します。

結論から言ってしまうと「センスがある人には不要だが、学習をする際に必要となる」です。

言語化というのは、先ほども述べた通り「強者が感覚的に判断していることを、強者で無い人でも再現できるようにする」ために使う技術です。すなわち強者は言語化しなくても感覚的にその正しい判断ができているわけですね。

これは俗に「センスがある」と表現されるような事象だと思います。

したがって、センスがある人はそんなことしなくても、普通に麻雀を打っているだけで強くなれるんだと思います。たぶん。私自身はまったくもってそういうタイプではないので推測の域を出ませんが。

逆に(私のように)、何かしらの「学習」によって雀力を高めたいと思っている人にとって、この能力は非常に重要となります。そもそも、強者の多くは上記の通り感覚的に正しい判断ができる人です。したがって身近な強い人に「なんでその牌を切ったんですか」と聞いたところで、ちゃんと理由を説明できるとは限らないわけです。

「なんとなく」とか「理由はわからない」と答えてくれるならまだ良いんですよ。大抵の場合は、その人なりの理由を答えます。しかしその人の言語化能力が低い場合それは「どこかで聞きかじったそれらしい言葉を当てはめただけ」であり、あなたがそれを聞いて再現しようとしてもうまくいきません。

ではどうするか、というとそれを聞いたあなた自身が、強者の選択や言葉の端々から「本質」をかぎ取って、言語化する必要があるのです。

また、言語化というのはその判断に関わる要素を整理することです(これについては後述します)。したがって、これができると例えば本を読んで勉強する際も、その内容をより深く理解し、抽象化して自分の麻雀に取り入れられるようになります。

例えば、複数の書籍に書いてある内容をまとめ、別の(自分なりの)言葉でまとめることができるようになると、「本を読んで強くなる」というのがとてもスムーズにできると思います。

私自身、麻雀を覚えたばかりのころは、天鳳三段でまったく勝てなくなりました。そこからひたすら戦術書を読むことで十段タッチするところまでたどりつけたわけですが、それは偶然にも私に言語化の能力がそこそこあったことと、戦術書を読むという勉強スタイルがマッチしていたことが最大の理由だと思っています。

言語化のコツは「対照実験」

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